表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おっさんの異世界転生 <俺もテンプレ世界で冒険してぇなぁ~>  作者: ところてんはあんまり・・・
第五章 冬景色観光がしたい、旅情編
83/225

第七十八話 運担当使用不可!

78.



「ぬわぁああああ!!! 死ぬ、死んでしまうであります!! このネズミがぁ! 私が生きるために死ねであります!」

「アテナ~、がんばってくださいね! ほら、そこですよ! 気を付けてください! 毒を持っていますよ」

 今俺達が何をしているかと言うと、進路を少し西寄りに変えて浜辺の魔物と戦っているのである。湿地帯の魔物に比べると数が多いというのが特徴だろうか。

懐かしき毒砂ネズミとアテナさんのガチンコバトルが繰り広げられている。魔銃は取り上げてあるので、彼女は棍棒で殴りかかっている。


 シュリさんは自分の割り当てをとっくに始末してアテナさんの応援に回っているようだ。彼女の『遠隔魔術』は便利だ。ナイフなどにも魔術式を刻めば、自由に動かせるらしい。

 いつもしている髪飾りだけではなく、刃物や鈍器、釘などの暗器のような物まで色々な武装をいつのまにか確保していた。ナクアさんと相談しながら用意したらしい。殺意の高さが素晴らしいね。手に持った鈍器で戦いながら、後ろからブスリッとやられるネズミ達があわれだった。

 


 昨晩、二人は気絶するように眠りについていたが、今朝目が覚めた時には何事も無かったかのように元気になっていた。青汁が効いたようだな。

「青汁……? 知らないでありますな……、それはどのようなものでありますか?」

「?、モズタロー様、青汁とはどのような汁なのでしょうか?お味噌汁のお仲間ですか? う、頭が痛いです……」

 二人の脳から青汁という単語が消えていたが、それは些細なことだろう。忘却したところで毎晩思い出してもらう事になるのだ。

 グウェンちゃんは恐ろしいものを見るような眼で俺を見ていた。そんな眼で見ないでよ。照れるじゃないか。


 別に俺が毒砂ネズミを食べたかったわけではなく、湿地帯の泥造形マッドゴーレムや沼サメの相手はアテナさんでは厳しかったので、砂地に移動したところ、たまたま遭遇したのだ。

 毒砂ネズミは単体で戦うならばオークと同等くらいだろうか、毒がある分危険度は少し高めだろう。ちなみに、沼サメは三メートルほどの沼地を泳ぐサメだ。巨大な個体は十メートル級もいるように大きさはバラバラなので、強さもかなりの差がある魔物だ。土魔術を得意として、湿地帯ではあらゆるところを沼に換えながら襲ってくるので、危険度はかなり高い。俺にとっては自分から殺されに来てくれる、ありがたい魚だな。


 アテナさんに魔物との戦闘経験を積んでもらっているが、どうも手際が良くないな。命を奪う事に戸惑いを感じているようだ。

「倒したら、すぐ刺す! だよ~」

 グーが別の毒砂ネズミで実践して見せているが、クーは手際が良過ぎる気もするな。足を払って横倒しにしたネズミの喉を手刀で一撃か。せっかく、腰に刀を持っているのだから使ってほしいところだ。

 毒消しは無いから、毒を受けたら、俺が適当に調合した薬液を飲んでもらう事になるから気をつけてほしい。毒が消えるかもしれないし、消えないかもしれない。そんなプラシーボなお薬です。

「そんな不用意で! 毒持ち! 魔物と!! 戦わせないでほしいであります!!!」

 はいはい、そんな汗と涙で顔をぐちゃぐちゃにしてないで、さっさと殺しちゃいなさいよ。いいのだよ、毒を受けたって。体力で毒を乗り越えるのも楽しいよ。訓練し甲斐があるってものだ。



「お肉がたっぷりついていますね~、脂の乗りも十分です! これは夕食に期待できますね」

 俺が毒砂ネズミを解体していると、すっかり元気になったシュリさんが、賑やかしにやってきた。そうだね。赤みたっぷりのネズミ肉でプロテインを十分に摂取してもらうことにしよう。毒袋は俺が後で楽しませてもらう事にしよう。

「朝の訓練は終了じゃな。ほんなら、これからは走るのじゃろう? とっとと、海岸沿いから離れるのじゃ。海の魔物は怖いのじゃ」

 グウェンちゃんの言う事はもっともだな。それじゃあ、ランニングを開始するとしますか。

「はぁはぁ、これから、走るでありますか……。はぁ、はぁ、頑張るであります……」

 気合十分だね。それじゃあ、走り込みと洒落込みますか。


 俺達は走って海岸沿いを離れ、湿地帯の行軍を開始するのだった。



 

「ふぅ、タロー、今日はこのあたりで休もうよ~」

 今日は六時間ほど走ったな。一日四十キロほど移動出来ていると仮定して考えると、どれくらいで、大断崖まで着くのだろうか。正確な地図があるわけでも、誰かに測量されている分けでは無いので、距離感がつかみにくいな。

「うぅ、今日もへとへとであります……」

「はぁはぁ、私も、はぁ、走るのはきついです。持久力を、はぁはぁ、つけるのは大変なのですね」

 アテナさんは途中で何度も転んだせいで泥だらけだな。シュリさんは昨日よりも安定しているようだな。午前中の戦闘が、彼女にとっては楽だったこともあるだろう。明日からの訓練メニューの参考にするとしよう。

 以前ナクアさんがしていた、魔物の血を浴びて寄ってくる魔物を虐殺するという方法は無理そうだな。湿地帯の魔物がミズーリ近郊よりも強力だと言う事もあるが、戦闘し続けるのには二人は問題がありそうだ。


 やはり、魔術師は持続力に欠けるな。魔力を使うから仕方がないのかもしれないが、経戦能力の低さは如何ともし難いものがある。

 グウェンちゃんもそう言う意味では、近接戦闘能力を鍛えた方がいいのかもしれない。魔術を使用した後の息切れが目立つからな。


「というわけで、サブローから降りて走ってください」

 青汁投与が終了して二人が静かになった頃に、グウェンちゃんに話を持ちかけた。

「いやじゃー、モズタローの地獄の強化訓練は嫌なのじゃー、わたしじゃと死んでしまうのじゃ」

 死なない様に加減しますよ。

「ダメだよ! のじゃロリはこのままじゃ足手まといだもん! ほら、サブローも! 明日からは乗せちゃだめだよ!」

「ちゅちゅ~ん……」

 グウェンちゃんに懐いているサブローは不安そうな顔でグウェンちゃんを見ている。

「サブロー……お主もわたしが鍛えた方がいいとおもっているのかじゃ?」

「ちゅちゅん!」

「……わかったのじゃ、サブロー! わたしも明日からがんばるのじゃ~」

 スズメに説得されるグウェンちゃん、かわいいなぁ。人としてどうかと思うけど。



 こうして、俺の訓練にまた一人巻き込まれることになった。

「のじゃロリの武器はなにがいいかな? タローなにか良いものない?」

 ふむ、そうだな。グウェンちゃんが使いやすいものとなると難しいな。魔術師だから杖とか思いつくが、あんなもので殴ってもなぁ。金属製にするならメイスで良いし、木製だと魔物に対してはあまり効果が望めないか。


「そういえば、先生がパイルバンカーを使っていたな」

「先生って誰? え、孤児院のパグ?何それ。それにパイルバンカーって何? 杭打ち機? ほむほむ、なるほど~。それなら作れるんじゃないかな?」

 ふむ、俺が前作った骨槍が残っているな。マッドスキッパーに来る時に使っていたやつね。異次元鞄の中で死蔵されていた物だ。これを打ち出す魔道具を作れればクロスボウのように使えるかもしれないな。アテナさんに相談して見る事にしよう。

 近接武器はこれでいいか。大柄な釘のような外見をしているが、骨製だけあって重さはそれほどではない。グウェンちゃんが持って、突き刺す様にして使う分には十分なのではないだろうか。グウェンちゃんに刃物って、何だか危ないし、これくらいの武器でいいのではないかな?見ようによっては杖に見えなくもないな。

「これを使って訓練するのじゃな……。ふむ、見た目は短槍の様じゃが、大きな針といったところじゃのぅ。うむうむ、軽いのじゃ、わたしにも扱えそうなのじゃ~」

 そう言って、ぶんぶんと骨槍を振り回すグウェンちゃん。五月人形の刀を振り回す子どもみたいで、かわいいなぁ。

 


「クーも刀の練習しようかな~、タローも武器の練習したら?」

 む、確かにそうだな。一度、ステータスを確認するべきだろうか。いや、ステータス確認に頼って武器を選ぶのは本末転倒な気もするな。

「ぷるぷる」

 ん? なにさ、運担当? え、武器としても使えるって? まじっすか。え、俺、スライムをぶん投げて攻撃するの?

 そんなことを思っていると。

「ぷるん!」

 うわっ! びっくりした。マント状だった運担当が俺の拳を覆い隠したと思うと、巨大な篭手が出来あがっていた。なるほど、これで殴れと言う分けか。

 うおっ、また動き出したと思ったら、こんどは大剣か、槍にもなるのか。ふむふむ、体から離れないような武器なら何にでも成れると自己主張しているようだな。武器になった途端、禍々しい気配が漂ってきたな。素晴らしい攻撃力がありそうだ。


「タロー、それ、絶対使わないでね!」

 なぜ!? 便利そうじゃないか!こんなに強そうなのに、使わないなんて普通じゃ考えられない。

「下手に使ったら、土地を汚染するだけじゃ済まないよ……」

 まじですか。その顔は本気だな。運担当……お前は一体どれだけ罪深い存在なのだよ。クーにここまで警戒させるなんて、普通じゃ考えられない。あ、神様だったら普通じゃないか。

「ふーむ、クーがそれだけ警告しているのじゃ。モズタローも軽率な事は止めるのじゃぞ。その存在については良く分からぬところが多いでのぅ」

 了解。運担当、ありがたいけど、無理すんな!

「ぷるしょぼーん」

 


 そんなこんなで、夜も更けて行くのだった。





 次回、成果が出るまでカットです


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ