第二十八話 ブタミントン
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それから、しばらくの時が流れた。今は夏の盛りだ。暑い。農作業の日々を思い出す。いや『超級魔力循環』のお陰で体感気温などは操作できているから暑くはないのだけど、地に揺らめく陽炎を見ると、夏を感じずにはいられない。
人力エアコンとは反則が過ぎるな、科学の発達が遅れるよ。しかしまあ、ダンジョン内にいるときは消耗を最小限にするために使っていなかったが、やはりいいものだ。エアコン万歳。
あれから、俺は新しくワクワク印のロングソードを購入した。先輩はすごく喜んでくれた。リピーターがいるのは嬉しいよね、すっごく分かるよ。ついでに、サハギンの鱗を使って頭装備を作成してもらった。なぜか麦わら帽子みたいなのが出来あがった。存分に作って遊んでくださったみたいで幸いだ。
俺の恰好は、ツナギに革の手袋に安全靴の様なブーツと麦わら帽子になった。完全に作業員だこれ!夏場に道路とかの剪定しているおっさんだよこれ!逃れられぬカルマ……
クームもワクワク先輩に双剣の製作を依頼していた。ワクワク先輩大人気だ。
武器の扱いについては、一緒の練習している。
カロちゃんやキーちゃんもわかりやすくはないけど教えてくれる。二人とも感覚派だから擬音が多すぎるよ、ズババンや、シャスパーンなんかを言われると、理解不能を通り越して興味深い。頭をクチュクチュして覗いてみたくなる。
俺達余分三兄弟+女子三人でオークという名のオークモドキ狩りにやってきたのだ。もちろん女子三人はクーム、ナクアさん、委員長だ。委員長とも、よく一緒に行動するようになった。時々女子会も行われているらしい。
いったいどんなストロベリったトークがエンジョイされているのかとリッスンしてみたら、魔力の消費を抑えた纏い方、授業のまとめと復習、効率的な魔物の殺し方など、まじめで物騒な内容だった。怖い。異世界の女子怖い。ゆるふわもてかわ愛されガールなんて居らんかったんや!
男女の身体能力の差がほとんど無いと言っても過言ではないので、そんなものなのかも知れない。女性総アマゾネスだな。アーマーゾーン!!!
さて、効率的で楽なオーク狩りを御覧に入れよう。まずは、第五層までやってきます、来る途中に狩ったゴブリン達なんかの死体を並べて、死体の山を築きます。
その後は自分たちに消臭ポーションを撒いてから、そこら辺の藪に身を潜めて待ちましょう。雑食なオークたちは血の臭いで集まってきます。
オーク以外も集まりまくってくるので、お勧めはできない手法ですが、効率という点では最高でしょう。
「……なあ、やばくないか?」
「文献にはうまくいくって書いてあったのよ。ちょっとうまく行き過ぎちゃったみたいだけど」
「……おいしそうで候」
「す、少なくとも見た目はおいしそうじゃないと思うけど」
「どうするでござるか、タロウ殿。にんにん」
「待機でお願いします」
俺達の目線の先には、オークやら大蛇やらゴブリンやらが互いに殺し合いをしている。血の臭いで興奮しちゃったのかな。お、オークが勝ち残ったな。三匹、いや四匹か。
オークは大柄な相撲取りより、更に大柄な体格をしている。食いでがありそうだ。
「なあ、三匹は緑色だけど、奥の一匹はピンク色だ、何か特殊能力があるのか?」
聞いてみた、誰かが知っているんじゃないかな。
「運がいいぞ、一匹オークエーイチが混ざってやがる」
栄一?
「エーイチは肉質が結構良い個体よ、今晩の焼肉が楽しみだわ」
A1か!! 牛肉かよ! 等級分けされているのかよ! いや、ただ単にそう言う名前が付いただけだ、きっとそうだ。じゃないと完全に食品として見られているオークくん達がかわいそうだ。家畜やないんやで、ガンガンに襲いかかってくるんやで!
「他の魔物が集まってくる前に倒すでござる、にんにん」
その通りだな、やってみるか。殺し合いのおかげで動きは大体わかったし。全員、ケガしないようにね。なにかの骨とはいえ、武器を持っているしね。
俺達はオークへと襲いかかる。
「チョゲプリャ!!」
「ダネダネ!!」
「ヴァッ!!!!」
その鳴き声やめろ!? 一匹はゲームボーイ版じゃねぇか!! そんなんで、意思疎通できんのかよ! ええい、死ね!
正面にいた三匹の緑色オークに六人で戦う。さっさと片付けて、奥の方にいるオークエーイチの相手をしなければならない。
うむ、ダンジョンで出会ったサハギンと比較すると遅すぎるってものだ。それに加えサハギンは水魔術も使ってくるから、やはり強敵だったのだろう。
俺は簡単に首を跳ね飛ばした。血抜きを考えると首を飛ばすのが一番だ。あんな分厚い筋肉に覆われていた丸太の様な首でもスパッとできるものだな。カロちゃんとクームもほぼ同時に仕留めたみたいだ。
「す、すごい。クームってこんなに動けたの? すごく速く、すごくしなやかになってるよ」
ナクアさんがそんな感想をもらしている。ダンジョンでのブートキャンプ効果が出ているな。命がけの戦いを繰り返した報酬だな。
「やるものね。でも、もう一匹いるわよ! 気を抜かないで」
委員長が檄を飛ばす。そりゃそうだ、片付けて帰るまでが戦闘ってもんだ。ちなみに、委員長は短槍を持っている。
残ったオークエーイチがこちらにやってくる。
「ギップリャ!!!!」
作品が違うじゃねか!!!! 統一性ってもんがわかってねぇのかよ!! くそ、くっそ! こんなんで煽られている自分が憎いよ。誰もブーブー鳴かないのかよ! 本当は豚じゃないのだろうか。
普通のオークに比べて、戦闘に優れているようだったが、六対一は多勢無勢だった。戦いは数だよ、兄貴ぃ!! 足を払われ、腕を貫かれ、首を飛ばされる。オークエーイチもあっさりとした最後を迎えた。
「やったでござるな、ささ、タロウ殿、お願いしますぞ、にんにん」
了解、死体を全て異次元鞄に収納する。その際に、土を撒いて血の跡を消しておこう。さっさと、安全な位置まで離れてから、解体作業を行うことにしよう。
これ完全に豚だわ。肉質が完全に豚ですわ。この豚野郎! モツもよく洗って塩漬けにしておこう。味噌と生姜で煮込んでみるのもいいかもしれない。前世で料理しておけばよかったな、手探りなのが結構つらい。煮こぼしとかよくわからないのよ。
ところで、居酒屋で食べるモツ煮込みって何であんなに美味しいんだろうね?量が少しなのがいいのかな。たくさん食べたら気持ち悪いのだろうか。おっさんはもずく酢を愛しているけど、モツ煮込みも大好きです。豚モツはハツがいいよね。
でも、こてっちゃんが最高だと思わない? すっごい昔から変わらず発売され続けているロングセラー商品だよね。CM見たことある?おっさんが鉄板でこてっちゃんを炒めているという妙な迫力を感じる映像だったよね。ただ、初めてモツを食べる人にはハードルが少しばかり高いかな、あれでモツが嫌いになっちゃたりしたらもったいないよね。
焼肉で食べるときに、生の腸関連部位は焼き加減がわからないって人がいるけど、おっさんはドゥルドゥルな焼き加減で食べたほうがおいしいと思うよ。焼き過ぎてパリッとなってから食べてもおいしいけど、モツの旨味の神髄は脂にあると思う、脂を落し過ぎたらおいしさ半減だよ。
なんで俺はモツトークをこんなにしているのだろうか・・・・。
解体作業も終わったので帰ることにしよう。さっさと戻って、買い取り所に卸そう。オークエーイチは焼肉のためにいくらかもらって帰ろう。
普通は熟成させた方がおいしいのかもしれない、そんなことは気にせず夕飯の焼肉になっていただこう。ミズーリで肉の熟成とかそんなことやっているかは不明だしね。
グウェンちゃんとベア先生も誘ってもみよう。御水寮の庭にバーベキュー機材を設営しながら、そんなことを考えていた。
今晩は焼肉パーティーだ!!
次回、熱闘焼肉地獄! 君は肉を食べることができるのか!?




