第3期 第10話 「二人だけのクリスマス」
十二月二十四日。
クリスマスイブ。
朝から街は、どこか浮き立った雰囲気に包まれていた。
駅前には大きなクリスマスツリー。
イルミネーションの準備をする人たち。
カフェからはクリスマスソングが流れている。
ユウキは待ち合わせ場所の時計台で、少し緊張しながら立っていた。
(恋人になって初めてのクリスマスか。)
自然と笑みがこぼれる。
「ユウキ。」
優しい声が聞こえた。
振り向くと、マミが立っていた。
白いコートに赤いマフラー。
髪はゆるくまとめられ、小さな雪の結晶の髪飾りが光を受けてきらりと輝いている。
「待った?」
「今来たところ。」
「その返事、本当に好き。」
マミはくすっと笑った。
「じゃあ行こう。」
「ああ。」
◇◇◇
二人が向かったのは、駅前のイルミネーション会場だった。
無数の光が街路樹を彩り、まるで星空の中を歩いているようだった。
「すごい……。」
マミは目を輝かせる。
「写真撮ろう。」
「いいね。」
二人は何枚も写真を撮った。
笑顔の写真。
ツリーを背景にした写真。
少し照れながら肩を寄せた写真。
「これ。」
マミがスマートフォンを見せる。
「お気に入り。」
そこには、自然に笑い合う二人が映っていた。
「いい写真だ。」
「宝物にする。」
◇◇◇
夕方。
予約していたカフェへ入る。
店内にはクリスマスツリーが飾られ、窓の外には雪が静かに舞っていた。
「ホワイトクリスマスだ。」
マミが窓を見つめる。
「本当だ。」
二人はクリスマス限定のディナーセットを注文した。
「いただきます。」
料理を食べながら、これまでの一年を振り返る。
「春。」
マミが笑う。
「座席争奪戦。」
「懐かしい。」
「夏は花火大会。」
「海。」
「秋は文化祭。」
「そして。」
二人は顔を見合わせる。
「冬。」
「クリスマス。」
自然と笑顔になった。
◇◇◇
食事を終え、近くの公園へ向かう。
大きなクリスマスツリーの前。
「プレゼント。」
マミが小さな紙袋を差し出した。
「メリークリスマス。」
「ありがとう。」
ユウキも紙袋を渡す。
「メリークリスマス。」
二人はベンチへ座り、同時に袋を開けた。
「これ……。」
ユウキは木製のしおりを手に取る。
夜空をイメージしたデザイン。
小さな星のチャームが揺れている。
「電車で本読む時に使ってほしくて。」
マミが少し照れながら言う。
「大事にする。」
ユウキは笑顔で答えた。
一方、マミはガラスのオルゴールを手に取る。
蓋を開けると、優しい音色が流れ始めた。
「きれい……。」
オルゴールの中には、小さな雪の結晶が閉じ込められている。
「初雪の日。」
ユウキが静かに言う。
「マミが嬉しそうだったから。」
マミは目を潤ませながら微笑んだ。
「ありがとう。」
「すごく嬉しい。」
◇◇◇
公園を出る頃には、雪が少しだけ強くなっていた。
「寒いね。」
「うん。」
二人は自然に手をつなぐ。
白い息が夜空へ溶けていく。
「ねぇ。」
マミが立ち止まる。
「今年、一番幸せだった。」
「どうして?」
「ユウキに出会えたから。」
その言葉に、ユウキは優しく笑った。
「俺も。」
「今年一番の出来事だった。」
「マミと恋人になれたこと。」
マミは照れながら笑う。
「えへへ。」
◇◇◇
帰りの電車。
車内はいつもより空いていた。
二人は窓際に並んで座る。
外では雪が街を白く染めている。
「クリスマス終わっちゃうね。」
マミが少し寂しそうにつぶやく。
「でも。」
ユウキが笑う。
「また来年もある。」
「うん。」
「来年も。」
「その次も。」
「ずっと一緒に過ごそう。」
マミは少し驚いたあと、ゆっくりとうなずいた。
「約束。」
「ああ。」
◇◇◇
改札前。
「今日はありがとう。」
「こちらこそ。」
マミはオルゴールを大事そうに胸へ抱く。
「一生大切にする。」
「俺もしおり、大切に使う。」
少しだけ見つめ合う。
雪が静かに降る。
「また明日。」
「また明日。」
二人は笑顔で手を振った。
恋人になって初めて迎えたクリスマス。
派手な出来事はなくても、お互いを思って選んだプレゼント。
一緒に見たイルミネーション。
雪の夜。
そのすべてが、二人にとってかけがえのない思い出になった。
そして、この幸せな時間は、まだまだ続いていく。
**――第3期 第10話「二人だけのクリスマス」 完**




