第3期 第9話 「プレゼント選び」
十二月中旬。
朝の駅前には、大きなクリスマスツリーが飾られていた。
赤や金色のオーナメント。
夜になればイルミネーションが灯るらしい。
「もうすぐだね。」
マミがツリーを見上げる。
「クリスマス。」
「ああ。」
「約束してたもんね。」
「楽しみ。」
二人は笑顔のままホームへ向かった。
◇◇◇
快速電車。
今日も自然と隣同士。
「そうだ。」
マミが思い出したように言う。
「クリスマスプレゼント。」
「うん。」
「どうしよう。」
「もう決めた?」
「まだ。」
「マミは?」
「秘密。」
「ずるい。」
「当日まで内緒です。」
いたずらっぽく笑う。
◇◇◇
昼休み。
教室ではクリスマスの話題で持ちきりだった。
「高橋、お前プレゼント決めた?」
「まだ。」
「ケーキ食べる?」
「もちろん。」
楽しそうな会話が飛び交う。
マミは後ろを振り返る。
「ユウキ。」
「放課後。」
「少しだけ付き合って。」
「プレゼント選び?」
「うん。」
「お互い別々に見るけどね。」
「なるほど。」
◇◇◇
放課後。
二人はショッピングモールへ向かった。
「ここで一時間。」
マミが時計を見る。
「別行動。」
「了解。」
「絶対のぞいちゃダメ。」
「見ない。」
「約束。」
二人は笑い、それぞれ別のフロアへ向かった。
◇◇◇
ユウキは雑貨店を歩いていた。
(マミが喜ぶもの……。)
アクセサリー。
文房具。
マグカップ。
どれも悪くない。
ふと、一軒のガラス細工のお店が目に入る。
ショーケースには、小さな雪の結晶を閉じ込めたガラスのオルゴールが並んでいた。
蓋を開けると、優しい音色が流れる。
「これ……。」
派手ではない。
でも、マミが喜ぶ顔が自然と浮かんだ。
「これください。」
◇◇◇
一方その頃。
マミも別のお店で悩んでいた。
「ユウキには……。」
本好きなユウキ。
電車でいつも読書をしている姿を思い出す。
「あ。」
木製のしおり。
夜空をモチーフにしたデザインで、小さな星のチャームが付いている。
「これなら。」
自然と笑顔になる。
「決まり。」
◇◇◇
一時間後。
待ち合わせ場所。
「おかえり。」
「ただいま。」
「買えた?」
「うん。」
「ユウキは?」
「買えた。」
「見せないよ?」
「俺も。」
二人は顔を見合わせて笑った。
◇◇◇
帰り道。
モールの外ではイルミネーションが点灯していた。
「きれい……。」
マミが足を止める。
無数の光が冬の街を彩っている。
「クリスマスまであと少し。」
「うん。」
ユウキが小さくつぶやく。
「楽しみだな。」
「私も。」
「プレゼントも。」
「デートも。」
マミは少し照れながら笑う。
「全部楽しみ。」
◇◇◇
帰りの快速電車。
今日も並んで座る。
「ねぇ。」
マミが小さな紙袋をぎゅっと抱える。
「ちゃんと喜んでくれるかな。」
「絶対。」
「まだ見てもないのに?」
「マミが選んだものだから。」
その言葉に、マミは照れくさそうに笑った。
「ユウキも。」
「きっと喜ぶ。」
「どうして?」
「ユウキが選んでくれたものだから。」
二人とも、プレゼントの中身は知らない。
それでも、お互いが一生懸命考えて選んでくれたことが何より嬉しかった。
◇◇◇
改札前。
「あと五日。」
マミが指を五本立てる。
「長いようで短い。」
「待ち遠しい。」
少しだけためらってから、マミはそっとユウキの手を握った。
「クリスマスまで。」
「あと少し。」
ユウキも優しく握り返す。
「ああ。」
「最高の一日にしよう。」
マミは満面の笑みでうなずいた。
冬の夜空には、小さな星が輝いている。
その光のように、二人の心も穏やかに温かく灯っていた。
そして、恋人になって初めて迎えるクリスマスが、すぐそこまで近づいていた。
**――第3期 第9話「プレゼント選び」 完**




