表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/24

03-4


 昼のおわり、才琉が教室まで送ると申しでたので一緒に帰ることになった。ふと下を見ると光莉のはばにあわせて、隣の長いあしきゆうくつそうに歩いている。光莉に気づかれないよう自然に歩くその様子に、なんだかほほましくなってほほゆるんだ。


 教室に近づくにつれ人の数が増える。二人で歩いていると、人の目にさらされている気がしてどうにも落ち着かない気持ちになる。一組の教室前にひなたが立っている。興味津々といったおもちでこちらに近づいてきた。その表情から光莉に用があるのだとみとれた。

「ひかりん、付き合っているって本当?」ひなたは言いながらうたがわしそうに才琉を見た。

「ええと……」


 光莉は隣の才琉の表情をうかがった。こういう質問は初めてではない。才琉と初めて昼食を食べた日から、ポツポツと質問が飛んでくることがあった。大抵は話す気のない光莉の様子をさつして一言で終わる。今日はそうもいかないらしい。才琉が軽くうなずいた。


「そおだよ。付き合ってる。ひらくんが噂でもしてた?」

「そそ。ヒラユーが言っててさあ。へええ。本当なんだ。がいなとこがくっついて、ビックリなんですけど。なんで? せつてんなかったでしょ?」

「理由はオレのひとれ。話すると真っ赤になるトコがかわいい。好きだなあって思ってオレから付き合ってってこくはくした。ハイ終わりね。られたくないんだから、ちやさないでよ」

「うわ、のろけ。別に茶化すわけじゃないけど、恋人できたって話きかなかったからさ」

「オレも光莉も、皆に噂されると恥ずかしいし、ってことで言ってないだけ」

「なにそれ。才琉、言い方キモ」ひなたは引いたように言う。 

「ヒド。キモくないでしょ。シャイだから、そっとして欲しいだけだって」

「才琉が言うと、なーんか嘘クサいんよ」


 ひなたによると、光莉の好みにがつしない才琉との噂が立っていることに気がついた。噂が間違いであればていせいしようと思い、てもってもいられず光莉に聞きに来たという。

「何、光莉の好みって」

せいじつな人」

「マジメだし、セージツですけど」才琉が言う。それを聞いたひなたの顔にしんの色が浮かぶ。

「それは……どうなん?」


 ひなたの目が光莉に向いた。本当のことを言えという圧を感じる。無意識に光莉の背筋が伸びた。光莉は少し迷ってから「特にトラブルはないよ」と答えた。

「そっか。本人いる前で言っちゃ悪いけど、才琉って話すのは良くても、遊んでそうだし変な噂ばっかで彼氏にするのはどーなんって感じじゃん。私、友達が面白おかしく噂に巻きこまれるのムリなんよ。問題ないなら、なにか聞かれてもラブラブだからほっとけって言うわ」

「問題なくラブラブです。づかいドーモ」

「うーん。やっぱ軽いんよなあ」ひなたは納得いかない様子で首をひねっていた。


 五限を知らせるかねがなる。それぞれ自分の教室にもどった。少ししてから、教室のとびらが開きやる気のなさそうなシノ先生が数学の授業を始める。

 昼の別れぎわ、苦しそうに才琉が「ごめんね」と小さくつぶやいたことを光莉は考えていた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ