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投資らいふ、時々副業夢想  作者: とうきのかえる
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26/29

25 PERがなんか違う

「がっぽり儲けられる株、落ちてないかなー」

沙優は証券会社のページを開いていた。数日前にJ商社の株が買った時からおよそ30パーセントのプラスで売れた。実現損益のページでその利益をみて、資産評価額のページをみて、資産の推移のグラフをみて、また実現損益のページで利益を眺めて、J商社の株価チャートをみて、また実現損益のページで利益をみて、と他の数字やグラフを無駄にはさみながら十数回は今回の利益を確認して、沙優はようやく満足した。ちなみに資産の推移のグラフをみると、ピーク時からかなり資産が減っているのが一目瞭然なので、そのページは一回しか見ていない。

 満足した後に開いたのはスクリーニングのページである。次のお宝を探すのだ。PERが低い順に上場企業を並べ替え、上位に来た企業情報を片っ端からみていく。知らない会社だらけの中でぱっと見についた名前に、近くにあるホームセンターがあった。歩いていくには遠いが、一度まりこさんと車で出かけた時に寄ったことがある。品揃えが豊富でいい感じだった。ホームセンターはコロナ禍で客が増えて株価も順調だと聞く。

「これこそ、身近な情報からいい株を見つけるやり方でしょ」

株ではあっても、やはり知っている企業の方が愛着がわくのだ。そうすると、少しぐらい株価が下がっても、そのうち上がるだろうと思えたりする。全く知らない企業で、株価がそのうち上がると信じ切れるような材料もないと、少し悪材料があると不安になって売ってしまいたくなったりするだ。そんな沙優にとって、知っている企業の株を選ぶのは合理的な選択だった。彼女はこのKホームセンターの株を買うことにした。

 もう一つ目についたのは大企業のL素材である。沙優でも名前を知っている会社なのでここも買うことにする。口座に残っている現金がおよそ60万なので大体半分ずつ投入することにした。

 週末が過ぎ、月曜日の夜である。予約注文していた買付が日中に成約していたので、購入した株の情報を証券会社のサイトでもう一度眺めたり、別のアプリで株価のチャートを見たりしていると彼女はあることに気がついた。携帯アプリに載っているKホームセンターのPERが8とちょっとあるのだ。

「え、どういうこと?」

沙優は焦った。PERが5以下だと思って買ったのに見間違えたのだろうか。とりあえず急いで証券会社のページに戻って確認すると、やはり5以下である。混乱して、もう一度アプリをみるとやはり8を少し超えるくらいの数字である。

 何かからくりがあるはずだ。ネットでPERについて調べてみると、PERを計算する時に使うEPS(一株あたりの利益)が、過去の実績値だったり、次の予想だったり、直近の四半期の数字だったりと違う場合があることがわかった。証券会社のサイトに載っている数字と携帯アプリの数字が違うのはそういうことのようだ。よくよく注意して証券会社のページのKホームセンターの情報を調べてみると、PERの他に予想PERの項目があり、それは5を大きく超えていた。

 慌ててKホームセンターの株全てに売り注文を出した。PERが低いと思って買ったのに、今期予想が高いのなら持っていても仕方がない。数字にも色々あるんだなと思う沙優だった。ちなみに彼女は財務諸表のように企業が公表しているさまざまな情報を細かく分析しようとは思っていない。やろうと思えばやれると謎の自信はあるが、沙優はもう少し気軽に簡単な情報からいい株を選びたいのだ。司法試験を受け続けていたとは思えない雑さである。そんなんだから受からなかったんじゃ、とつっこまれても仕方がない気がする。

 翌日、買い値より少し低い値段でKホームセンターは無事に売れた。1000円程度の損が出ているが、誤差の範囲と沙優は気にしていない。Kホームセンターの代わりにL素材を買い足して、株価が上がるのを待つことにした。

この作品中の会社、人は全てフィクションです。株式投資は元本割れするリスクがある投資です。始める場合はリスク管理などの情報収集をしてからにしてください。

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