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投資らいふ、時々副業夢想  作者: とうきのかえる
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23 株以外の方法で儲けたい

 寝かせている株はあるが、一時期のような株への熱中は冷めてしまった。上手くいかなくなると途端に関心がなくなるのが沙優なのだ。株価チャートを見ていた時間がぽっかり空いたので、他に稼ぐ方法ないかなーと考えるようになっていた。他に考えることがあるだろとも思うが、儲けられそうな方法を妄想するのが好きなのである。変わっているが仕方ない。

 さて、儲ける方法である。イヤリングづくりはお金になりそうなポテンシャルを感じる。沙優は小さい頃から手芸が好きで、人形に着せる服や自分が使うマフラー、スカート、ワンピース、鞄も手作りした経験がある。それらの中には出来のいいものもあったが、稼げるかというと難しい。手芸は時間がかかるし、ちょっとした失敗の跡も残りがちなのである。気に入った布で既製品にはないような柄のワンピースを作っても、型紙を本からとったりすると、出来たものが自分の体のラインに合っているとは限らないのだ。成功させるには型紙を修正していくべきなのだろうが、服飾でプロになろうとか考えていない彼女にはその根気が出ないのである。もともと飽きっぽくて続かないのだし。

 そもそも手芸を趣味としていたのには、ものを作り出すのが好きということもあったが、買うより安上がりで自分の良いと思うものを作れそうだからという理由もあった。子供の時から行動原理があまり変わっていない。とはいえ、大人になってお金ができ、さまざまな既製品を比較検討できるようになると、手芸はしなくなっていった。

 そんな中、イヤリングは購入したパーツを組み合わせるだけなので比較的短時間でできて見た目もかなりいいし、オリジナリティもある。沙優が経験した中ではダントツで利益を生みそうである。それでも沙優はイヤリング販売には消極的だった。かなり出来がいいとは言え、右と左の分の二つを並べてみると輪っかが歪んでいて少し長さに差があったりと既製品のようなクオリティになっていないのだ。それを最初から書いておいて安めの値段で売ればさほど問題はないだろうが、それだと薄利になってしまう。儲けようと高めに値段を設定したら、クオリティに文句を言う人が必ずいるだろう。そんな風に色々考えると気が進まないのである。世の中にはハンドメイドで稼いでいる人もいるみたいなので、ただただ尊敬しつつも、うらやましくも思う沙優だった。

 そう考えると、ブログやSNSで閲覧数やフォロワーを稼いで、そこから収益化を目指す方がいいように沙優には思えた。ちなみに、ネットで「ブログ収益化」と検索するとアフィリエイト広告や企業からの案件のような方法があると出てくる。それこそ「ブログで収益化する方法を教えます」といったサイトも多い。簡単に収益に繋がるのかは怪しい気もするが、沙優はそこまで考えているわけではない。すぐにお金が欲しいわけでもないので、何かあった時の保険の為に閲覧数が多いブログやフォロワー数が多いSNSのアカウントを育てておき、収益化はそれから考えようというのである。まあ半分趣味であり、暇つぶしであり、それが将来お金になったらいいなレベルの話をぼんやり考えているのだ。

 自分が人の興味を惹きそうなことをできるとすれば、勉強方法を教えるかインテリアだと沙優は考えた。実は沙優は弁護士を目指していたのだが、挫折して公務員になっている。大学卒業後ロースクールに入り、司法試験の受験資格を得てからは毎年受験してきた。惜しいところまではいったものの、なかなか合格することができなかったのだ。ロースクール卒業後5年で司法試験の受験資格を失うので、そうしたらもう一度受験資格を得るために予備試験に通らなければならない。そうすれば再度挑戦することも可能だが、そもそも自分が弁護士に向いているか分からなくなっていた沙優は、見切りをつけて公務員試験を受けたのである。

 勉強なら嫌になるほどしてきている。司法試験には通らなかったので、それに関するブログというわけではなく、公務員試験対策や大学受験、大学院受験対策なら可能性はある。しかし、そうは言っても司法試験には受からなかったという負い目がある。司法試験のことは言わずにやればいいのだが、自分では失敗したと分かっているので心の中のツッコミからは逃れられないのだ。万が一、仕事を辞めないといけなくなって切羽詰まることがあれば勉強ブログも考えよう、と沙優は思考を停止した。

 もう一つ自信があるのはインテリアである。自分の部屋が相当おしゃれになってきていると沙優は自負していた。少し前からインスタをはじめてみようかな、と考えてもいる。インテリアの発信なら身バレも防げるし、うまくいかなければやめればいい。とは言え、インテリアも激戦の領域だというのは何となく彼女も分かっていた。それこそインスタやユーチューブにインテリア情報はあふれている。ただ、彼女は今の主流のシンプル系ではなく、はっきりした色を使ったり、柄のあるインテリア小物やカーテンを使ったりしているので、勝算があるんじゃないかと密かに思っているのだ。そのためにはまずやることがある。……更なるインテリアの充実である。そうなのだろうか。まずはインスタのアカウント取得からな気もするのだが。

 ということで、沙優は財布の紐を緩めてタオル類を新調したり、食器を買い換えたり、ゴミ箱を買ったりすることにした。さらにおしゃれなインテリアにすべく部屋のあらをなくすのだ。株で損失を出しているのに無駄な支出をしていいのだろうか。まあ、沙優は証券口座とその他を完全に分けて考えており、彼女の中では株の損失と生活資金は関係ないのでいいのだろう。多分。

 沙優の擁護をすれば、仕事を始めた年の12月から思ったより高いボーナスが出るなどして、当初計画よりも早いペースで彼女は貯金できていた。コロナで買い物の機会も減ってお金も使っていないのだから、たまには大盤振る舞いしてもいいと考えているのだ。節約するところはして、使う時には使う、そのバランスが大事なのだ。いや、なんか一貫していない気もするが、人生に矛盾はつきものなのであった。

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