14 ビジネス書を読む
8月の休日に、どこにも行けない沙優はビジネス書を読んでいた。彼女はネット記事を読むのが好きで、そこで紹介されているビジネス書やハウツー本で良さそうなものがあれば、それも電子書籍で買って読んだりしている。昔はハウツー本を何となく敬遠していたというか、そんなもので大したことは学べないと思っていたのだが、人間関係や心の持ち様、仕事の効率化について意外に学ぶことがあると気づいてから、たまに読んでいる。特に今はどうやって仕事の負担を減らそうかと切実に悩んでいるので、少しでもヒントが欲しかった。
ちなみにこれは沙優に中では有意義な時間の過ごし方である。惰性でネット記事やネットの小説サイトを読み続けるのが一番多い余暇の時間の使い方であり、自分でも無駄な時間だという自覚がある。活字中毒気味で、かつ体力がないので、気分転換や疲れを癒す為に読むのはいいのだが、疲れが癒えた後に何時間もだらだら読み続けるのはやめたかった。しかもそういう時は読み続けることが目的化してしまい、もう面白いとも感じていない記事や小説を読み続けてしまうのだ。もっと有意義に時間を使いたいと思い趣味を始めることもあるものの、長くは続かない。最近はイヤリング作りもやっていなかったりする。
今はビジネス書を読んでいるので、かなり有効に時間を使っている。いい傾向である。実はビジネス書を読んで趣味にすればいいのではと思いついたこともある。しかし、手当たり次第読むとそれはそれでハズレと感じる本に当たるようになってしまい、有効に時間を使うって難しいと感じるのだった。
「この本は当たりだったな」
満足して読み終えた沙優はふと著者の会社の株を調べてみようと思いついた。その本にはベンチャー企業を経験した後に老舗の大企業で役員として働いた経験がつづられている。老舗の大企業というなら上場しているに違いないと思ったのだ。調べてみると、著書の会社はGooodと言う社名の一部上場企業で業績も好調だった。ビジネス書の内容からも書いた人が優秀であることは伝わってきた。こういう人が役員を務めているなら、このGoood社は期待が持てそうである。
とは言え、いつものことながら沙優は割と限界まで株を買っているので資金がなく、現状ではGoood社の株を全然買えない。仕方なくF銀行の株を売ってGooodを100株買うことにした。これで配当目当てのNISA株を全部売ってしまった。一攫千金にどうしても惹かれてしまう沙優は、年間5パーセントの堅実な投資よりも、もっと大きく儲けられそうな話に弱いのだった。この低金利の時代には5パーセントでも十分に思えるが、もっと大きな利益が出そうな方にふらふらといってしまうのである。
数日後、Eーヨの株価が再び上がったので、300株持っているEーヨの株のうち、100株を5500円で売って、Gooodの株を200株買い足した。
この作品中の会社、人は全てフィクションです。株式投資は元本割れするリスクがある投資です。始める場合はリスク管理などの情報収集をしてからにしてください。




