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宇宙をかけた戦士の戦い  作者: イシハラブルー
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第四十九話 逆襲



〈前回のあらすじ〉



 いよいよ“魔帝アノウ”による最大の進軍が開始された。まず彼は手始めに、一隻の巨大宇宙船を送り込むと東京の街に向けて侵攻を開始、砲撃の雨嵐で街は火の海と化す。

 ライトは船の侵攻を食い止めるべく立ち上がったものの、送り込まれた無数の魔獣によってその行く手を阻まれ、ついに限界から倒れてしまった。

 だがそんな時、ライトを、地球を、そして宇宙の未来を守るため、広い銀河から“助っ人たち”がやってきた。

 そして今、逆襲が....始まろうとしていた。





・・・






・・

















「どうやら..ちょうど着いたみたいだ..」


 アイカは若干の狂気が入り混じった笑みを浮かべて呟いた。その指差す方向にはそれぞれ全く形の違う、四隻の円盤が浮かんでいる。


「あの円盤が..」


 ボロボロのライトが、目をうっとりと開いて問いかける。


「そうだ。アタシもさっき知り合ったばかりだが、みんなお前に力を貸すそうだ..」


「誰だ、一体..」


「さぁ..アタシはよく知らない。けどアタシ含めて、全員お前をよく知ってる人たちさ」


 四隻の円盤は綺麗に一列に並び、そして思わず咳き込むほどの煙を噴き出しながら静かに着陸した。

 ライトが薄っすら目を開くと、そこには円盤の数と同じ、四つのシルエットがあった。


「久しぶりよの、ライトよぉ!! まさかこんな形で再会するとは思っても見なかったぞ!!」


 そしてその中の一つ、恰幅がいいシルエットが、装備した機械をやたらガチャガチャ鳴らしながら高らかに叫んだ。


「ライト殿!! また会えて光栄でござる。またお力添えするために、拙者、こうして参った!!」


 続けて黒い甲冑に身を包んだ男が太い声で叫んだ。


「ライトさん、借りを返しにきました。微々たるものですがワタシの力!! どうぞ、お使いください」


 最後に銀色の宇宙服を着た知的な雰囲気漂わせる男が言った。


「バロン、ブシド、ケン!!」


 並び立つ三人の宇宙人の名をライトが呼ぶと、各々がポーズをとって返答をする。


「そうか..お前たちが」


「ふはははは、どうだ!! 心強いだろう!?」


「あぁ.. まさかお前のことをこんなに頼りする時が来るなんて思ってもみなかった」


「ふはははははははは!! そうだろう、そうだろう!!」


 バロンはバシバシとライトの肩を叩いた。ポンポンじゃなくバシバシなのがいかにも彼らしい。


「おい貴様、少しは加減してやれ.. トドメになるやもしれんぞ」


 呆れながらブシドがたしなめた。


「そんなヤワでもないだろ、コイツは」


 ジト目でアイカが言った。


「ですが、ここで無駄にダメージ与えるのは得策ではないでしょう」


 まぁまぁといった感じでケンが言った。


「こんなんでダメージが通るんなら苦労せんわ!!」


「そういう問題じゃなかろうが..」


「おい、お前ら.. ふざけるのもいいが、状況は省みてくれ..」


 四人がやんややんやと揉めているの見て、ライトは頭を抱えながら言った。


「Graaa!!」


 すでに四体の魔獣は咆哮を上げ、牙を剥き、大地を揺らして迫り来ている。


「..じゃあ、お遊びはここまでにしておこうか..」


「魔獣といえど..恐るるに足らず..」


「鋼の拳を!! 叩き込む!!」


「ワタシはクレバーにいかせてもらいます」


 四人とも武器を構え、並び立った。


「よし!! 我らの力、存分に発揮してやろうぞ!!」


「「「おぉっ!!」」」


 号令をかけると、四人は魔獣に向けて猛進していった。


「オレは船を止める!! アレを止めるまで魔獣を止めることはできない!!」


 それを見ていたライトは叫んだ。


「承知した!!」


「こっちは任せておけぃ!!」


「なる早で頼むぞ..」


「焦りは禁物ですよ..」


「....頼んだぞ!!」


 その場を四人に任せ、ライトは船を止めるため、荒廃した街をひたすらに走り抜ける。

 その最中、ライトは..


「・・(それにしても良かった。あの四人が来てくれなかったら、あのままジリ貧だった..

 そういや、なんだってこうも都合よく四人も集まるんだ?? 偶然にしては出来過ぎだろ..)」


 と、そんなことを思っていた。そしてその時..



---




--








『僕が呼んだんだ』


「!? 誰だ、君は」


 ライトの脳内に直接、男の子の声が聞こえてきた。それは俗に言う、テレパシーというやつだった。


『僕は大樹さ』


「ダイキ?? ......すまん、名前聞いた上で誰??」


『そういえば君には名乗ってなかったかもね。ホラ、僕はあれだ、君と戦った、暴走生物兵器だよ』


「あぁ〜、あの時の」


『良かった、覚えててくれて』


「へぇ〜、君が彼ら呼んでくれたのか。すごいな、君の能力は..」


『えへへ。まあ、この能力のせいで色々あったんだけどね』


「..特殊であるがゆえの苦悩か..」


『でもあの時君が止めてくれたおかげで、僕は今も普通に父さんと母さんと暮らせてるんだ。

 ..だからどうしても、僕を救ってくれた君の力になりたかったんだ』


「そうだったのか.. ありがとう。君のおかげで、なんとかなるかもしれない」


『どういたしまして。でも確かに呼んだのは僕だけど、彼らが来てくれたのは君だったからだよ。そこんところは胸張ってね』


「ハハ.. そうだな..」


『..あまり時間もなさそうだから、最後に一つだけ言うね。

 ....僕は君を信じる。君なら宇宙の危機だって救ってくれるって..』


「..任せておけ」






--




---





「....戦ってるのはオレだけじゃない。みんなそれぞれ、戦ってるんだ」


 ライトはビルの壁を駆け上がっていく。屋上からは街を蹂躙する船を間近で見ることができた。


「..絶対に食い止めてみせる!! みんなのためにも!!」


 魔双剣を構えると、ライトは翼を装着し、空へと飛び立った。

 しかし、船を目指して飛ぶライトを砲弾とレーザーの嵐が襲いかかる。圧倒的な物量、多勢に無勢、ライトはあえなく撃墜されてしまう。


「..正面突破は厳しいか。でも......やるしかねぇ!!」


 再び飛び立つライト、同じように圧倒的な量の砲弾が浴びせられる。


-ズバババババッッ-


 手に持つ双剣で、ライトは砲弾を斬り刻む。が、


-ズドンッッ-


「おのれッ!!」


 全ての弾を斬り刻みきれはしない、そして被弾する度に地面へと叩き落され、振り出しに戻される。


「..ソード・ア・ロットォ!!」


 ライトは無数のエネルギー剣を生成し、それを纏ったまま再び飛び立つ。


「喰らえッ!!」


 飛び交う砲弾を、生成した剣で迎え撃つ。爆炎が燃えたぎると、誘われて周りの弾も連鎖的に爆発する。


「行くぞぉぉぉぉおおッ!!」


 そのまま爆炎の中をライトは飛び込む。身を焦がす灼熱を突き進み、船への急速な接近を試みた。


「ぐ........届けぇぇッ!!」


 激しく炎上しながら、ライトは精神力だけでなおも進んだ。

 そして炎が晴れた時、ライトは船の目と鼻の先にいた。


「....やった..!?」


 一瞬安堵したライトだったが、直上から二筋の砲弾が迫っていることに気づき、とっさに身構えた。


-バシュバシュ-


-ドドォォンッ-


 が、どういうわけかその砲弾はライトが何もしなかったにもかかわらず勝手に爆発した。


「....何だったんだ?!」


 疑問に思いつつも、そのまま進んだライトはついに船の外壁に穴を開け、内部への侵入を果たした。

 そして複雑な構造をした内部を迷いなく進み、操縦室にたどり着く。

 操縦室は広い割りに中はがらんとしていて、中央にポツンと台座があるだけだった。

 それにライトが手を置くと、空中にいくつもディスプレイが現れた。


「認証は....可能か.. これはツイてるな」


 その中の一つを手で操作すると、船からの砲撃は停止された。


「これでひと段落か..」


 その場にヘタリ込むと、ライトは思考を巡らせる。


「..こんなチャンス..二度と来ないな..」


 頭では悩みつつも体はすでに動いていた。ディスプレイを操作する。


-Warp System Operation-


「..........よし」


 船は唸るような物々しい機械音を轟かせた。おそらくシステムの作動まで僅かだがかかることをライトは悟った。


「ダイキ..ダイキ..聞こえないか??」


 心の中でライトは呼びかけた。するとすぐに大樹は応答した。



---


--





「聞こえてるよ、何か用なの??」


「..話をしたい人がいるんだ..」


「星奈さん??」


 大樹はすぐにライトの意図を察してくれた。


「あぁ..声が聞きたい」


「..分かった。今繋げるよ」


 そう言うと、本当に一秒足らずで繋げてくれた。


「聞こえるか、星奈??」




---




--





「うん。聞こえてる」


 その声は確かにライトがいつも聞く星奈の声だった。


「..そっちは無事か??」


「まぁ、ボチボチかな」


「なんだそりゃ.. でも、生きててくれてるんならいいか」


「あはは、それもそうだね.. そっちこそ、大丈夫なの??」


「色々あったけど..まぁ大したことはないさ」


「よかった。突然話したいなんて言われたから不安だったんだ」


「そうか..そりゃ悪かったな」


「ほんとだよ〜....」


 冗談ぽく星奈は言う。それに安心感を覚えたライトであったが、時間は迫っていた。惜しみつつもライトは最後の言葉、願いをかけた。


「星奈、オレはこれから最後の決戦に挑む.. だから..いつもみたいに応援しててくれ..」


「いいよ。けど一つだけ約束して.. ..帰ってきてね」


「..........分かった、必ず帰る」


 機械音はますます激しさを増し、もはや肉声では何も聞こえないほどであった。


「そろそろ時間だ..」


「....分かった。いってらっしゃい..」


「..いってきます」


 二人の会話はここで途切れた。しかし..途切れないものもある。






--




---






 船の前方には魔法陣が出現し、そして船はそれに潜りだし、姿を消した。


「さらば..地球..」


 ライトは目的地に向け、航行を開始した。








ケン、バロン、ブシド、アイカはそれぞれ9、13、17、27話に登場、大樹は16話に登場です。


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