第七話 一人だけ召喚されし者(社員)③
――時間は2年前の旧友からプレゼンの誘いを受けた翌日に戻る。
「――て訳でプレゼンへ参加しようと思うだけどどうだろうか」
私の説明が不足なのか顎に指を置いて考える並木君。
印刷会社ではあるが、私のデザインでは彼が同人誌で培った画力に及ばない。そこで彼に新パッケージのデザインを頼んでみる事にしたのだ。
「社長、この話結構大きな話ですけど本当に僕なんかでいいんでしょうか」
確かに私は以前一度だけ何処だったか、インターネットの会社?のデザインをした事がある。
したと言うか、私が会社のブログなる物を試行錯誤しながら立ち上げた時、適当に書いた絵を気に入ったので使わせて下さいとメールが届いたので、使うなら金をクレと振込口座を伝えて元の絵を送った事がある。
メールで添付して欲しいとの事だったが、そんな難し事を言われても出来ないので封筒に入れて書留で送った記憶だ。口座の管理は適当に決めた取締役、私の母に頼んでいるのでいくら支払われたのか正直知らない。
2、3千円振り込まれていればいい方だと思うのだけど……。
そんな事を考えていると。
「わかりました。そのデザインやってみます」
「おぉ、やってくれるか!」
「その代わりと言っては失礼とは思いますが、社長も一枚描いてもらえませんか?」
「君がやるなら一枚でも二枚でも描く描く!いやぁよかったー」
――並木啓介は焦っていた。
誰も知らないだろうが、並木啓介は知っていた。
以前紹介された我が社の取締役である社長のお母様が事務所を覗きに来た時の事。たまたま彼が開いていた検索ページを見て。
「あ、これなのね息子がデザインしたのって」
「え?取締役。これ社長のデザインなんですか!?」
「ええ、確かそうよ?社名もその画面の会社と同じだし。さっき銀行行ってたからその会社からの入金は記帳してあると思うのだけども」
彼がその通帳を手に取り、振込社名とその金額を見て驚いたのは言うまでもない。
そう、社長こと山元博樹のデザインを世界で知らない人は多分この時代の人間では居ないのだ。
検索画面を開いた時に必ず目にするあの文字と色使い――検索サイトDooDlのデザインを。
――――。
――。
さて、彼にデザインは頼んだしこれで体裁は保てるでしょう。
あとは旧友の会社に行って例のエロイ女上司を見る事が出来れば御の字です。
でも私もデザインしないとなんですよねぇ……あ、アレとアレなんてどうでしょ。
徐に正月に使った墨汁と、全身金粉なAV的な大人なお遊びするつもりで買った金粉をデスクから取り出していた。
――――プレゼン当日。
「では最初の企業さんどうぞ」
プレゼン室に入り目に飛び込むエロブラウスの女上司様!
フォー!なんて欲情的なエロ女上司なんでしょうか!これは彼女から目が離せません!
こんな上司にイジメらている旧友は死ねばいいんです!私が代わりますから。




