15-1.再会
「東?!」
背後から声がした。振り向かなくてもわかる。水瀬君だった。
「こんなところで、何してんだ?」
「君こそ、どうして」
「斉藤が教えてくれたんだよ。なんかよくわかんないけど、東が困ってたって、犬がどうとか聞いたけど⋯⋯」
水瀬君は私の足元と顔を見て、一瞬驚いた顔をした。それから小さい子にするみたいに、屈んで私と目線を合わせる。
「⋯⋯どうしたんだよ、東。靴履いてないし、顔も真っ青だよ。大丈夫か? ノエルがどうかしたのか?」
気まずかったはずなのに、水瀬君の声は前みたいに温かくて優しかった。思わず泣きそうになった。
「の、ノエルが、ノエルがいなくなっっちゃって! 何処にも見つからなくて⋯⋯! だから、私命をかけるから、見つけてほしいとお願いしてて⋯⋯」
「はぁ?! そりゃ今すぐ探さないとだけど、そんな重いもの捧げんなよ! そんなんで見つかっても、ノエルだって素直に喜べないだろ?!」
最もらしい指摘に、ぐっと言葉が詰まった。
「だって私、今、お金持ってないし他に何も⋯⋯」
「気持ちはわかるけどさ。もう、仕方ねえなあ」
彼はそう言うと、自分の財布を出して、賽銭箱の上で逆さまに振った。
小銭の最後の一つが音を立てて落ちていく。残っていたお札も抜いて、そのまま全部入れた。そうして一礼して柏手を打つ。
「神様、さっきの東のはなしで頼みます! 代わりに俺の今の全財産! これでお願いします!」
「み、水瀬くん」
「そんな泣きそうな顔すんなって。らしくないなぁ」
水瀬君が困ったように笑う。その顔は私がよく知ってる顔だった。
「大丈夫だよ東、一緒に探そう。絶対に見つかるって」




