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【完結】ペーパームーンニューライト  作者: 一七


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11-1.彼の友達の相談



 それは、ノエルの散歩コースに学校の校庭が追加されてからしばらく経った日のことでした。

 相変わらずコソ練に励む水瀬君を、ノエルと二人で見守っています。


「あっ、くそ、また外した」


 彼は集中出来てないのか、露骨にそわそわしていました。いつもだったらほぼ決まるようになってきたゴールも、今日はなかなか決まりません。


 そうして「ちょっと休憩するわ!」と、気分転換とばかりにベンチにやって来て、気づけばもう30分近くノエルの頭を撫で続けています。

 私はピンと来ました。今日のおやつであるプロテインバーを彼に渡し、隣に座るよう促しました。


「⋯⋯君、その。最近、学校はどうですか?」


「なんだよ突然。お父さんか」


「君のお父様は、プロテインバー片手にお話をされるのですか」


「そんな訳ないだろ! 東って実は笑いを取りに行くよな。見習いたいぜ」


「いえ行ってませんけど。というか前から思ってましたけど、君、笑いの沸点が異常に低くないですか」


「なんだよー怒んなって。東がそれだけギャグセンスあるってことなんだから」


「⋯⋯まあ、なんでもいいけど。あの、詮索の意図は全くないですが、もし、なにか話したいことがあるなら、聞こうかと」


 水瀬君は手を止め、そのまま黙り込みました。

「⋯⋯ノエルが、また君の顔を舐めまわしそうな気配がしたので、一応確認です」


「何だよソレ」


 水瀬君は軽く笑い、観念したように話し始めました。


「俺、っていうか⋯⋯俺の友達の話なんだけどさ」


 得てして、こういう時の“友達”とは、大抵の場合、自分のことを指します。自分の相談だと思われたくない時に使う、よくある手です。


 最近気づいたのですが、水瀬君は周りが思っているよりも、ずっと繊細で、カッコつけのようです。もっとも、それを指摘するのは野暮というものでしょう。私は黙って、話の続きを待つことにします。


「最近、親友と気まずいんだって」


 水瀬君の“お友達”である相談者は、親友が自分の陰口を言っているのを、人づてに聞いてしまったそうです。

 しかも、その悪口の発起人⋯⋯言い出したのが、その親友本人だったらしく。親友のほうも、相談者がそれを知ってしまったことに気づいている。

 お互いに見て見ぬふり、聞かなかったふりをしているものの、関係は明らかにぎくしゃくしている。


 このままでいいのか、と悩んでいるそうです。


「⋯⋯東だったら、どうする?」


 そんな物決別一択です⋯⋯と、答えそうになるのを、ぐっと堪えました。


「まず確認なんですが、その相談者であるお友達は、その親友と、どうなりたいんですか?」


「そりゃ、もちろん元通りに仲良くなりたい⋯⋯んだと思う。グループもあるし、このままだとクラスの雰囲気も悪くなるだろうから」


「陰で悪口を言うような親友と、元通り仲良くしたいんですか?」


「ただのクラスメートとか、なんてことない友達なら気にしないよ。前に東が言ったみたいに、嫉妬って言うなら⋯⋯まあ、ある程度は仕方ないし。でも…… 」


 彼が私をちらっと私を見ます。ちゃんと聞きますよの意で頷き返しました。


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