27. 消されたリーパー
登場人物
<ディヴァインリーパー>
ジェシカ
グラフ
アンディ
アリス
アルス
クロード
ジェシカは着替えを済ませ、洗面所から出てアンディたちがいる庭へと足を運ぶが、そこには木陰で意識を失っているグラフと、その周りにアンディ、アルス、クロードの三人が立っていた。
「アンディ、グラフどうしたの?」
「来たか。心配するな、こいつはただ無理しただけだ」
「大丈夫なんだよね……」
「ああ、大丈夫だ」
アンディの言葉に胸を撫で下ろしたジェシカだったが、アルスが謝ってきた。
「すまねーなジェシカ」
「え、何が?」
「あ、いや。実はな、深夜にグラフから急に血の結晶を渡されて、錬成してくれって言われてさ」
「……そうだったんだ。でもなんでそんなにグラフは焦っているんだろう」
周りから見てもグラフは焦っているように見えている。だが、アンディだけは違ったようで、少し微笑みながら話し出す。
「お前の為なんだろうよ。ジェシカ」
「……私の為?」
「ああ、こいつはお前を一人で免罪符取りに行かせたくないんだろうよ」
首を傾げるジェシカ。
「一人だと、まだ色々不安だろ?ジェシカ」
「まあ、そうだね……」
「そういう事なんだよ。その不安を少しでも無くそうと、こいつは誰よりも頑張っている。そういう事なんだよ」
アンディの言葉に、倒れているグラフを見て近くに歩いていく。
気を失っているグラフの隣に座り、ジェシカはそっと肩に手を置く。
「グラフ……ありがとう。でも無理しないでよ……」
「……ふっ……ああ、分かったよ」
「え!! グラフ!?」
深く被っている帽子の奥から目を開け、口角を上げるグラフ。
「もう大丈夫だ。それに実際に対峙して分かった事がたくさんある」
グラフの言葉にアンディが応える。
「何か掴めたのか?」
「ああ、たがジェシカの話を進める方が先だ」
「そうだな。リビングに行くか」
「ああ」
二人の話を隣で聞いていたジェシカは、なぜか怒っていた。
「もう!心配したんだからね!!知らない!アルス、クロード行こう!!」
なぜかクロードの手を引っ張り、その様子を見てやれやれとした表情のアルス。
「え!? お、俺なの!? 引っ張らないでよジェシカ!」
ジェシカに引っ張られながら連れて行かれるクロードの二人と、後を歩いているアルスを見て、グラフとアンディは木陰から見て笑っていた。
「俺たちも行くかグラフ」
「分かった」
アンディが手を出し、グラフが握り立ち上がる。
─────────
ジェシカは恥ずかしかった事を隠すようにリビングに歩き、勢いよく扉を開ける。
「ちょ、ジェシカー。何を怒っているんだよ」
「別にいいでしょ!」
膨れた感じのジェシカはそのままリビングのソファーに腰を落とし、クロードとアルスは対面に腰を落とした。
「あらあら、朝からご機嫌斜めなのかしらジェシカは」
テーブルには既に茶器が人数分用意されていて、アリスがポットを持って歩いて来ていた。
そんな様子にクロードが話す。
「なぜかジェシカが怒ってて……訳わかんないっすよ」
「うふふ、年頃の女の子だもの、色々あるのよ」
「気にすんなアルス。それにお前、この話が終わったらアンディと一緒にギルドマスターの所にいくんだろ?」
「あ、はい。アンディが親父へ依頼報告しに行くとかなんとか……」
「そうか。なら早く済まそうぜ」
リビングで会話をしていると、遅れてアンディとグラフも入ってきて、アリスもソファーに腰を下ろした。
こうして、各自の思いを実行に移し、今後の話の方向とまとめの話が開始される事となる。
先に口火を切ったのはアリスだった。
「私から言わせてほしい事があるんだけどいいかしら?」
仲間を見渡し、話し出す。
「今回の件は相当厳しいと私は感じているわ。それでもジェシカの思いを果たす為に、このディヴァインリーパーは存在している。まずこれだけは忘れないでね」
アリスの言葉に全員が頷き、アンディがアリスの方を向いて話し出す。
「今日はリベリオンについて話をすると聞いたが?」
「ええ、既にジェシカにはアルカナンの事は話してあるから、あとはリベリオンの内情を知る必要があるわ」
「そうか、なら教えてくれ。夜に話してくれたリベリオンとクロスリーパーの因果を」
「ええ、分かったわ」
アンディ、グラフ、アルス、クロードの四人はアリスの話に耳を傾けていたが、ジェシカが話に割り込む。
「グラフは聞く必要ないって言ってなかった?」
不貞腐れたような態度のジェシカにグラフへと視線が集まる。
「ふっ、さっきは悪かったジェシカ。騙すつもりはなかった。だがお前の気持ちに応えたいと思っている事は本当だ。だからそんな不貞腐れるな」
横を向いて、ほっぺを膨らませているジェシカだったが、次第に表情も落ち着いてきた。
「わ、分かったよ。でも、もうあんな事するのやめてね」
「ああ、分かっている」
蟠りがなくなり、アリスは咳払いをして空気を変えた。
「……もういいかしらね。
聖王国リベリオンは一度、マリアとエルドレッドの手によって崩壊されているのよ」
アリスの言葉にジェシカの表情がピクリと動く。
「どういう事なの?」
「そうね、まずなぜマリアの血を絶やす事なくリーパー達は守ってきているのか、そしてマリアの前のリーパー達の存在がこの世に語られないのかを話す必要があるわ」
『マリア誕生前のクロスリーパーだと……』
アリスの言葉にジェシカとクロードの二人以外の三人は、驚きを隠せずにいたのだった。




