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紅月のクロスリーパー   作者: ルーツ
第四章 争いの果てに何を想うのか

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26.支配か、喰われるか

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 

グラフ

アンディ 

アリス

アルス

クロード

「──聖王国リベリオン。

前に少し話をしたけど、この国はクロスリーパーに対して敵対しているのよ」


アリスは知っていることを話し始める。そんな話にジェシカも反応を返す。


「何か、理由でもあるの?」

「そうね……それを知るにはクロスリーパー。いえ、ジェシカの中に眠るマリアの話をしないといけないわ」

「え、マリアの話? それって……」


ジェシカは、マリアと重なった時に記憶が流れてきたことを思い出した。


「どうしたのジェシカ?」

「あ、うん。実はさ……」


ジェシカはマリアとの出来事を、ゆっくりと語った。


「……そんなことがあったなんて」

「私も別に知りたいわけではなかったんだけど……アルスを助けたい一心で……」


「ええ、分かっているわ。それにもう包み隠さずに話せるから、こちらとしては楽になったわ。うふふ」

「あはは……それなら良かった」


二人の話を、グラフは腕を組んで目を閉じたまま聞いていた。

アリスは咳払いをし、改めて話し出す。


「そうね。いい機会だし、全員に話した方がいいでしょう。だから明日、準備も含めてすべてを話すわ」

「あー、確かに。それがいいかもね」


「そうね。それじゃ、リベリオンに関しての話は明日ということにしましょうか」

「分かった!」


明日、リベリオンとクロスリーパーの過去を話すことが決まり、ジェシカは肩の力を抜き、紅茶を口に含んだ時だった。


「おい、アリス。少しいいか? 時間は取らせない」


グラフがアリスに話しかける。


「え、ええ。別にいいけど、何かしら?」


グラフはグレン達に作ってもらった武器を手に取り、話し出した。


「俺は別にクロスリーパーの過去なんて興味がない。なら、今からでも進化への道を探る方を優先したい。だから時間があるなら教えてくれ」

「……なるほど、そうね」


アリスは少し考えてから口を開いた。


「……分かったわ」


するとアリスはソファーから立ち上がり、グラフから受け取ったフィセルの結晶を手に取り、目の前に置いた。


「明日、これをアルスに錬成してもらいなさい」

「……これはあの時のやつか」


「そうよ。これをその剣の柄に埋め込み、グラフのブラッディローズを結晶に与え、媒介として剣へと流し込む」

「それで?」


「多分だけど、貴方の血を与えることでフィセルの結晶は自我を持つ。その時、飲み込まれることなくグラフが主導権を取れるようになりなさい。

そうすれば、求めるクロスリーパーの進化は終わるわ」


「……なるほどな。要は俺の力で奴をねじ伏せ、従わせるってことだな」

「うふふ、簡単に言うわね。その結晶はホーリーエンブレムの一人よ」


「ああ、分かっている。だが、俺は負けるわけにはいかない!」

「ね、ねえ、大丈夫なのグラフ?」


心配そうにグラフを見るジェシカ。


「大丈夫だ。これくらいの試練、乗り越えなくてはお前の隣に立つ資格なんかないさ」

「……そんなことないけどさ……分かったよ。待ってる!」


「ああ、期待しておけ。早く従わせて、お前の元に行く」

「うん!」


こうして、この先に待つ様々な出来事に向け、着々と話が進んでいくのだった。




──次の日。


朝から外が騒がしいことに気づき、ベッドから飛び起きるジェシカ。


「なにー……朝から……」


目を擦りながら窓越しに外に目を向けると、庭でグラフが両膝を地につけ、苦しんでいた。


「……え」


しかし、少し離れたところにアルスとアンディ、クロードの姿もあった。

思わずジェシカは窓を開け、声を上げる。


「朝から何してるの、四人で!」


ジェシカの声にアルスが応える。


「おう、おはようジェシカ!」

「うん、おはよう」


窓を開けたジェシカの姿は朝日に照らされ、薄いレースの服装に身体のラインがうっすらと見えていた。

そんな姿を見たクロードは、思わず顔を横にそらし、照れていた。


「おい、ジェシカ」

「おはようアンディ」


そう言いながらアンディが、クロードに見えないようにジェシカへと近づき、声をかける。


「お前……そんな格好で……とりあえず着替えろ。そしてそのボサボサの髪を解いてこい。分かったか」

「え……」


アンディの言葉を聞いた後、ジェシカはふと我に返り、自分の格好を見た。


「わわ! も、もう! アンディの馬鹿!!」


慌てた様子のジェシカは窓を閉め、大きな音を立てながら着替えを済ませ、扉が閉まる音が外に響いていた。


「はは、もうジェシカも大人だな。あの時からもう五年か……」


クロスリーパーとして芽吹き、様々な出来事を経て今に至ることを思い出すアンディ。

そんなアンディに、膝を抱えているグラフが声をかける。


「悪いな、アンディ」

「問題ない。それよりお前、まだやるのか?」

「ああ、早くこいつを物にしたいからな……」


グラフが握る手には、黒い色をした片手剣。そしてフィセルの結晶が埋め込まれていた。


「……そうか。だが無理はするなよ。そんなすぐにできるわけではないし、お前自身が成長しなくてはいけないことも分かるだろ」


アンディは事前にアリスから聞いた話で、ある程度理解していた。


「ちっ……分かっているさ……」


片足を立て、立ち上がろうとするが身体が重く、剣を離し、そのまま倒れた。


「ったく、無理しやがって……」


木陰まで運び、休ませる。

グラフの試練は、まだ始まったばかりで何も掴めていなかった。


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