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紅月のクロスリーパー   作者: ルーツ
第四章 争いの果てに何を想うのか

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25. 託された刃

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 

グラフ

アンディ 

アリス

アルス

クロード

ミネルバ王国、拠点。


グラフは新たな剣を背負い、拠点へと戻ってきた。

ゆっくりと扉を開け、自室へと向かい歩いていると、拠点内に響いているはずの音がせず、いつもの空間なことに気づく。


「これは……まさか!?」


グラフは向きを変え工房の方へと歩き始めた。

そこには、ジェシカとアリスが工房のドア近くで立っている姿が視界に入る。


グラフの気配に気づいたアリスがこちらを向く。


「あら、グラフ。おかえり……うふふ、どうしたの? その背にある物は」

「あ、ああ。それより、終わったのか?」

「ええ、ついさっきね」


アリスの言葉に、グラフは工房の方へと歩き、中へ入る。


「これが……ジェシカの……」

「そうみたいね」


ジェシカの視界に、グラフとアリスが入る。


「あ! グラフ帰って来たんだね! おかえり」

「ああ、今戻った」

「そっか! ねえ、見てよ!」


ジェシカの持つ武器。

青みのかかった綺麗な刃だが、周囲から緑と赤のオーラが入り混じり、漂っていた。

柄はグラフの持つもののように重厚な作り。

だが、恐怖を感じるほどに禍々しさがある。


「恐ろしいな……」


グラフの言葉に、アリスが答える。


「うふふ、確かに怖いわね。でも免罪符があれば、解呪して本領を発揮できるわ」

「……確かにそうだな」


そんな二人の会話に、ジェシカが割り込む。


「アンディ! アルス! クロード! ありがとう!!」


ジェシカの声を聞いたグラフは、三人へと視線を向ける。

疲労、汗、空腹──そのすべてが顔に出ていた。


するとアンディが、ゆっくりと口を開く。


「話したいことは色々あるが、今は身体を休ませてくれ」


そう言うと、続けざまに後の二人も、その場に倒れるように膝から崩れた。


アンディはアリスを。

グラフはアルスを。

ジェシカはクロードを。


それぞれを支え、部屋へと連れていき、眠らせた。


──────────


ジェシカとグラフ、そしてアリスの三人は、リビングのソファーに座っていた。


「ねえグラフ。その剣どうしたの?」


ジェシカの問いに、グラフはアリスに視線を向ける。アリスは無言で頷いた。


「……そうだな。これから話すことは前代未聞だということを理解して聞いてほしい」

「……え? どういうこと?」

「……そのままの意味だ」


グラフの言葉に戸惑うが、二人の顔は真剣だった。


「分かった。聞くよ」

「……ああ」


するとグラフは、意を決したように話し出した。


「ディヴァインリーパーの俺、アンディ、クロードは、クロスリーパーを進化させるために、リベリオンとアルカナンには行けない」


「……あ、うん。この前話してくれたやつだよね」

「そうだ。だが、これは必ず成功するか分からない」


「え……そんなの危険なんじゃ……」

「そうだな。だが、そのリスクを冒してでもやるべきことなんだ」


アリスは二人の会話を無言のまま聞いている。


「そのための準備として、俺はこの剣を作ってもらったんだ」

「……うん、分かるよ。でも……そんな……」


「ジェシカ。お前の、俺たちを思う気持ちが分からないわけじゃない」


グラフは意を決した様に話を続ける。


「だがな、俺たちも、お前の思いに近づきたいという思いや気持ちも理解してくれ」


グラフの言葉が、ジェシカに刺さる。


「話は分かったけど、聞かせてよ。具体的に何をするのかを!」


ジェシカの問いに、アリスが今までやってきた過程を話した。


─────────


「……マナを使って、武器自体にブラッディローズを吸わせて、身体解放のみで戦う?」


「ええ、そうよ。クロードに出会うまでは、あくまでも想像までしかなかった。でも実際にそれが出来た。それなら他のリーパーができないはずがない。そこから私の研究が始まり、今に至ったってわけよ」


アリスの言葉に、ジェシカは何も言えない。


「話を割ってすまない。これで分かっただろう。俺はこの進化をすることで、残されたことをやり遂げるつもりだ」


「………………うん。分かったよ」


ジェシカの言葉を最後に、リビングには沈黙が落ちる。

そんな中、アリスが紅茶を飲み、テーブルに置くと、話を変えるように口を開いた。


「ジェシカ」

「何?」


「もうこの話は終わりよ」

「え……」


「これはあなたが決めることじゃない。決めるのは本人たちよ。それにジェシカには、今からやらないといけないことがあるでしょ」


アリスの言葉を聞いたジェシカの脳裏に、さっきの三人の姿が浮かんだ。


「わ、分かってるよ!」

「……そう。それならいいわ」


アリスは足を組み直し続ける。


「それじゃ、今から私の知る限りのリベリオンについて話をするわ」

「え、今なの!?」


「ええ。もうジェシカはいつでも免罪符を受け取りに行ける状態でしょ。行くなら早い方がいいわ」


アリスの冷たい言葉に、ジェシカは下を向き、俯いた。


そんなジェシカに、グラフが近づき帽子を取り、片膝をつき、ジェシカの手を握る。


「安心しろジェシカ。進化が終わり、使いこなせるようになれば、すぐに向かう」

「……グラフ……」


ジェシカの蒼い瞳から、涙が溢れる。


「ああ、今は互いにやらなければならないことをするだけだ。俺はお前を信用している。だからジェシカ、お前も俺たちを信用してくれ」


「……うん、わかった……信用するよ」

「ありがとう、ジェシカ」


こうして、目的とされる免罪符を持ち帰るための情報共有が始まるのだった。


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