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紅月のクロスリーパー   作者: ルーツ
第五章 悪戯の終末

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20. 崩壊前夜

登場人物

<ディヴァインリーパー>

ジェシカ 

グラフ

アンディ 

アリス


グラフの兄。

グレン

──同時刻。


ジェシカはブラッディローズを足場に早足でミネルバに向け、移動を開始していた。

ちょうどミネルバの国境に差し掛かる少し手前で知ってる心音が耳に聞こえた。


「──あれ、これってアンディだよね」


その場で足を止め、血の花びらを足場に心音が聞こえる方へ目を細める。


「あ! いた!」


その言葉と同時に、ジェシカはアンディの方へと方向を変えた。

どんどん距離が縮まり、やがて視界の先に人影が見えた。


「アンディー!」


ジェシカの言葉に向こうも気付いたようで、その場で足を止め、同じように血の花びらを足場に立っていた。

手を振り、笑顔のジェシカがすぐそこまできている。

そして足を止めた。


「ジェシカか。なぜこんな所にいる」

「え? なんでって」


するとジェシカはカバンから一枚の札を取り出し見せた。


「ほらこれ」


手に握られているのは今回の目的である免罪符だった。


「それは、免罪符か」

「そうだよ、色々あって話さなきゃ行けない事もたくさんあるんだよね」


笑顔で話すジェシカ。


「それでアンディはこれからどこに行こうとしてたの?調査かなんかなの?」

「いや、俺は今からグレンの所に行って武器を作ってもらおうとしている所だ」


「あー、なんだっけ……あ、そうそう、進化する為にって事だよね」

「ああ、だがな──」


アンディの表情がまだ何か納得言ってない、と言うよりしっくり来てないように感じ取れた。


「納得してない感じ?」

「……ま、まーな。ずっと矛を使ってたからいきなり違う武器を携えるのはな……」


「そっか。なら私も一緒に行くよグレンのところ」

「何!? だか先に免罪符使って解呪してもらえ」


アンディの言葉にジェシカは首を横に振る。


「なんでたよ。自分の事は自分でやれる。だからジェシカはジェシカの為になる事を優先しろ」

「……分かるよ。もちろん言ってる事は分かる。でもさ、これからも命を預ける仲間が困ってたら助けたいって思うのは当然でしょ」


ジェシカの言葉にアンディは何も返せなかった。


「ありがとう。なんて言わねーぞ?来るなら勝手に来い」


アンディの言葉にジェシカは少し嬉しそうに笑った。


「別にそんなの期待してないし。それにずっと一人で動いてたからちょっと疲れたんだよね」

「はっ! なんだよそりゃ、俺はお前の保護者じゃないんだからな」


そう言いながらアンディは血の花びらを蹴り、クロスリーパーの集落の方へと移動を再開した。

後を追うようにジェシカもアンディの花びらを蹴り、隣に並ぶように移動を再開した。


「はは、俺のブラッディローズを利用するとはな」

「えへへ、最初に教えてもらったのこれだもんね」

「──だな」


あの頃と今のジェシカは全く違う。今はディヴァインリーパーを引っ張っている存在として大きく成長している。


「ジェシカ」

「んー?」


「ありがとよ」

「あはは、何それー」


久しぶりの仲間との再開、そしてアンディとジェシカの二人での行動は"あの時"以来で互いにどこか楽しい時間を過ごしていた。


──────────────


──クロスリーパーの集落。


アンディは集落の中心となる井戸がある所に降り立ち、少し遅れてジェシカも隣に立った。


「よし、行くぞジェシカ」

「うん」


「なんかアレだね、アリスの話を聞いた後だと話が色々繋がって見える景色がこの前と違って見える」

「まぁそうだな。この状況一つを取っても違和感より納得感の方が強く感じる」


そんな話ししながら二人はグレンの工房へと足を運び、工房前まで着いた。


「ねえアンディ」

「なんだ?」


「いやさ、アリスに矛じゃなくて何って言われたの?」

「……特出した物は無いそうだ」


「え……何それ、どう言う事?」

「この話は中に入ってからでいいか?」

「あ、うん。分かった」


アンディは工房の扉を開けジェシカと一緒に中に入った。


「あれ……? フレデリックさんがいないね、それに工房なのに……静かだね」

「そうだな」


アンディは違和感を気にする様子もなく、奥のドアを開けた。

そこにはグレンが一人、机の前に立っていた。


「──あ? お前たちどうした。こんな時に」

「こんな時とは何だ?」


アンディの言葉に少し迷った顔をしたがグレンだったが二人を見つめた。


「光鉱石が出た」


「何!?」

「それって……!」

「ああ。クロスリーパーの始まりだ」


「やはり知ってるのか」

「詳しくは知らない。だが、それがキッカケでクロスリーパーと呼ばれる事になった経緯は知っている」


グレンの顔は決して明るいものではなかった。


「今、その光鉱石を工房の全員で採掘に当たっている」

「だからグレンしかいないのね」


ジェシカの軽い言葉にグレンが口を開く。


「はは、相変わらず軽い口調だな。だがな、これは大変な事態なんだよ」

「それって、何がそんな大変なの?」


「そりゃー、また聖王国リベリオンが情報を聞きつけ襲ってくるって事だろ」

「え、何で?」


グレンの言葉にジェシカは理解できずにいた。


「お前、アンディから何も話し聞いてないのか?」

「へ……? さっきのやつって事? あれならアリスから聞いてるから知ってるよ。だからって何でまたリベリオンがこの集落を襲う事になるのかが分からないんだよ」


グレンは一瞬納得しかけたが、すぐに首を振った。


「この村の惨劇はその光鉱石を巡ってる事は分かっているんだよな、それならまた同じ悲劇が起きると思うのは当然だろーが!」


怒りではなく、ただこれから起こるであろう出来事を強い言葉でジェシカに言うグレン。

これは同志たちを守る為にどうすべきかを真剣に向き合っての事だ。

だが、そんなグレンに髪一本すら揺らぐ事なく淡々と事実を口にするジェシカ。


「大丈夫。もうすぐリベリオンは崩壊する」


















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