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決戦・時間神と剣聖(2)

剣聖の次元断が神座を縦断し、玉座を貫く一筋の光となった。



その光に沿って発生する不可視の斬撃が、クロノスを切り刻む。

だがそうはならなかった。



巨大な玉座の後ろから現れた何者かが、次元断の断続的に発生する斬撃を全て無効化したのだ。


無効化とは正しい表現では無かったかもしれない。


その"何者"は、左手をクロノスが座す玉座の下にかざして、次元断の斬撃を抑え込んだのだった。


発生した攻撃判定を抑え込む事など普通は不可能だ。



もし可能だとすれば、それは"絶掌"でしか出来得ない事。

このAOで只一人だけが持つWOS。

剣聖シウスの"絶掌"だけなのだ。



剣聖は目を見張った。

クロノスの傍に立つ人影をみて驚愕した。



それは自身と瓜二つな存在、剣聖シウスそのものだったのだから。



シウスの表情が険しくなる。

『予想しなかった訳では無かった』

『だが、、まさかこのタイミングで私の複製(コピー)を出して来るとは、、』




ヒカリはメイリンを睨みつけた。



ヒカリの視線に気付いたメイリンは、冗談ぽく肩を竦める。

「楽しめそうでしょう?」

「まぁ、貴女の複製(コピー)を作るには苦労しましたがね」



ヒカリは直ぐモニターへ視線を戻す。

『公開しているスキル以上の物は使えないはず、、』

『ならば完全な複製など不可能』


『問題は中身が人なのか、、AIなのかだ、、』



戦闘態勢に入った時間神(クロノス)は、悠然と玉座から立ち上がった。


それと同時に剣聖コピーが漆黒の刃を抜き放つ。



シウスは即座に後方へ距離を取った。

『クロノスが時間制御と同等以上のスキルを使うと想定するなら』

『アドバンテージ無しで近づくのは不味い』



いつの間にか剣聖コピーがシウスの背後に回り込んでいた。

正面を見据えたまま目を見張るシウス。



漆黒の刃が振り下ろされた。

超高速で巻き上がる竜巻の様にシウスは身を翻し、漆黒の刃でそれを迎え撃った。


漆黒の二刀は甲高い音を立てて弾き合う。



その刹那、クロノスが動いた。

【クロノスが多重詠唱(マルチキャスト)を発動】


【クロノスがマジックミサイルを詠唱】


【クロノスがメギドフレアを詠唱】


【クロノスがライトニングエクスプロージョンを詠唱】



「なっ!」

シウスは絶句した。

『マルチキャスト?!』

『天位のスキルを使うのか?!』



剣聖コピーはシウスの逡巡を見逃さない。

凄まじいスピードでシウスに迫る。



後手を取ったシウスは防御態勢に入った。


すると剣聖コピーの斬撃が来る筈だったその瞬間、シウスの身体は宙を舞っていた。

剣聖コピーに投げられたのだ。



宙に舞うシウスは着地時の受け身体勢に入る。

『まさか投げ技を使うとは、、、』

『だが、詰まる所それは、、、』


そして受け身に成功したシウスは体勢を整えたまま着地する。

受け身によりダメージは微々たる物だ。



しかし状況は最悪だった。

シウスの着地に合わせたように、烈風が目前に迫っていたのだ。

さらに後方からクロノスのマジックミサイルがシウスを狙い撃つ。


シウスは挟撃状態に陥っていた。

しかもクロノスの完成間近な極大魔法もが控えているのだ。

絶体絶命といっていい状況だった。



シウスは笑む。

「この程度で私を追い詰めたつもりか?」


モニターの前で目を見張るメイリン。

「!」

シウスは納刀状態にあった。



【シウスのLv99 参の太刀 疾風・改が発動】



マジックミサイルと烈風がシウスのいた場所に直撃し爆煙を巻き上げる。



次の瞬間、シウスはクロノスの背後に現れていた。

シウスは居合状態から右手を瞬動させる。

「Lv99 零の太刀、、、」



その刹那剣聖コピーがシウスの背後に、漆黒の刃を振り上げて空中から迫っていた。


驚愕するシウス。

まさか裏の裏をかいてくるとは、。

その剣聖コピーの挙動は、どう見ても参の太刀疾風だった。



既にクロノスへの攻撃態勢に入っていたシウスは、背後への迎撃が間に合わない。

さらに防御も間に合わなかった。



剣聖コピーの刃がシウスを背後から切り裂いた。

その斬撃はシウスの体力ゲージを半ばまで削ぎ落とし、致命傷に至らせる。



斬撃を受けたヒットバックによりシウスは前に倒れかかるが、何とか踏みとどまった。

シウスは舌打ちする。

『コピーの挙動が戦闘ログで確認出来ない、、』

『ここまでするとは、やってくれるな、、』



そしてシウスは即座に反撃に移る。

漆黒の一閃が背後の剣聖コピーに放たれた。



だがそれを剣聖コピーは、後方へ飛び退き回避する。



シウスも間髪入れずにクロノスから距離を取る。


しかし再び剣聖コピーは見逃さなかった。

シウスが後退する位置を予測してか、その場所に烈風を放って来たのだ。



回避出来ないタイミングで放たれた剣聖コピーの烈風。

シウスは防御するか、迎撃し相殺するしか術はなかった。



さらに状況が深刻化する。

クロノスが追撃に動いたのだ。



【クロノスの時間制御(タイムマニピュレーション)が発動】



クロノスを中心に闇が吹き出し、辺り一面に広がり出す。

それは直ぐに神座全体を飲み込んでしまった。

天位が使う時間制御と同じ光景だ。

だが効果は?



剣聖コピーが放った烈風がシウスを目前に停止した。



『これが時間神(クロノス)の時間制御、、、』

シウスは目を見張る。


そしてクロノスの極大魔法が完成しようとしていた。




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