決戦・時間神と剣聖(1)
神龍を撃破する事で巨大回廊を抜けるゲートが開いた。
だがまるで通す気などないようにゲートの開いた空間は狭い。
シウスは嫌な予感がした。
故に、その狭い空間に向かって猛進する。
シウスとゲートまでの距離が10mになった時、開いていたゲートがゆっくりと動き出した。
開くのではなく、閉まりだしたのだ。
キヨミンが呆れた顔で呟いた。
「おいおい、少ししか開かない上に直ぐに閉まるってか?!」
シウスは半身にしてスライディングでゲートの隙間へ突進する。
その直後、ゲートは重い金属音を響かせて完全に閉じてしまう。
そしてキヨミンが心配そうに見つめるゲートの前には、シウスの姿は消え失せていた。
溜息をつくキヨミン。
「やれやれ、、心配させやがって」
すると瞬間移動でロアがキヨミンの前に姿を現す。
「何とか上手くいったみたいだね」
キヨミンはロアを見てニヤリとする。
「問題は私らだけど、」
「残りのボス狩り尽くしてドロップ品持って帰るか?」
ハユハが正面に迫るエネミー群に爆撃矢を打ち込みながら、
「非公式サーバーのしかも改造サーバーですよ」
「そんなドロップ品なんて持ち帰ったらヤバイんじゃないですか?」
ヒゲモジャがハユハとは反対側のエネミー群に突進しつつ、
「確かに、、、」
「持って帰れても公式サーバーから弾かれそう」
ロアが嫌そうな顔をして呟く。
「ここから帰れるのか? 私達、、、」
キヨミンはモーニングスターとトールハンマーを掲げる。
「そら回線引っこ抜くか、、」
「こいつら全滅させるしかないだろ!」
げんなりするロア。
「やっぱりそうなるか、、」
ハユハが弓を絞りつつ、
「では第二回戦と行きましょうか!」
はるか前方では活躍出来なかった鬱憤を晴らすように、ヒゲモジャが暴れていた。
なんとか巨大回廊のゲートを抜けきったシウスは、眼前にあった大きな螺旋階段を降りていく。
螺旋階段を降り切ると、そこにはさらに長い通路が続きシウスをうんざりさせ、そして焦らせた。
恐らく最終決戦になるであろうこの先に待つモノに、シウスは心が逸っていたのかもしれない。
自分でらしく無いなと思った。
”黒瀬ヒカリ”は剣聖シウスは決して焦ったりなどしないのだから。
そう己に言い聞かせ冷静さを取り戻す為に、静かに通路を歩いた。
そして通路の突き当りには、禍々しくも美しい装飾が施されたゲートが姿を見せた。
シウスはゲートを見上げた。
そして自嘲するように笑むと、シウスはゲートにそっと触れる。
『クロノスとの初対面か、、、』
『思えば雨音さんと偶然一緒して、99層を踏破したが』
『最終絶対防衛線は攻略していなかったからな、、』
静かにゲートは開き、シウスを神座へと誘う。
シウスはクロノスが鎮座する神座内に足を踏み入れた。
その広大な神座は、黒曜石で構成されたような黒く美しい内装だ。
特に装飾品などは無くシンプルで、照明としての巨大な燭台が床に幾つも置かれているだけであった。
華美な装飾など必要ない、、そう言わんばかりの存在感が神座の奥から感じ取れた。
巨大な存在。
そう何もかもが大きい。
それは巨大な玉座に鎮座する闇色のローブを身に纏った老人だった。
枯れた容貌からは、対峙した者の足を竦ませる程の不気味な威圧感を放っていた。
時間神クロノス。
この逆上の塔の主人にして、現エンドコンテンツ上で最強のボス。
シウスが神座に侵入したにも関わらず、クロノスは微動だにしなかった。
『こちらが何らかの攻撃をしない限り、』
『戦闘態勢に入らないのは、既存のボスと同じか』
シウスはクロノスから30m程離れた位置まで進む。
『ならばアドバンテージがある初撃で、ダメージを稼がせてもらおう』
クロノスが全く反応しないのを確認した後、シウスは漆黒の刃を抜き放った。
シウスの右手が瞬動する。
「Lv99 伍の太刀 次元断 」
シウスが放った不可視の斬撃が、地を切り裂き時間神に迫った。




