培った繋がりと同朋と(2)
ロアは巨大回廊の最奥を見つめた。
すると薄っすらと巨大なゲートの姿が見て取れた。
リアルの距離にすると1kmはありそうな遠さだ。
ロアは嫌そうな顔で一言呟く。
「と、遠い、、、」
苦笑するハユハ。
ヒゲモジャは困った様子で、
「ボス級エネミーも200体位いますね」
「これは、、 エネミー全滅させるんですかね?」
シウスは巨大回廊のさ最奥に鎮座している、白く巨大なエネミーを指す。
「従来は99ゲート目のボス"神龍"を倒せば、100層に降りる階段が出現するらしいが」
キヨミンも目を凝らすように回廊の奥を見据える。
「あ〜、あのデカイ白っぽいヤツか?」
ハユハが顎に手を置いて思案する様に語る。
「巨大なゲートも薄っすら見えますからね」
「エネミーを全滅させるか、、」
「又はその神龍を倒せばゲートが開いて、階段がある場所に行けるのかもしれませんね」
シウスは、、、ヒカリはとても嬉しかった。
自分が危機の時に駆けつけてくれる人がいる事に。
これは偽りの存在だと割り切って演じて来た、黒瀬ヒカリが成し得た事なのだ。
2年前の"コウ"なら絶対に有り得ない状況だ。
あの時のコウは、トラブルや苦労を共有している振りをしていただけ。
只の"仲間ごっこ"でしかなかったのだ。
だが今は違う。
ヒカリの抱えた危機に、彼らは駆けつけてくれた。
自身の損得を顧みずに。
それは理論的な事では無く、ひょっとしたら陳腐な感情論なのかもしれない。
だが、彼らはヒカリの危機を共有してくれたのだ。
これは事実だ。
だからこれが、これこそが本当の"仲間"なのだとヒカリは確信した。
人は他人と関わる事で繋がりが生まれる。
そして誠実である事で信用が生まれ、やがてそれは絆へと昇華する。
絆で結ばれた者達は、それ即ち"仲間"なのだ。
果してコウにそれを作る事が出来るのか。
ヒカリはその考えを消すように、頭を小さく振る。
今はそんな事を考えている場合ではない。
シウスは巨大回廊の先を見据えた。
そして四天王の面々へ振り返り、
「時間が惜しい、、」
「先ずは神龍を倒し状況を確認する」
頷くロア。
「では、私とハユさんで突破のサポート」
「シウスさんとモジャさんで突破後、神龍撃破で」
「キヨミンさんは両方のサポートと遊撃で!」
頷き刀を引き抜くシウス。
そして静かに頷く四天王の面々。
モニタリングしていたメイリンの表情が険しくなった。
『剣聖の四天王、、、』
そして疲れたように背もたれに身を預ける。
『水樹千春の仕業か』
『確かに黒瀬ヒカリを、この場に来させる以外に条件を課さなかった』
『しかもこの絶妙なタイミングでの救援』
『流石と言うべきか、、』
「それよりも、、」
と呟きメイリンはヒカリを一瞥した。
『黒瀬ヒカリにこの状況で手を貸す者がいる』
『我々が使う金や権力に動かされるのでは無く、、、』
メイリンは舌打ちした。
それは唾棄すべきだと言わんばかりに。
『それだけ黒瀬ヒカリが人心を得ているのだろう』
『それは賞賛に値するが、、』
『そんな形の無い不確かな物に頼るとは、愚かで馬鹿らしい』
ロアが杖を掲げた。
「私が極大魔法で道を開くから、すぐに走り抜けて!」
ハユハが弓を構える。
ヒゲモジャとシウスが、まだ反応していないエネミー群に向かって走り出した。
キヨミンがそれに合わせるように距離を置いて追随する。
ロアの二重詠唱が発動した。
「保持 Lv99 ライトニングブラスト」
「Lv99 氷結回廊 」
今ここにAO最強の5人による、逆上の塔最終絶対防衛線の攻略が始まった。




