培った繋がりと同朋と(1)
それはほんの一瞬だった。
縦に走る眩い一閃がイビルアイの頭上に走ったように見えた。
するとイビルアイが地上にへしゃげるように落下し、詠唱していた2つの極大魔法をも霧散させる。
次の刹那、イビルアイを中心に巨大な衝撃波が辺りを蹂躙した。
イビルアイと共に群れていた魔法タイプのボス級エネミー等は、その衝撃波に巻き込まれ一瞬で浄化するように消失する。
シウスは突然の状況の変化に、足を止めて唖然としてしまう。
『これは、、インペリアルアロー、、、』
それは狩人が使える最強のウェポンスキルだった。
こんなスキルが使えるのは、このAOでたった一人しか居ない。
辛うじて生き残ったイビルアイが再び宙に浮き、魔法を詠唱しだす。
だがその魔法を完成させる事は叶わなかった。
野太い聞き慣れた声がした。
「Lv99 飛翔烈破脚 」
灰色の大きな影が飛来しイビルアイを直撃すると、クレーターを穿つほどの破壊を生み出す。
イビルアイは粉々に砕け散って霧散した。
そしてそこに立っていたのは拳王ヒゲモジャだった。
「Lv99 超下降烈風」
シウスの背後で地面を震わすほどの轟音がした。
背後に迫っていたエネミー群に、地を切り裂き粉砕する程の下降気流が直撃したのだ。
その広範囲に渡る風属性の極大魔法は、そこにいたボス級エネミー等を粉砕し尽くし霧散させた。
シウスの身体が突然青白い回復エフェクトに包まれた。
「Lv99 クリティカルヒーリング」
減少していたシウスの体力ゲージが一瞬で全快する。
いつの間にか傍に立っていた法王が、シウスに最上級の回復魔法を施したのだ。
法王キヨミンがシウスを見ると、
「すまんね、少し遅れた」
拳王ヒゲモジャが苦笑しながらシウスの元へ歩いてくる。
「いや~なんとか間に合いましたね!」
「英雄は遅れて来るっていう、、そんな感じ?」
テレポートで一瞬にして魔王ロアがシウスの傍に現れた。
「何が英雄だよ、、」
「ただ単にモジャさんの支度に時間かかったから、遅れたんでしょうが!」
あわわ、、となりつつシウスの傍に到着する拳王。
シウスは驚いた顔で面々を見る。
「どうして、、皆ここに、、」
突然、シウスのすぐ傍の地面に矢弾が突き刺さる。
そしてその矢弾が陽炎の様に薄らぐと同時に、鷹視ハユハが残像を伴って現れた。
ハユハはシウスを見やると、
「水春氏から連絡があったんですよ」
「話はだいたい窺ってます」
ロアはニヤリとすると、クラン装備の指輪を見せる。
「で、このクランメンバー専用装備の出番って訳」
「作っておいて正解だったわね!」
シウスは指輪をメニューで確認する。
【リングオブソードエスカトス】
【いかなる状況であろうと、指定されたクランメンバーの元へテレポートする事が出来る】
その指輪を見つめてシウスは微笑む。
「そうか、、、これのお蔭か、、、」
そして申し訳なさそうに自身の傍にいる面々を見渡す。
「しかし、、リアルのトラブルに巻き込んでしまった」
「すまない、、、」
ヒゲモジャが溜息をつく。
「水臭いこと言わんで下さいよ、、シウスさん、、」
キヨミンが割って入るように手を差し出す。
「その話は事が済んでからにしようや」
ハユハが巨大回廊の先を見据える。
「取り合えずはシウスさんに反応していたエネミーは、全部処理出来たみたいですけど、、」
「これは骨が折れますよ」
「まだ先に200体近く居そうですし、、」
ロアがハユハを見て笑む。
「なぁ~に?」
「来て早々腰が引けっちゃった?」
ハユハが苦笑する。
「いや、、、普通、あんなの見たら腰が引けますよ」
フッと鼻で笑うロア。
「そうね、、、」
「でも、、」
そしてロアは身を翻して回廊の先を見据えると、
「私達四天王は剣聖を守るって、クランを結成したときに決めたでしょ」
ヒゲモジャはニヤリと笑む。
「ですね」
キヨミンが頷く。
「だな」
ハユハは深呼吸するように一息つくと、
「ならこの事件の首謀者に見せてやりましょう」
「最強のクランの力を」
また「水臭い」と言われそうなので、シウスは内心で呟いた。
『ありがとう、、、』




