未来への展望と約束
ロア主催のプライベートイベントがあった翌日、学校ではその話題でもちきりだった。
ゲームをあまりしない層でもAOは知れ渡っている。
理由はメディアに露出が多い黒瀬ヒカリの活躍も大きいだろう。
またAOが色々な業種と提携している為でもあった。
そして午前の授業が終わり昼休みに入る。
弥生とコウの元情報処理部での昼食も、今では当たり前の日課だ。
そこでの会話にも勿論昨日のプライベートイベントの話が挙がった。
弥生が笑顔で 話しだす。
「昨日のプライベートイベントの動画観た?」
お弁当を食べようとしたタイミングだったので、間の抜けた感じになるコウ。
「え? あぁ、、」
「皆でボコろう剣聖とナインピラーだっけ?」
弥生は嬉しそうに、
「それの後のやつね!」
「剣聖VS天位のエキシビションマッチが凄かったよねぇ」
コウは少しずっこけた。
『雨音氏に良いところ持って行かれて、ナインピラーの立つ瀬なしだな、、、』
それから2人で剣聖と天位の話で盛り上がる。
そしてお弁当も綺麗に食べきって、コウがお茶をすすっていると弥生の様子がおかしい事に気付いた。
何だかソワソワしている弥生。
話したい事があるのかもしれない。
弥生を促すようにコウは笑顔で問いかける。
「どうした?」
「何かあったか?」
弥生はおずおずと話しだす。
「えっとね、、」
「コウくんの都合が良ければの話なんだけど、、」
お弁当を丁度片付け終わって、弥生はコウに改まるように向き直る。
「一緒に暮らさない?」
コウは弥生からの突然の申し出に唖然とした。
まさか、そんな事を言われるなんて思いもしなかったからだ。
言い方を間違えたらしく、弥生は慌てて否定する。
「ご、ごめんなさい、、今すぐじゃ無くて、、」
「まだ私達、18歳にもなってないし、」
そして恥ずかしいのか、弥生は赤くなって俯いてしまう。
「卒業したら一緒に暮らせたらいいなぁって、、」
我に帰ったコウは冷静に思案して、
「う〜ん、、進路も決まってないしなぁ」
「それにお互いの進路次第では、遠距離になる可能性もある」
泣きそうな顔になる弥生。
それでも遠慮なくコウは自分の意見を語る。
「一緒に住む場所だってどうする?」
「借りるのか?」
「ならその資金は?」
反論出来ない弥生は、目に涙を浮かべて黙り込んでしまった。
まさかここまで冷静かつ辛辣に、コウから言われるとは思っていなかったのだろう。
そしてコウは溜息をつくと静かに言った。
「でも、良いよ」
「え?」と声を漏らして固まる弥生。
コウは笑顔で語りかける。
「進路は合わせよう、、勿論進学するだろ?」
「2人で住む場所も心配しなくてもいい」
「俺に任せて」
弥生はコウの言葉が嬉しくてとうとう泣いてしまう。
「コウくん、、、」
慌てるコウ。
喜ばすつもりが泣かせてしまったからだ。
「えっ? 何で泣くの?!」
「俺、何か不味い事した?」
弥生は小さく首を横に振る。
「ううん、、嬉しくって、、」
コウはホッと一息ついて胸を撫で下ろす。
少し意地悪な言い方を最初にしてしまったしな、、。
そう内心でコウは呟き、自己嫌悪する。
すっかり機嫌を良くした弥生は、涙を拭いながら笑顔で、
「コウくんの事、大好き、、」
「愛してるからね!!」
弥生に真っ直ぐに見つめられて、そんな風に言われたら誰だって陥落するだろう。
いや、元よりコウは弥生にメロメロなのだ。
恥ずかしがり屋のコウは、余り態度に出せていないだけで、既に陥落していた。
だからちゃんと言葉にして伝えるべきだ。
コウは真摯にそう思った。
「俺も愛してるよ」
その言葉を聞いた弥生は、感極まってコウに抱きつくのであった。




