幕引きと考察
unknownが消失して暫くすると、シウスがロア達の元にやって来た。
と言う事は、イベントが恙無く終了出来たのだろう。
ロア達がunknownと戦っている間、イベント進捗を管理できない。
そこをシウスと雨音がPvPをする事で、イベント参加者の注目を集め時間を稼いだのだった。
シウスは一同を見渡す。
「冬月氏の方はどうたった?」
「やはりunknownだったかい?」
ロアは少し気落ちした様子で、
「シウスさん、、」
ハユハが苦笑する。
「ですね」
「そしてunknownによるナインピラーの犠牲者が2人目に、、、」
キヨミンが不服そうにハユハへ詰め寄った。
「それは聞き捨てならないな!」
「私はわざと負けたんであって、犠牲者じゃぁ無い!」
ハユハはキヨミンを「まぁまぁ」と鎮めると、
「そうでしたね、、」
胡座をかいて座っていたヒゲモジャが頭を掻く。
「申し訳ないです」
「ガチでボコられた上、逃げられました、、、」
シウスは少し驚いた。
「ほほう」
「詳しく聞かせてくれるかい?」
ヒゲモジャは照れつつもunknownとの事の顛末を話し出した。
考え込むような仕草で唸るシウス。
「う〜む、、成る程」
「前後から同時に烈風が来たと、、、」
ヒゲモジャが参ったとばかりのジェスチャーをして、
「その後に羅生門の直撃を食らって、即死でしたよ」
ロアは驚いた様子で、
「ふぇ〜、闇嵐で全然見えなかった」
そしてハユハが申し訳ない表情をする。
「unknownから情報を引き出そうと思ったんですけどねぇ」
「そんな間もなく、、、」
「ただ、1つ分かった事はあります」
キヨミンがシウスに近づいてきて、
「AOを壊すって言ってたな、、」
ロアが心配そうに頷く。
「うん、、」
シウスは眉間にしわを寄せる。
「AOを壊すか、、、」
「穏やかではないな」
ロアはシウスを見つめると、
「背後に何か大きな物があるのかも、、」
「普通、壊すなんて言葉使わないし、」
「嫌な予感しかしないよ」
ハユハは顎に手を置き神妙な面持ちで、
「色々注意した方がいいかもしれませんね」
「AO内でも、リアルでも、、、」
キヨミンはハユハに嫌そうな顔を向ける。
「冗談でも変な事言うなや〜」
「縁起でもない、、、」
胡座をかいていたヒゲモジャが「どっこいしょ」と立ち上がる。
そしてキヨミンにニヤケ顔を見せると、
「何ですかぁ?」
「流石のキヨミさんもビビっちゃったんですか?」
頭に来たキヨミンは、モーニングスターでヒゲモジャの脚を叩き払う。
折角立ち上がったヒゲモジャがもんどりを打って倒れた。
勿論少ないがダメージ有りだ。
「ぐわ!」
キヨミンはヒゲモジャを見下ろす。
「お前はアホか?」
「私らはいわば著名人だぞ」
「AOで最悪何かあるならまだいい、、」
そして溜息をつく。
「だがな、リアルで本当に何かあったら問題だ」
「事件になる、、」
頷くハユハ。
「事件になれば、オンラインゲームの闇が問題視されるでしょう」
「それに我々の誰かが害されるなんて、、」
「考えたくもないですね」
ハユハは、unknownの残した言葉が脳裏を離れなかった。
『お前達が愛してやまないこの腐った世界が、』
『この先も本当に続くと思っているのか?』
シュン、、と縮こまるヒゲモジャ。
一同の雰囲気が暗くなりフロアーに静けさが支配した。
すると突然ロアが叫ぶ。
「あ、忘れてた!」
訝しむキヨミン。
「何だよ急に、、、」
ロアはメニュー画面を操作しだす。
「クラン結成したしね」
「折角だから、クランメンバー用のアイテムを作ったんだ」
そしてロアは、自身のアイテム欄から取り出した"それ"を次々一同に渡して行く。
シウスはロアから渡された"それ"を見つめる。
「指輪か、、」
「これなら常備していても装備を圧迫しないな」
ロアは嬉しそうに頷く。
「でしょ!」
「それにエンチャントしてあるからね」
「装備のグレードで言えば神器クラスだよ!」
ヒゲモジャは驚きながら装備したその指輪を眺める。
「凄いですね!!」
「製作に相当お金使ったんじゃないんですか?」
ロアは得意そうに「ニヒヒ」と笑うと、
「まぁね!」
「でもこの指輪のエンチャント効果を使えば、」
「AO内での有事に即対応出来そうでしょ」
ハユハは指輪の詳細をメニューで確認しながら頷く。
「なるほど」
ヒゲモジャが思い出したように、
「そう言えば、雨音さんは何処へ?」
シウスはメニューを閉じてヒゲモジャを見やる。
「イベント終了後、残った参加者達と話し込んでいたよ」
ロアは意外そうな顔をする。
「あの人、世界最強決定戦に全く姿見せないから、人見知りかと思ったんだけど」
「凄い社交的なんだよね」
うんうんと、頷くヒゲモジャ。
「人は見かけによらないと言うか、、、」
そしてヒゲモジャはドヤ顔をする。
「まぁ、雨音さんのリアルな姿見た事無いですけどね!」
「無いんかい!!」
と突っ込むロアとキヨミン。
そして苦笑するシウスとハユハだった。




