新生クランと天位(1)
ナインピラーの"魔王ロア"が管理するプライベートサーバーに、多くのプレイヤーが集まっていた。
急遽開催が決まったプライベートイベントにプレイヤーが殺到したのだ。
SNSで1時間前告知にも関わらず、殺到したのはナインピラーの知名度故だろう。
主催者は勿論ロアだ。
そして先着順で約500人までのプレイヤーが参加出来るのだが、サーバーのあちこちに参加出来なかったプレイヤーが溢れ屯していた。
一応プライベートイベントの様子は、ロアがネットでライブ配信するらしい。
なので参加出来なかったプレイヤー達は、お祭り気分を味わう事は出来るようだ。
ロアが設定したイベントフロアーに、約500人のプレイヤーが集まっていた。
そのフロアーの端にちょっとしたステージと壇上、巨大ディスプレイが設けられている。
その壇上にロア現れ、
「魔王ロア主催、プライベートイベントにお集まりいただき、皆さんありがとう!」
イベントフロアーに集まった500人のプレイヤーが、一斉に歓声をあげる。
歓声が落ち着くのを待ってロアが話し出す。
「本日はナインピラーと誰でも戦えるイベントと共に、」
「重大な発表が有ります!」
「それは剣聖をマスターにナインピラーを含む計5名で、クランを結成します!」
どよめくイベントフロアーに居るプレイヤー達。
「マジかよ!」
「5名って、最上位10名の内の半分じゃねぇか!」
「すげぇ! 大ニュースだ!」
と口々に騒ぎ始める。
ロアは、背後にあるディスプレイを指す。
「クラン名は、こちら!!」
そのディスプレイには、アルファベットで2つの言葉が表示されていた。
[sword eskhatos]
それをロアが口に出して音へと変える。
「ソード エスカトス 」
「まさにそのまま、"剣聖"です!!」
そしてロアは、壇上の横に並ぶクランメンバーに手をかざす。
「そして、メンバーは、、」
剣聖シウスがステージから笑顔で手を振り、それに合わせるようにロアが紹介する。
「我らがクランマスター、、剣聖シウス!!」
次にロアは、面倒臭そうに手を挙げる神官を紹介。
「そして剣聖を守護する四天王の1人、、」
「バーサーカープリースト、法王キヨミン!」
変わって愛想よく、両手を挙げてイベントフロアーの面々に手を振る巨漢の名が呼ばれる。
「同じく剣聖の四天王の1人、、」
「拳王 ヒゲモジャ!」
次に名を呼ばれたのは、こちらも愛想良く片手を振る狩人だ。
「次は、クランの目で剣聖を守る最強の狩人、」
「四天王の1人、鷹視 ハユハ!!」
そしてロアは自分を指し、ドヤ顔で、
「最後はこの私、、四天王の頭脳、、」
「魔王 ロアであります!!」
再び歓声が湧き上がる。
「うおぉ! カッコエエじゃねぇーか!」
「ソードエスカトスだってよ!」
「四天王とは、、またベタな、、」
「まぁ本当に四天王って言える戦力だから、いいんじゃね?」
と思い思いの感想がイベントフロアーに飛び交う。
ロアは改まるように壇上からイベントフロアーを見渡す。
「さて重大発表も済ませましたし、」
「クラン方針は、今後おって公開いたします」
そして片手を高らかに挙げると、
「早々にプライベートイベント、、」
「"みんなでボコろう剣聖とナインピラー"を開催したいと思います!!」
「おおー!!」
とイベントフロアーに集まったプレイヤー達が湧き上がる。
ロアがクランメンバーが並ぶ逆の方に手をかざす。
「さて、本日はさらにゲストをお招きしています!!」
するとステージの奥からロアが手をかざした場所に、雨音が現れた。
「天位 雨音氏です!!」
と、ロアが高らかに紹介する。
雨音は控えめにステージからフロアーの面々に会釈する。
するとプレイヤー達が騒ぎ出す。
「おお!! 出た!!」
「理論上最強! 天位 雨音!!」
「プライベートイベントなのに、最上位6人がここにいるのか!!」
「このイベントに来てよかった!!」
ロアはフロアーの端に幾つもある端末を指すと、
「それでは、イベントフロアーにお集まりの皆さん」
「受付端末でのエントリーをお願いします」
さらに背後にある巨大ディスプレイをロアが指し示す。
そこには5ブロックの戦闘フィールドが表示されていた。
「今回は、剣聖、法王、拳王、鷹視、天位の5名が皆さんのお相手をします」
「エントリー次第、この5ブロックにランダム振り分けされるのであしからず」
そしてロアは、檀上を力強く叩くような仕草をして、
「そのブロックの戦闘フィールドに転送されましたら、」
「そこに居る全員で、剣聖ないしナインピラーをボコっちゃってください!!」
割れんばかりの歓声がフロアー全体を覆う。
だが歓声の只中に、静かに佇むプライヤーが1人いる。
「、、、、、、」
そのプレイヤーキャラクターの頭上には、
【 LV94 冬月 】
と表示されていた。




