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「ぁあ、もう。手を引っ張ってでも天月の事を連れてくるんだった」
閉まった扉に寄り掛かり思わず頭を抱えた。あの人達は、本当に過去からやってきたのでしょうか。思わざるを得ない程に、反応が逸脱し過ぎている。もうちょっと、常識を教えなきゃだめだよね……。
じゃなきゃ、またモニターの前で歓喜して騒いだりするし。なんなんですかね、本当ー、昔と変わ──ッて、あれ?なんで、私は今、なゆた君の事を呼び捨てにしたのだろう……。
拭いきれない違和感、だけれど何処か懐かしい安堵感が絡み合う。
私は、記憶喪失になった覚えもないし、幼少期の頃に行った思い出だって断片的ではあるけれど、憶えている。その記憶の中に、二人は居なかった。でも初対面である、なゆた君の手を引っ張ったりと自分でも不思議な行動をとっていた。
早歩きをしながら、自分の行動に疑問を抱き考えていたけれど結局、家に着くまでに解決する事が無かったことだけを憶えている。
私の記憶の中に無い、記憶。あの二人は、私にとってどんな人物だったのだろう。
次の駅で降り、引き返しながらも解が見当たらない問題を一人で考えていた。
次は、一人で悩むのでは無く、二人に話を聞いて見よう、と。
秋葉原につき、再びエスカレーターを上り、二人が待つであろう場所に辿り着いた。
「居な、い?」
あれだけ、浮く服装をしていたら目立つはずなのに見当たらない。周りは見慣れた服装で溢れていた。
「何やってるんですかッ、もう。土地勘だって無いのに、二人で何処にッ……」
エスカレーターを降り、改札口に居る駅員さんに話を聞いた。それらしき二人は改札で悪戦苦闘しながらも、どうにか外へ出たらしい。
想像がついてしまうから不思議なもの。
「まあ、でもあの身なりならスグに見つかりますよね」
だけど、休日の秋葉原は平日以上にごった返す。現実的に、私一人じゃ、手が周わらない。お金も何もなきゃ、今の世の中は生きていけないって言うのに……。
「こうなったら、力を借りるしかないですね」
自分も入部している部室へと携帯で電話を掛けた。
『もしもし』
コールが三・四回鳴り、男性の声が鼓膜を叩いた。少し、高圧的で低い声の持ち主に気さくに返答する。
『あ、もしもし。その声は、まさ君ですね』
『あ? なんで、俺の名前を知ってるんだ? 冷やかしか? 冷やかしならすぐ様に特定すんぞ? 特定班嘗めんなこら』
『相変わらず、電話苦手なんですねっ。と言うか、式神を使って特定とか、また怒られますよ』
『バーロ。俺にはなあ、ネット仲間が大勢いるんだよ。配信者を嘗め──ん? その声は、なんだ……ハルか』
まあ、確かに大手配信者である、まさ君にはオカルト系の人から普通の方までが大勢見に来る。その甲斐があって、部活は滞りなく活動出来てるのも事実。
『もう! にーは、電話出ちゃダメだって言ってるでしょ!』
『ちょ、おま、電話を取り上げん──ぐバッ』
吹き飛ぶ音が聞こえた。
『はるねー! 電話なんて、珍しいねっ。どーしたのっ?』
『んーとね、探して欲しい人が居るんだッ』
『探して欲しい人……?』
『そう、その人はね──』




