不思議な再会
ユキはすっかり懐かしさに浸っていたが、少しの違和感を覚えていた。
どうして終わったはずの白桃フェアがここでは開催されているのだろう。
ユキは昔から、こう言う違和感みたいな物に対する洞察力に優れていた。
ユキ「ねぇ、このファミレスの白桃フェアって、きのうで終了したと思ったんだけどなんでここではやってるんだろうね?」
シオリ「さぁ、解らないね。でもせっかくだからさ、白桃パフェ食べない?」
ユキ「いいね!丁度食べたいと思ってたんだけど、逃したと思ってた笑」
ユキ「しかもさ、明日、シオリ誕生日じゃん。ご馳走しちゃう!」
シオリ「えっ!いいの、嬉しい!ありがとう」
注文を済ませ、少しすると白桃パフェが2つ運ばれて来た。
ユキ・シオリ「美味しそう!」
パフェを食べながら、話を続けた。
ユキ「美味しい!こう言う時間の為に働いてる気がする。」
シオリ「うん。幸せ〜。昔はミニパフェでお祝いしてたよねー。お互いの誕生日さ。」
ユキ「ははっ!懐かしい!」
パフェをゆっくり食べ終わるとユキは時計を確認した。
ユキ「そろそろ、帰って、夕飯作らないと。今日は楽しかった!昔に戻ったみたいで。また会おうね!」
シオリは微笑んでいた。
ユキはシオリと店内を後にした。
次の瞬間、なんかくらくらする….。
ユキは意識が遠くなって行くのが解った。
目が覚めるとそこは病院のベッドの上だった。
何処でどうなってこうなったのか、何も思い出せない。記憶が無い。
傍に心配そうに陽太と上司が見守ってくれていた。
昔、良く行ってたファミレスで気を失っていたらしい。
今日は土曜日。
金曜日、ユキは初めて無断欠勤したらしく、上司は呆れ顔で
「何やってたの?初めてだから多めにみるけど、しっかりしなさいよ。」
と言っている。
ユキ「すみません。」
陽太はユキの意識が戻った事に一安心している様子だ。
ユキは正気になって、シオリとの約束の事を思い出した。
ユキ「今日はシオリに会う日じゃん。連絡しなきゃ。」
慌ててスマホを取り出す。
LINE
ユキ「シオリ、ごめん!私、なんか意識して失って病院で寝てたらしくて…今日は待ち合わせ行けないかも!本当にごめん!」
随分時間が経ったけど、既読にはならなかった。
その日の夜、シオリのスマホからのLINEがあった。
「ユキちゃん、久しぶり、植村だよ。シオリは昨日の夜遅くに息を引き取りました。俺も今は実感すら湧かない。シオリ、病気だったんだ。ユキちゃんには心配かけたく無かったみたい。ユキちゃん、シオリの事、どうか忘れないで居て上げてね。ユキちゃんには最期を伝えて欲しいって頼まれてたから…」
ユキは感情を堪えきれずに涙を流した。
陽太が心配そうにしている。
陽太「大丈夫?」
ユキ「うん。ショックだけど…なんか不思議と落ち着いてる。シオリは私に会いに来てくれたのかな…。」
陽太「そうかもしれないね。」
ユキは寂しい気持ちが残りながらも、また前を向けた気がした。




