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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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第71話「小豪族」

越後北部。


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小さな館。


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「上杉へ付くべきか」


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老豪族が、低く呟く。


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兵は少ない。


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領地も小さい。


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だが。


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生き残らねばならない。


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「武田は強い」


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若い武士が、拳を握る。


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「だが、上杉は広がっている」


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最近。


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越後周辺で。


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小豪族の流れが変わり始めていた。


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恐怖だけではない。


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“生き残れそう”。


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そう思わせ始めている。


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「……まだ決めるな」


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老豪族が、静かに言う。


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「戦国は長い」


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即答だった。


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今。


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どこへ付くか。


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それだけで。


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家が消える。


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だから。


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急がない。


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その頃。


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兼継は、各地豪族一覧を見ていた。


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多い。


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戦国は。


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本当に細かい。


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一つ一つ。


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全部違う。


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「……時間がいるな」


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ぽつりと呟く。


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天下統一。


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そんな簡単な話ではない。


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まずは。


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越後。


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そして周辺。


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最近の兼継は。


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少しずつ。


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“積み上げる戦”を覚え始めていた。


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(次話へ)


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