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第330話 残された機構
京の内側では、静かに制度が動いている。
武田の兵は交易路を監視し、織田の旧軍は治安維持へと配置されている。
戦のための組織は、別の機能へと変換されていた。
それでも誰も抗わない。
理由は単純だ。
崩れることが最も非効率だからだ。
上杉の統治は支配ではない。
命令でもない。
ただ最も摩擦の少ない流れに全体を合わせているだけだ。
その結果として争いが消えている。
記録係は木札を整理する。
数字は揺れない。
矛盾もない。
かつては想像すらできなかった状態だ。
これは完成なのか。
問いは誰にも届かない。
答えは存在しない。
ただ一つだけ確かなことがある。
この世界はまだ動いている。
そしてその動きは止まる理由を持たない。




