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愛を捨てし軍神の娘は、魔王に堕つ ―十一歳、上杉兼継 覚醒―  作者: 竜太郎


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270/288

第270話「島津の刃」

薩摩国、鹿児島城。

中央の混沌から隔絶された九州の南端で、島津は牙を研ぎ続けていた。


島津貴久、四十六歳は、庭で熱心に刀を振るう息子たちの姿をじっと見つめていた。

中央の織田の急速な火力増強、そして北の上杉による精緻な国家運用の報告は、この地にも届いている。


「戦国は、天下の奪い合いではない」

貴久の言葉に、長男の島津義久、二十六歳が動きを止めた。


「では、何のために我らは刃を研ぐのですか」

「統治を維持する構造記録、だそうだ。越後の十四歳はそう考えている」


島津は終盤圧縮装置である。

局地戦における圧倒的な戦闘力は、どのような精緻な構造をも一撃で粉砕するトリガーとしての強度を秘めていた。

しかし、彼らはまだその力を外へは解き放たない。


「我らの出番は、奴らが構造を完成させたと過信した瞬間よ」

貴久は冷たく言い放った。


義久は黙って頷き、再び刀を振り下ろした。

外周の変数は、まだ静かに眠っている。

しかし、その圧倒的な軍事圧力の存在自体が、将来の全面戦争における最大の不確定要素として、世界の状態を均衡前夜の緊迫感の中に留め置いていた。

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