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姉妹を助けて

 ーブウドサイドー

つい手を出してしまった。ブウドは男達の前に現れ姉との間に入り遮った。 


 「何だこのバケモノは!?」

(失敬な、自分の何処がバケモ、ノ‥‥)

ブウドは思考を終える前に男達と自分を見比べてみた。

倍近くある体躯、薄緑色の肌、顔を触ると腫れぼったい瞼に吊り上がった鼻、口の中に収まりきらない牙、何処からどう見ても立派なバケモノの姿がそこにはあった。


 「いや、確かにバケモノと言われればバケモノですが‥‥。だからといっていきなり言われると傷付くと言いますか‥‥」何やらぶつぶつと小声で言っているのを聞いた男達はブウドの周囲を囲みジリジリと近付いた。


 その1人がブウドの背後をグサッと槍で刺した。

「痛った。急に何をするんですか、危ないですよ?」

その言葉が男達に理解出来ていない様子で苦しんでいる、俺等の攻撃が効いていると勘違いし一斉に襲い掛かった。

その槍は男の渾身の力を入れたが少し刺さっただけで貫くことはなかった。

 

 「これ以上傷が付くのは面倒なのですが‥‥、あのぉ少し攻撃を止めるということは、しませんかはい」ぶつぶつと独り言を言っているブウドに対し男達は最期の断末魔に聞こえ攻撃を続けた。


 暫くすると一際大きな男が前に出てきた。男達からは兄貴と呼ばれていた男は手に巨大な剣を携え意気揚々とブウドに襲い掛かった。


 見ると姉妹の姉を平手打ちした男であった。その男は大剣を振り上げブウドに飛び掛かった。よく見るとその大剣は全くと言っていいほど手入れがされておらず刃こぼれ、ひび割れしていた。


 「これ以上使うと壊れ‥‥」

最後まで言う前に振り上げた大剣は勢い良く脳天に直撃しビキッバキバキッと音を立てて粉々に砕け散った。


 「舌をかみました‥。お返しです」

流石に体格差が有りすぎて拳骨はまずいと思ったブウドは

片手を前に出し親指で人差し指を抑え力を貯めた。

親指を離すと人差し指は勢い良く兄貴の顔面を捉え弾き飛ばした。


 弾き飛ばされた兄貴は男達の間を通りズザザーと地面を擦りながらガンッと木にぶつかり木の葉や木の実等がガサガサと落ちる音、その後風が木々や落ち葉をカサカサと揺らす音が周囲を占領した。その間男達はひと言も発さず何が起きたか理解出来ずにいた。


 ーー数瞬後気を戻した男達は恐る恐る兄貴が通った後を見てみると顔面を血塗れにし木により掛かるようにして倒れていた。それを見た瞬間男達は我先にとその場から逃げ出そうとした。気絶している兄貴を無視して。


 「え、あのちょ、おーい!」

ブウドは男達を止めようと少し大きな声を出した。しかし男達にはその大きな声が咆哮のように聞こえ恐怖で足が竦み動けなくなった。


 ブウドは少しずつ男達に近付いていき、男達は死を覚悟した。ブウドは男達を素通りし兄貴を持ち上げると「忘れ物ですよ」と言って男達に投げ渡した。


 兄貴を受け取った男達はそのまま走り去っていった。


 ふぅとひと息ついたブウドは姉妹の方を見ると必死に繋がっているマロンを助けようとしていた。


 ブウドが姉妹の方へ歩みを進める。それに気が付いた姉は妹の前に立ちブウドを静止させようとする。かなりの体格差があり自分だけではどうにもならないことは百も承知だったが、妹を守るため震える身体を必死に抑え込みブウドの前に立ちはだかった。


 (怖い‥‥、でも少しでも気を反らさないと。マロンは私が守らないと)ブウドは手を伸ばし少しずつ姉妹の方へ向かっていった。


 少しずつ近づいてくる巨大な丸太のような腕。必死に抑え込んではいたがガクガクと全身を震わせ目を閉じできる限り恐怖を緩和しようとしていた。


 しかしその腕は姉を通り越し妹、詳しくは妹を縛っていた縄に向かっていった。ブチブチッと妹を縛っていた縄を引き千切り、自由になった妹は姉の方へ駆け寄った。姉も妹を抱き抱え今迄抑えていた涙が滝のように流れていた。


 一頻り抱き合ったあと姉妹はブウドの方へ身体を向け頭を下げた。

「ありがとうございます、私達姉妹を助けてくれて‥‥」

「ありがと、おじちゃん」


 (おじ‥!?まぁこの子からしたらおじちゃんか‥‥)

ブウドはそう考えながら姉妹に軽く手を振り森の中へ歩みを進める。今日の寝床を探さなくてはと考えていた。


 「マロン!?」

と姉が妹を呼ぶ声がした。どうしたのかと思っていると片足に違和感があった。見てみると妹のマロンが足に抱き着いていた。


 「お礼!」

自分達を盗賊から助けてくれたお礼がしたいとブウドを見つめた。


 「別に気にしないで下さい」

そう言ってマロンを離そうとしたが、マロンはブンブンと首を振り「お礼するの!」と言って離れようとしなかった。


 「妹もそう言ってますし良ろしければ何か御礼をさせてください。特別何か出来ることはないですが、村に行けば寝床なら用意できますので」声が振るえていたがそこには恐怖する様子はなく本当にただただ御礼をしようとしていた。


 (断るのも悪いかな‥‥、なにか不都合があれば直ぐに出ていけば良いか)と考えて姉妹に村へ案内して貰った。

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