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別世界に飛ばざれ苦労する

 「そうか‥‥ここは」

声が出せる今の状態、うつ伏せに倒れ下には地面があり、風で木々が揺れる音、周辺は夜間帯だったが星の光に当てられそこまで暗くは感じなかった。どうやら異界の門を抜け異世界とやらに来たのだとブウドは感じ取った。


 身体を起き上がらせようとすると全身に激痛が走った。仲間の兵士達に私刑されていたのを忘れていた。歯を食いしばり何とか仰向けに身体を向き直し空を見ると一面に星空が広がっていた。


 「綺麗だ‥‥。そういえばここ最近空なんて見る暇なんて無かったな」

独り言を呟いていると喉の乾きを覚え周囲を見渡すと水の流れる音が聞こえた。痛む身体を無理くり動かし音のする方へ向かわすと川が流れていた。


 片手で掬い上げ口まで運ぶ、あちらの世界とは別に汚染されている様子もなくそのまま喉の乾きを癒やした。もう少し休もうかと思ったブウドだったが、静寂に包まれていた森から何か悲鳴のようなものが聞こえた。


 ー人間サイドー

 「いい加減追いかけっこも飽きてきたなぁ、嬢ちゃんたちよ?ここらで諦めて俺等と来れば悪いようにはしねぇよ?」

男達(盗賊)が2人の女性を囲っていた。1人は年は15,6の女子、もう1人は前者より10歳程年の離れた女児が女子の後ろに隠れ怯えている様子が見えた。


 恐怖で泣き出してしまう女児だったが

「うるせぇぞ糞ガキ、黙ってろ!」と男が持っていた棍棒を地面に叩きつけ強迫すると唇を噛んで必死に声を出さないようにした。


 「妹に手を出さないでください!」

この2人は姉妹だった様子で姉が妹に手を出させぬよう必死に守っている様子が見て取れた。


 その言葉を聞いて男達は一斉に大笑いした。

「格好良いねぇおねぇちゃん!でも足が震えてるよ?そんなんで妹を守れるのかな〜?」

挑発するような言動を放ち、姉に対し平手打ちをし姉は体制を崩し転倒してしまう。


 「この女気に入った、売るのはチビの方だけでこっちは壊れるまで俺の玩具にしてやる!」

「良いんすか?こんなの頭にバレたら大変ですぜ?」

男の1人の提案に面倒臭そうに返す他の男達。


 「構うことはねぇよ、頭にバレなきゃいいんだ。それにこのチビも中々の上物だ。売って頭に上納金払っても釣りが来る!」


 「確かに‥‥、それもそうだな!だったら独り占めは良くねぇ、俺等にも分けてくれ!」

男達の勝手な提案に姉は身体を震わせ恐怖していた。


 妹の方を縄で縛り上げると男達が姉の方へ向かう。姉は妹を助けたい、でも逃げたいと葛藤と恐怖に足が竦み動くことは叶わなかった。


 妹も必死に姉を呼ぶが言葉を返す事が出来ない、男達はその間も近づいてくる。絶望から背けるように目を瞑った。しかしある時を境に男達の足音が消えた。不思議に思い目を開けると巨大な丸太と見間違える程の薄緑色の物体が目の前にあった。


 ーブウドサイドー

 悲鳴のする方へ行ってみるとそこには魔界では見たことのない生物がいた。一方は小さき者をその身で覆い隠し前にいる者たちから庇おうとする様子が見られる。


 もう一方はそんな2人を囲むように近づき何かを言っていた。何を言っているのかは理解できないが今から囲んでいる方を食すものだとブウドは推測した。魔界では戦場で食料補給の際敵兵を倒し食す事も稀にある。ならばこの行為も仕方のないことと考え観察することにした。


 しかし男達が一斉に笑い出し内の1人が平手打ちをして転倒させた。小さき者を縛り上げると女子の方へ近づく。それだけなら理解出来たが男達は自分の着ていた衣類を脱ぎながら近づく、その行為にブウドは完全に理解不能に陥った。


 (何で服を脱ぐんだ‥‥?食事なら服は脱ぐ必要はないはず。すると、まさか‥‥)

そう思った瞬間ブウドは片腕を前に出し男達の進行を阻んだ。

 

 ー人間サイドー

 「何だこのバケモノは!?」

男達は得体の知れない怪物に驚愕する。


 姉妹は目を凝らし男達が言ったバケモノを確認した。

そこには体色は薄緑色、体格は巨木が動いているが如く、

手足はその巨木から太い丸太が生えていると錯覚するほど。


 「な、何だてめぇ!?俺等の邪魔しよってのか!」

男達は先程まで姉妹に手を掛けようとしていたが、目の前に想像を絶するバケモノが現れてはそんなことをしている場合ではないとして、そのバケモノを取囲み臨戦態勢に入った。

 

 「大丈夫、マロン!?」

姉はマロンと呼んだ女児を縛っていた縄を解こうとしたが

固く縛られており中々解くことが出来なかった。


 一方でバケモノを取り囲んでいる男達は武器を構え臨戦態勢を整えていた。相手は得体の知れないバケモノだが数は1体、こちらは何人もいるし集団戦術はお手の物。最初こそ恐れていたが何てことない、いつも通りやればいいとジリジリとその距離を詰めていく。


 バケモノは何かを喋っていたが何を言っているのか判らず大方この人数に恐れをなし精一杯威嚇しているのだろうと考えていた。


 しかもよく見ればそのバケモノは全身に大怪我をしている、まず負けることはない。そう高を括って盗賊の1人が背後から持っていた槍でひと突きした。傷口に命中したそに対しバケモノは声を荒らげた。


 「効果あり、続け!奴を殺せ!」

その言葉を合図に一斉に飛び出した。男達の攻撃に為す術もない様子、又何かを発言している様子も見られたが男達は攻撃に集中するあまり聞こえていなかった。聞こえていたとしても言葉は通じず悲鳴をあげている位にしか思わないだろう。


 一頻り嬲った後男達の中でもガタイの良い男が前に出てきた。「最後は俺がやってやるよ」「兄貴、やってくれ!」男達の歓声の元出てきた男は先程女性を平手打ちした男だった。

 

 兄貴と呼ばれた男は一際大きい剣を両手で持ちバケモノに駆け寄り跳び上がった。大剣を振り上げ前体重を乗せた一撃をバケモノの脳天に直撃させる瞬間

(やった‥‥!)男達の誰もがそう思った。


 しかし大剣の刀身は粉々に砕け散りバケモノには傷一つついていなかった。開いた口が塞がらない様子の男達。頭を片手でさすり何かを発しているバケモノ。


 するともう片方の手を兄貴の顔面に走らせた。兄貴は防御が間に合わず巨拳が直撃するかというところで寸前で止まった。しかしその拳を凝視してみるとしっかり握られとはおらず、人差し指を親指で押さえている形だった。


 一瞬の間の後、親指の稼が外れ人差し指が轟音と共に兄貴の顔面を捉えた。その瞬間兄貴の意識は遥か彼方へ飛ばされた。

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