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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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外伝 ミオ視点 49

ミオ視点です。

 圭さんは相変わらず話が早くて助かる。

 まさかもう闇堕ちについてまで話せるとは思っていなかった。

 しかも圭さんが説明してくれた事によって、ハル姉さんの家族達も十分に闇堕ちの恐ろしさが分かったみたいだ。


 それでも、本当に記憶を取り戻したいと思うのか?

 記憶を取り戻さず、新たにハル姉さんを娘として認識して生活していく選択肢だってある。

 まぁその場合は、ハル姉さんの記憶をいじる事にはなるけど。


「あの、ミオさんはそれでいいと思っているんですか?」

「はい?」

「本当に、ハルさんがご家族の皆さんから忘れられたままでいる事を、正しいと思うんですか?」


 全く、困った質問をしてくる方だ。

 家族から忘れたままでいる事を正しいと思うか? そんなの、正しくないと思う。

 現にあの時本体はハル姉さんを止めよとしていた。

 結局は間に合わず、メモリアが記憶を消す事になってしまった事を、ずっと後悔していた。

 でも、色んな力が増えて全能になった時、気付いたんだ。

 あそこであの選択をしていなかった場合、この世界は完全に崩壊していた事実に。


「どうでしょうね? 私にはどちらが正しいかなんて分かりませんから」

「どういうことだ?」

「皆さんの為を思い、皆さんから自分の記憶を消したハル姉さんも正しいと思いますし、大切なハル姉さんを忘れていてほしくないと思うからこそ、皆さんに記憶を戻したいという圭さんも、正しいと思いますからね」

「だったら、俺達に協力してくれてもいいんじゃねぇのか?」

「残念ですが、そういうわけにはいきません。どちらが正しいかは分からなくても、どちらが闇堕ちする可能性が高いのかは分かりますからね」


 ハル姉さんは優しい、優しすぎる方だ。

 自分の事を陥れようとしていた相手ですらも救おうとする、イカれた優しさを持っている。

 そんなハル姉さんが、自分のせいで家族を苦しめている事実に耐えられる訳はない。

 だから家族から記憶を消したのは正しかった。


 でも行動は正しくても、動機が間違っていた。

 だからその動機の間違いには気付いてほしい。

 このままずっと家族とすれ違ったままではいてほしくない。

 それはあの時ハル姉さんを止められなかった私達の総意だ。

 そして今、そのすれ違いを正す事と、闇の種の除去が同時におこなえるチャンスが巡ってきている。

 圭さんの選択で、この先の未来も大きく変わってくる。

 慎重に選んでもらわないと……


「ミオさんは、ご存知なんですよね? ハルさんが皆さんから消した記憶の内容を」

「もちろんです。教えて欲しいんですか? 教えたら、納得して諦めてくれますか?」

「いえ、それを今ここでミオさんから聞いてしまうというのは、ハルさんに失礼だと思います。だからハルさんに直接聞きます」

「け、圭?」

「ハルが話してくれると思うのかい?」

「話してくれますよ。今のこの状況を話せば……」


 ハル姉さんに直接聞く、か……

 悪くない選択ではある。

 ただ、話す過程でハル姉さんが闇の種に呑まれる確率が12.006%……


「だからミオさん、少し待っていてもらえますか?」

「待つ?」

「僕がハルさんから皆さんの事を聞いて、その上でどうするべきなのかという意見を出すまで待って下さい」

「何故待つ必要が?」

「ミオさんが裁判官だとした場合、僕とハルさんは対立しています。でも僕はまだ現状が正確には分かっていないので、提示できるものが足りていないんですよ。判決を下すのなら、両者の意見を最後まで聞いてからにするべきじゃないですか」

「なるほど、一理ありますね」


『以前ハルさんは、ミオさんは負けなしの弁護士さんだと例えていた。だったら両者の意見がぶつかった場合には、その意見を平等に聞かなければいけない事は分かってくれているはずだ』


 一理あるとか言っといて何だけど、圭さんが何を言ってるのかは正直あまり分かっていない。

 まず、裁判官って何? 弁護士って何?

 多分なんか、公平に裁く人なんだろうけど、私はこの世界の文化にそこまで詳しくないから。

 とはいえ、今はそれは重要じゃない。

 重要なのは……


『それに多分、ミオさんは……』


 うん、こっちだな。

 私の思考をしっかりと理解してくれいるみたいだ。


「……待っていてくれるんですよね?」

「いいですよ。ですが、私もご一緒します」

「え?」

「ハル姉さんにあの日の事を話してもらうというのも、それはそれで危険ですからね。すぐに対応出来た方がいいです」


 とりあえずは私の家で話してもらおう。

 本当に闇堕ちしたなら、そのまま閉じ込めておけるから。


「お、おい! すぐに対応って、まさか……」

「あぁ、ご安心下さい。話してもらう程度の事でハル姉さんが闇堕ちする事はありません。それに、闇堕ちしたとしても、殺さないといけなくなるのは最悪の場合のみです。仮に闇落ちしても助かる可能性は十分にあります」

「そうか、よかった……」


 私がハル姉さんを殺すと心配していたんだな。

 そんな事は絶対に起こさないつもりではいるけど、それを話して安心してというつもりはない。

 これくらい警戒してもらっている方が丁度いい……いや、ちょっと心配しすぎか?


「闇堕ちの事を警戒して下さるのはいいですけど、そこまで心配しなくても大丈夫ですよ。何しろ闇堕ちのプロフェッショナルだと言っても過言ではないこの私がいるんですからね!」

「闇堕ちのプロフェッショナル?」

「今まで何人もの闇落ちした人を救ってきたんですか?」

「何人もっていう程は、誰も闇堕ちなんてしていませんよ。資料では何人か闇堕ちの前例がありますが、私の知り合いで言えば、私ともう1人くらいですね」

「……えっ、私と?」

「はい、私が闇堕ちしたことがありますね」

「……大丈夫なんですか?」

「大丈夫じゃないように見えますか?」

「大丈夫そうに見えます」

「ま、そういう事です」

「どういう事だよっ!」


 まぁ、私っていうか、私の本体なんだけど。

 私は絶対に闇堕ちする事のない分身体だから、大丈夫に見えるのは当たり前で……って、そんな事は今はどうでもいいか。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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