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桜色のネコ  作者: 猫人鳥


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外伝 ミオ視点 48

ミオ視点です。

 ハル姉さんを闇堕ちから救い出す準備は既に万端。

 あとは待つだけ……と、普段と変わらない日々を過ごしていたところで、ついに召喚された。

 私にとっても最善のタイミングだったので、本当にありがたいと思う。


「それで、私を呼んだご要件はなんですか?」

「ミオさんは当然、ハルさんがご家族の皆さんから自分の記憶を消している事をご存知ですよね?」

「そうですね」

「僕はそれが嫌なんです。皆さんにハルさんの記憶を思い出してもらった上で、僕をハルさんの恋人として認めて欲しいですから」

「なるほどなるほど? つまり、皆さんに記憶を取り戻してもらおうとされていると」

「はい」

「私達は大切な娘の事を忘れてしまってるんです……」

「お願いします。記憶を取り戻す事に協力して下さい」


 ハル姉さんの家族達とも既に接触済。

 事情も全て理解しているようで、急に現れた私をわりとすぐに受け入れて、頭を下げて頼んできている。

 正直、ここまでしてくれているとは思っていなかった。


「んー? ハル姉さんはこの事をご存知で?」

「ハルさんには言っていません。だからハルさんは今日僕が皆さんと会っている事も知りません」

「それはそれは……圭さん? あなたはハル姉さんに内緒で皆さんの記憶を戻したいとお考えなんですね?」

「いえ、ハルさんに内緒のままにはしたくないです。ハルさんとちゃんと話して、納得してもらいたいですからね。でもハルさんにどう話せばいいのかが分からなくて……だからミオさんを呼ばせてもらったんです」


 私はもっと、ハル姉さんの家族について悩んだ時点で呼ばれると思っていた。

 ハル姉さんが家族から記憶を消したという真実に対して、どうしたら記憶を戻してハル姉さんが家族を取り戻す事が出来るかを、聞いてくるだろうと。

 でもそれがまさか、ハル姉さんの家族に事情説明を終え、全員でハル姉さんを説得するフェーズまで来ているとは……

 ただ、だからこそ甘く考えられるのは困る。


「その意見には賛同しかねますね〜」

「えっ?」

「ですから、私は皆さんにハル姉さんの記憶を取り戻してもらう必要性はないと言ってるんですよ」

「な、何言ってんだよっ!」

「まぁまぁ、そう興奮なさらずに〜」

「お前、ふざけてんのか? おい、圭。コイツは俺達に味方してくれるんじゃなかったのかよ!」


『俺達が必死だっていうのに、さっきからふざけた態度ばっかり……』

『記憶を取り戻してもらう必要性がないだなんて……』

『圭君は、協力してくれる人だと言っていたけど、こんな調子の人では信用が……』


 当然心は読ませてもらっている。

 ハル姉さんの家族達からは当然の反応だ。

 でも圭さんと純連さんは、


『ミオちゃんだもの。何か考えがあってこんな事を言っているのよね。私が口を挟むべきではないわ』

『深刻な悩みをこれだけ軽くあしらわれたんだから、この反応になるのも無理はない……』


と、客観視していた。

 相変わらず面白い人達だ。


「なんですか? 皆さん。まさか、覚えてもない家族がいるなんて話を信じているんですか?」

「えぇ、もちろんです」

「当たり前だろ」

「圭君の話を聞いて、それを否定できない自分がいる事が、何よりの証拠だと思っています」

「ふむふむ。これは圭さん、大変な事をしてくれましたね」


 本当に、とんでもなく大変な事をしてくれている。

 記憶が戻ってもいないのに、ハル姉さんの存在を信じさせ、味方にするとは。

 これでまた、ハル姉さんを闇堕ちから救える可能性が高まった。


「あの、ミオさん?」

「仕方ありませんね。私が今ここにいる皆さんから記憶を消すとしましょうか」

「なんでそうなるっ!?」

「あ、安心してください。圭さんと純連さんからは、ハル姉さんに親がいないという事に対する疑問を持たないようにするだけで、ハル姉さんの記憶を消すわけではありませんから」

「おい、人の話を聞け!」

「ミオさん。それがハルさんの闇堕ちを防ぐ事になるんですか?」

「はい?」


 おぉ、いきなり核心的な事を言ってくれるとはありがたい。


「前にミオさん、言ってましたよね? ミオさんは基本的に闇堕ちの事しか考えていないって。他の事は二の次、三の次くらいにも考えてないんだって」

「あー、言いましたね」

「僕の記憶の時には応援してくれたミオさんが、今回非協力的だというのは、皆さんに記憶を取り戻してもらう事がハルさんの闇堕ちに繋がるからなんですよね?」

「……そうですね」


 圭さんは本当に、話が速くて助かるな。

 ここまで順調に進むと、逆に不安になってくる。


「なぁ圭? 闇堕ちってなんだ?」

「ハルさん達みたいな方達だけがなる病気のようなものらしくて、その状態になってしまうと、最悪の場合は殺さないといけなくなるそうなんです」

「そ、そんな病気が……どうしたらその病気になるんだ?」

「マイナスの感情を自分で抑えきれなくなった時……でしたよね?」

「はい。しっかりとご理解いただいているようで安心しました」


 本来ならそう、マイナスな感情の制御によって引き起こされる状態だ。

 ただ今回でいえば、ハル姉さんには闇の種が埋め込まれている。

 既に発芽しているあれは、少しでもハル姉さんに自己否定をさせたら最後、確実に闇堕ちへと促してしまう。


「ミオさんが協力してくれないのは、僕達が記憶を取り戻してしまうと、ハルが傷付いてしまうからなんですね?」

「俺達の記憶がハルを傷付けてしまう……」

「そーですよ。だから大人しく、記憶は消されたままで過ごしていて下さいね!」


 記憶を取り戻したい、その思いだけで取り戻せるなら、とっくの昔に返している。

 闇堕ちの危険性、ハル姉さんが死ぬ可能性を知ってもなお、記憶を取り戻したいと思うのか……さぁ、どう出るかな?

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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