表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
76/82

森の聖雫 十一話 魔素珠

―― side you ――


「女よね? 男ではないですわよね?」

「オレは――」

「ユウはメスさね」 モルッタが笑いながら答えた。


「アタイが雄棒(ピーー)ない(・・)のを確認してるからな!」

 モルッタの発言に少しだけ、顔を赤くするピエス。


「いつ、そんなの見たんだよ!」

「そらぁ、最初に会った井戸の時さね。」


「あぁ……」

 し、しまった……思い出したくない出来事の時だった……。

「そ、そんな事もあったかもな……」


「そ、そうですわよね。 川ではよく分からなかったもので……」

 確かに川では(ビキニ)(アーマー)を着てたしな……。


 でも、ピエスに言われて、男に戻ってるのか?と期待してしまった。


「ごめんなさい。 命の恩人にこんな事を言ってしまって。」

「いや……別に気にしてねぇ。」

 それにしても、ピエスってこんな喋り方だっけ……。もっとぶっきら棒(・・・・・)だったような。


「しかし、なんでそんな事をきくのさね?」

 もっと顔を赤くするピエス。

「言い伝えですわ。」

「言い伝え?」


 ピエスは目を閉じて、合わせた手を胸に添えた。

「昔、魔女の呪いで、意識の無くなったヒッひっ姫を、お、おっ王子様が唇を切り、血のセッせっ接吻で呪いを解いたのです。」


 ピエスは両手で顔を隠し全身もクネクネさせながら言った。

「す、すると、ヒっ姫は目を覚まし、フっ二人はケッけっけっ結婚するのです。」


 なんで目を覚ましたら結婚なんだよ……話しがぶっ飛びすぎだろ……。

 それにそう言うのって童話によくあるヤツじゃねぇか。 唇は切らねぇと思うけど……。

 その程度の話しでよくそこまで照れる事ができるな……。

 ていうか、血のキスとか……とんだサイコ野郎だぜ。


「だから、口移しで水を飲ませたユウがオスだと勘違いしたと?」

 コクンッと頷くピエス。


「ユウの血の匂いが……」 そう言って、唇を指でなぞる。

 コットに付けられた傷から出た血か!

 それにしてもオレの血の臭いって分かるのか?カメの血も混ざ…… あ、そっか……犬だしな……。

 げっ……このままじゃ、オレがサイコ野郎になっちまう……。


「なるほどねぇ……でも、ドワーフの言い伝えじゃ、王子じゃ無くて、兄者だったがねぇ」

「「兄者?」」 首を傾げるピエスとオレ。


 今度はモルッタがクネクネしながら言った。

「そうさね。 毒を盛られて意識の無くなった妹を、兄者が口移しで解毒薬を飲ませるのさね。」

 あ!とんでも民間療法の元ネタはルルーコかよ! そんなのルルーコ家だけだろう!

 それに毒を盛ったのって兄者なんじゃないか? 都合よく効く解毒薬を持ってるとか、怪しすぎるぜ。


「と、とりあえずだ。 全員にこの水(・・・)を飲ませたし、全員の意識が戻ったのも確認したからな。」

 オレはカメの水の入った革袋を見せる。

「この水はあのカメ(・・・・)の血が薄めてあってだな、体力の回復薬になるんだぜ。 これを飲ませるのに口移しをしただけだ。 勘違いするなよな!」 何故か偉そうなオレ。


「……ありがとうございます。お礼は必ずします。」

「あいあい、お疲れさん。 しかし他はまた寝たみたいだね。 食事はアーズが用意してるみたいなんだがね……」


 あぁ……オレももう1回食事したいぜ……。 その前に顔を洗いたいし。服も綺麗にしたいな。


「オレももう一回メシを食べたいんだけどな。」

「さっき食べたトコさね?」


 オレはシュフィを指差して言った。

「シュフィに全部持っていかれちまったよ……」

「「???」」


 そら、意味が分からねぇわな……。






―― side my ――


「おいマイ!」

 トイレに行こうと思って、一階まで来たら、酒場(ホール)の方からドワーフの誰かに呼び止められたわ。

「お主はゴブリンの瘴核はどうするんじゃ?」


「あぁ!てっきり忘れてたわ。」

「そうじゃと思ったわい。 使い道が無いなら重さ単価で買い取るぞい。」


 アタシは収納から一つ瘴核を取り出す。


「ほう、まだ新鮮じゃな。」

 そんなの分かるの?

「新鮮なほうが良いの?」


「別にそういう訳じゃないがのぅ。 色が採れたての色をしちょる。 時間が経つと血の緑と混ざって黒くなってくるんじゃ。」


 ふむ。

 これはピンポン玉くらいで赤くてプニプニしている。 確かに、採った時もこんな感じだったわね。 安定剤を塗してるから粉っぽいけど。

 緑の血は振り払ったんだけど、ちょっと付いてるくらいかな……。


「これって何に使う物なの?」

魔素珠(まなたま)を作るんじゃ。」


「その魔素珠って何?」

「魔素を蓄えちょる珠じゃな。 お前は……本当に田舎者なんじゃな……」

 え……説明になってないんですが……。


「え~っと。 例えばどんな風に使う物?」


「一番簡単なのが、あれじゃな。」

 と言うと、天井を指差した。

 なるほど……蛍光灯……じゃない……シャンデリア? 普通に部屋の中が明るいのはあれのお陰か。

 照明なんて気にしてなかったわ。


「あのシャンデリアの中央で光っちょるのが、光水晶球じゃ。 光水晶は魔素を加えると光る水晶じゃな……知っとろう?」

 アタシは目を逸らして首を横に振る。 どうせ田舎者ですよ。


「そうか……光水晶は普通に人が魔素を加えても光るんじゃが、人が安定して光らすのが難しくてのう。慣れた者がやっても点滅しよるんじゃ。」


 アタシは天井にぶら下がってるシャンデリアを見る。 確かに、蛍光灯みたいに安定した光を出している。

 シャンデリアの中央にはサッカーボールより少し小さいくらいの球がある。 あれが光水晶球かな……。


「そこでこの魔素珠の出番じゃ。」

 ドワーフは青い玉を持っていた。 大きさはピンポン玉くらい。 


魔素珠(こいつ)は、常に一定の魔素を放出しちょる。 じゃから光水晶が点滅せずに、一定の光で点灯し続けるんじゃな。」

 なるほど、要するに乾電池と豆電球みたいな物ね。


「瘴核を加工したら、魔素珠になるの?」

「うむ、まぁそうじゃな。」 顔をポリポリ掻きながら目が泳ぐドワーフ……企業秘密かな……?


「やり方を教えてくれる?」

「別に構わんが、加工は時間が掛かる上に少々面倒臭いぞぃ?」


「どのくらい?」

「最低30日は掛かるのう。」


「そんなに?!」

「うむ。まずは瘴核を天()干しするんじゃ。 」


「天()干し?」

「そうじゃ、まずは月の光(フォトン)で瘴核を浄化するんじゃ。」


「そうすると、瘴核は黄色くなって、硬く、小さくなりよる。 大体十分(じゅうぶん)の一(のいち)じゃな。」

「ふむふむ。」


「硬くなった黄色い瘴核を安定剤と一緒に粉末状になるまで磨り潰す。そこにスライムの体液を混ぜて、適当な容器に入れて再度天()干しじゃ。」

 げっ、スライムの体液って……。ということは、青い玉の正体はスライムの体液かぁ……。

 それにしても安定剤って何だろう?


「時間を掛けて、スライムの体液が瘴核の粉を溶解しよるんじゃ。」

 スライムってそんな物まで溶かすのね。


「でじゃ、この青い塊になるまで待てば出来上がりじゃ。 まぁ天候に左右されるから、時間は分からんのう。」

 確かに、難しくは無さそうだけど、時間は掛かるし面倒臭そうね。


「ねぇ。安定剤って何からできてるの?」


 ドワーフを視線を天井に向けて考えだしたわ。

「まぁ安定剤は色々じゃが。 この辺りじゃと、聖樹の落ち葉を乾燥させて磨り潰した物をお湯で煎じてじゃな、した液体から沈殿した物を乾燥させ粉末にした物じゃな。」

 え~と、要は聖樹のデンプンみたいな?


「聖樹の落ち葉なんぞ、森に行けば言葉通り腐るほどあるしのう。安いもんじゃわい。 獣人の国では、川にある物を使うとか言ってたが、なんじゃったかな……?」

 聖樹ねぇ……アイルとマインが、獣耳っ娘の魔素が乱れてるとか言ってたけど、そんなのと関係あるのかな……。


「まぁ、大雑把じゃが、魔素珠の作り方はそんなとこじゃな。 加工のタイミングは、やりながらじゃねぇと教えられんわい。」

「そ、そうよね。」


「で? どうするんじゃ? 自分でやってみるか?」

「ううん。止めとくわ。 買い取って貰える?」

 やってやれない事はなさそうだけど、メリットが感じられないわよね。 それにスライムの体液とか、なるべく遠慮したいわ。


「じゃろうな。 アーズも面倒がって自分ではせんしのぅ。」

「じゃぁ瘴核は、どこに出せばいい?」

 結構な量があるし、まだ血で濡れてるから、酒場(ここ)じゃ出したくないのよね。


「そうじゃなぁ……解体場に置いて貰うと、ありがたいがのぅ。」

「分かったわ。 ちょうどトイレに行こうと思ってたとこだし。」



 解体場に二人で歩いていく。



 この際、気になってた事を聞いてみようかな……

「前から気になってたんだけど」

「なんじゃ?」


「スライムって魔物じゃないの?」

「うむ……一言でスライムと言っても様々じゃな。 この城の便所に居るのは、魔物ではないぞぃ。」

 よく分からないけど、悪いスライムじゃないって事かな……。


「簡単に言えばじゃな……瘴核を持っちょるスライムは魔物じゃな。」

「あぁ……なるほど……」

 基本的に瘴核の有無で魔物か、そうじゃないかが決まるのね。



「よし、この台の上に出してくれ。」

「分かったわ。」

 マインとアイルの分も預かってるから結構あるのよね。


「でわ。測らせてもらうかのぅ。」

「よろしく頼むわ。」



解説しよう!

 この世界は太陽が無い。いやあるかも知れないけど、見える場所にはない。 なぜならファンタジーだから!

 しかし、月は何故か光ってる!なぜならファンタジーだから!

 この月の光は『光子フォトン』を出している。 ただし、現実世界の光子とはちょっと違う!なぜならファンタジーだから!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ