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森の聖雫 十話 mouth to mouse rabbit pig dog

 ゲロ注意報。


 19/08/07 サブタイトルに内容を合わせました。基本的には内容は変ってません。



―― side you ――


 コット(ねこ)にタラフク水を飲ませた後、少し落ち着いてまた寝たようだった。


 体力は回復したみたいだし、とりあえずは安心かな……


 さて次は……



 次は一番小さいマース族(ねずみ)のチュウにしようか。


 さっきマイに体力回復の魔法を掛けられて、顔色がかなり良くなってたけど、また少し悪くなってるな。


 身体が小さい分、病状の悪化が早いのかもしれないな。

 チュウの身長は多分一メートル程度だろう。 ただし大きな耳が頭についているけど、それは除く。


 念の為、名前を呼んでみる。


「チュウ! チュウ!」



 やっぱり起きないな。


 仕方ない……オレはカメ水を口に含む。

 ぅぐ、コットに付けられた傷にしみるぜ。

 でも、この水ってオレの血も混じってるんじゃね?大丈夫なのか?

 まぁ何かあったらコットに責任を押し付けよう。


 っていうか、これって本当に口移しでやる必要があるのか?

 でも他に方法も思い付かないしな……。 悩んでる時間もヤバいのかも……。


 オレは、チュウのほっぺを人差し指で刺して、口の筋肉をほぐす。


 そして、オレのより小さなチュウの唇に唇を合わせて、水を少しだけ流し込む。 チュウにチュウとか考えてないからな!


  ゴくッ。


 よし、飲んだ!


 少し時間を空けてみる。 やっぱり変化なしか?


 そして、もう一度唇を合わせ……。


 チュウが舌を出して、オレの唇をペロペロ舐めてきた。


 そ、そういえば、ネズミとかハムスターって水滴をペロペロ舐めるんだっけ……。


 オレの口から少しずつ少しずつ舐めとるチュウ。


 半目を開けてチュウは言った。

「マ…マ……」


 少しずつ少しずつ水を舐め続けるチュウ。


 え~と。 水差しから水を口に入れるのは良いのか?

 それとも、このまま口からあげないといけないのか?


 とりあえずオレは、くすぐったい唇を我慢するしかなかった……



 チュウは満足したようで、また眠っている。

 オレはベタベタに濡れた口を手で拭う。


 水か? ヨダレか……。はぁ……。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 次はカルゴーシュ族(うさぎ)のクーリクだ。


 念の為、名前を呼んでみる。


「クーリク! クーリク!」



 やっぱり起きない。


 オレはカメ水を口に含……ん?まてよ? クーリクって兎だよな。そして草食だ……。

 草食動物に、カメの血ってどうなんだ?


 オレはクーリクの顔をみる。

 長い耳にもふもふした白い髪。

 可愛い出っ歯と、今は瞑っているけど赤い目。


 うん、兎だな。

 カメの血よりも、ニンジンジュースとかの方が良くないか?

 まぁそんな物ここには無いだろうけどな。


 でもなぁ~。 カメの血の水か、アーズの水しか無いんだよな~。


 あぁ!そうだ。

 オレの口の中も血で濡れてるし、カメの血もオレの血もあんまり変らねぇか……たぶん。

 それに皆も何も言ってなかった、多分大丈夫だろう! 大丈夫だよな?


 オレは、クーリクのほっぺを人差し指で刺して、口の筋肉をほぐす。


 そして、唇に唇を合わせて……カチッ!


 あ……出っ歯に前歯が当たった。

 いやいや、こんな事は気にしちゃ居られない。 もう一度……


 カチッ!


 いや、やっぱ気になるわ。


 え~と、こういう場合どうすればいいんだろう?


 唇をアヒルのようにすぼめてみるか?


 あぁ、なんとなく大丈夫っぽい。

 でも、水を少しだけ出すのが以外と難しい。


 それに、気分的に『ぶちゅ~~~』って感じで、なんだか変な気分になってくる。

 いやいや、これは医療行為! のはず……。


 水を少しだす……あ、出っ歯にガードされた。 もう少し出す。

 う~ん、入ってるのかなぁ?


  ごくッん。


 あ、飲み込んだ音がした。 どうやら水は入ってたようだ。


「みぃ……ずぅ……」


 オレは口の中の残りの水を飲ませた。


 って、水差しから飲ませれば良いじゃない!

 なんか口移しで飲ませるのに慣れてきて、ナチュラルに出来るようになってきたな。

 やっぱり慣れって怖いぜ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 二人の顔色を見る。


 なんとなくヤバそうな、スアル族(ぶた)のシュフィにしよう。


 念の為、名前を呼んで起こしてみる。


「シュフィ!シュフィ!」



 あぁ、やっぱり起きないな……。


 オレはカメ水を口に含む。


 オレは、シュフィのほっぺを人差し指で刺して、口の筋肉をほぐした。

 そして、唇を合わせて、水を少しだけ流し込む。


  ゴくッん。


 よし、飲み込んだ。 

 今度は舌を口の中に入れられないように気をつけないとな……。

 ちょっと時間を空けて、様子をみる……。



  う~~~ん、変化なし?


 そして、もう一度唇を合わせて水を……


  ぅを!! しまった!


 また両腕で身体をロックされてしまった!


「みぃぐぅ!!」


 また舌を口の中に入れてきやがった! しかも舌が長い!!


  ゴくッん、ゴッくン、ごックん。とシュフィの喉が鳴る。


 その度に、オレの口の中を、右へ左へとシュフィの舌が這い回る!


 もう無い!もう水ないから!!

 そう思った瞬間、オレの喉まで舌を入れてきやがった!


  うげぇ!


 オレは猛烈な嘔吐感に襲われた!

 そして、オレはそれに抗えず嘔吐した……燻製肉を……シュフィの口の中に……。


 しかし流石にゲロは強烈だったようで、オレを離してくれた。


  ゴくッン、ゴッくん、ごッくん。とまたシュフィの喉が鳴ってる。


 って、えぇ……シュフィがオレのゲロ食ってやがる……

 ブタって何でも食うって言うけど、そんな物まで……

 いや、きっとお腹が凄く空いていたんだろう。きっとそうだ。そうに違いない。


 オレは水差しを持って、シュフィの名前を呼んでみる。


「シュフィ!シュフィ!」


「あぁ…ュゥ…か……おか…わり……」


 ねぇよ!


「水だ!」


 オレは水をタラフク飲ませた。 ま、まぁ食欲はあるみたいだし、大丈夫だろう……。うん。


 オレは濡れた口を拭く。


 血とヨダレの次はゲロか……。

 水で口の中を濯ぐ。 ぅぐ、吐き捨てる場所がねぇな……ゴックン。


 さて……もう、何も怖くねぇ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇



 最後はクッタ族(いぬ)のピエスだ。


 やっぱり念の為、名前を呼んで起こしてみる。


「ピエス! ピエス!」



 あぁ、やっぱり起きない……が、本当はただ単に寝てるだけじゃないのか?

 本当は睡眠を邪魔してる只のキス魔なんじゃないだろうか?

 後で文句とか言われねぇだろうな……。


 でも、ピエスも顔色は悪いし、コットもシュフィも顔色は少し良くなってるから、無駄じゃないと思いたい。


 オレは、ピエスの両ほっぺを人差し指で刺して、口の筋肉をほぐす。 なんかこれも慣れてきたな。


 そして、唇を合わせて、水を少しだけ流し込む。


  ゴくッん。


 よし、飲み込んだ。 

 ここからだ! ここからが問題なんだ!


 獣耳娘達にロックされたら、今のオレの力じゃ抗えないからな。


 どうするか……、もう一度名前を呼んでみるか。気が付くかも知れないしな。


「ピエス! ピエス!」



 ……やっぱり起きないか。


 再度、水を少しだけ流し込む。


 しまった! 分かってたんだ! 分かっていたんだけど、がっちりロックされてしまった。


 また、舌が口の中に入ってくる。でも痛くもないし、喉の奥まで来ない。 ふ~。よかった。

 いや、よくねぇよ。


 口の中の水が無くなると、舌を引っ込めて……、オレの顔を舐めだした!


 や、やベロ! ヤメロ!!

 オレを舐めても美味しくねぇだろう!


 ピエスの目は……閉じている。


 カメの血の臭いなのか生臭い臭いが、顔中に広がっていくのがわかる!


 どうにかして意識を取り戻して貰わないと……噛み付かれたりしないだろうな。


「ピエッス! びぇっず! おぎろ!!」


 うっすらと開いていくピエスの目。 目が完全に見開くと

「ぶ、ぶっ! 無礼者!」


 ドンッ! オレは押し飛ばされて、シュフィのベッドにダイブしてしまった!

 そして、シュフィの裸の胸にまたロックされる……。抜け出せねぇ……。



 しかし……腹減ったな。あぁシュフィに全部取られて空腹だったんだ……。

 はぁ……トンコツラーメンが食いたいぜ。



  トントンッ。 ドアのノックがした。


「入るよー」 モルッタが入ってきた。

「邪魔したねぇ」 帰ろうとするモルッタ。


「モルッタ! 待った!」

「何やってんだい……?」

「な、な、何者だ?! 何をしている?!」 毛布を抱き寄せて誰何するピエス。 かなりモルッタを警戒している。


「力が強くて、抜け出せないんだ……手伝ってくれ。」

「……あいよ。 アタイはドワーフのモルッタ。 そっちはユウ。 ユウが瀕死のアンタ達を看病してたんだ。 そんなに警戒しなくていいさね。」


 周りの仲間を見渡すピエス。


「助かったぜ。ありがとう。」

「あいあい……お、みんな顔色が少しは良くなったじゃねぇか。」


「苦労したからな!」

「だろうねぇ……アンタの顔を見たら分かるよ。 まぁ元気に成りすぎた奴もいるみたいだがね。」


「し、しかし、ワタクシ(・・・・)に口付けなど!」

「呼んでも起きないから仕方なくだ! オレもしたくてしたんじゃねぇ! 元気になったんなら、自分で水を飲みやがれ!」

 オレは水差しをピエスに手渡した。


 水差しを見てピエスは少し考えると

「そ、それはすまない……」

「全員死に掛けてた所を、ユウが一所懸命に看病したんさね。 感謝の言葉くらいあっても良いと思うがね?」


「……す、すまない。いえ、感謝しますわ。ありがとう。」

「いや、オレも分かって貰えたらいいんだ。」

「だめさね。こういう事はちゃんとしとかないと、看病代をちゃんと支払って貰わないとね。」


「……勿論ですわ。」

「あと着替えの服を持ってきたさね……他の獣人達が気が付いたら、元の服は着ないほうが良いって言っといてくれ。サイズは合うと思うんだがね。」


 モルッタは、オレと同じ……いや、エルフ達の服とズボンを持って来たようだ。但し色は茶色い。


 あぁ、服も汚れちまったし、マイに洗濯してもらおう。

 あと、顔とかベタベタだし、井戸で洗うか……。


 そしてピエスはオレに疑問を投げかけてきた。

「ところで……ユウは……」

「なんだ?」


「女よね? 男ではないですわよね?」

 え? モルッタじゃなくてオレにその疑問がくるのか?

 ど、どう答えたらいい? いや、川で水浴びしてた時は女だと思ってたんだろうし。今更だよな。

 でも、答えによっては、オレ自身がそれを認めてしまうようで……。

 でも、男だと看病するのもマズイんだよな……。


「オレは――」



「感謝する。ありがとう。」を翻訳すると「Thank you. Thank you.」に成るんだけど、微妙に意味が違うと思うんだけどね……。



リアルで寝ている人に水を飲ませると、気管に入る可能性があるので、止めておきましょう。


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