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森の聖雫 三話 看護

―― side us ――


 さて、やる事が山済みだが、 とりあえずやれる事からやるしかない。


 まずは薪の用意。 これはモルッタに言うのが早いが、事情を説明しないとな。


 それから、薬の用意か。 しかし薬と言っても何を飲ませれば良いのやら……これはフェリーフにでも聞くか。


 食事の用意もしないといけないが……確か猪肉の塩漬けがあったはず。 しかし病人に猪肉の塩漬けはどうなんだ?

 ビリィー族(ネコ)のコットは塩漬けはだめか……熊肉の燻製にしておくか。でもカルゴーシュ族(うさぎ)は草食だな。 少々(しな)びてはいるが、山菜があったはず……これで……大丈夫だろう。


 あとは簡単な塩スープでいいか。 あぁビリィー族(ネコ)のコットは塩スープがだめだったな。 別の暖かいスープを考えるか。 熊の骨を煮込んだスープにでもするか。


 そうだ……マナが余ってる間に水を作っておかないとな……。 カメの血の効果は凄かったからな。


 瘴核を天()干ししとくのも忘れてはだめだな。 しかし今はまだ雨が降ってる。 これは晴れてからでいいだろう。 ……いや、待てよ……瘴核はルルーコ商会で買い取って貰うか。 処理が面倒臭いしな。 そう言えばマイも瘴核を持ってるはずだな。 処理方法も知らないはずだし、買い取って貰うのを薦めることにしよう。


 急いでやる事はこれくらいか?


 大穴関連だと、結界石の入手と、大穴破壊の為の空間魔法の使い手の情報か……ドワーフ達は大穴に魔力を吸われるとか言ってたな。

 これは落ち着いたら、フェリーフかスイット(ドワーフ)にでも聞いてみるか。


 ちなみにスイット・ルルーコは鍛冶師をしていて、ほとんど顔を見せない。 食事もモルッタが持って行ってるみたいだ。

 ただ、7人の中で唯一、かみひげも剃っていて、判別がしやすいドワーフだ。 鍛冶や細工をするときに邪魔なんだそうだ。

 余談だが、他のドワーフの鍛冶師や細工師などの職人も同様に剃っているので、並ぶと判らなくなるかもしれない。 注意しろ!



 しかし、カメの血は元気(・・)が出すぎだ。 ドワーフ達が言ってた事も頷ける。 お陰でリザドに乗ってる間中(あいだじゅう)……いや、これは今は気にしないでおこう。 ぅう自己嫌悪だ……。






―― side you ――


 獣耳娘達五人が寝ている部屋まで来たんだけど。 五人は呻きながら震えている。 気温はそんなに低くないはずだけど、熱があるのかも?

 とりあえず、暖炉に火を点けるか? でも薪がねー。 火を点けるにもマッチもねー。


 鎧やら服を脱がす……か。

 でも、流石に女性の服を脱がすとか……ハードルが高すぎるぜ。

 いやでも、川で裸を見たときは猿の裸を見る程度にしか感じなかったし。

 いやでも、しかし、脱がした後拭くタオルが……。

 いやでも、だがしかし、早く濡れた服を脱がさないと悪化してしまうかも。

 いやでも、だがしかし、そうなると重そうな鎧を取らないと……

 いやでも、だがしかし、そうなるとたぶん、今のオレじゃあんな重そうな鎧は持てないぞ。


  コンコンッ。 ドアのノックがした。


 オレはドアを開ける。


「アーズに頼まれて暖炉用の薪を持って来たよ。」

 薪束を抱えたモルッタだった。


種火(たねび)とタオルを廊下にいる兄貴達から受け取ってくれないか?」

「種火?」


 モルッタが暖炉に薪を重ねていく。


 オレは廊下にいたドワーフから松明を受け取る。 廊下にいるのは部屋に男のドワーフが入らない配慮のようだ。


「種火をくれ。」

「ぉぅ」


 松明…火の点いた薪…をモルッタに手渡すと、暖炉の薪にくべる。


 タオル?は二種類ある。 前にオレが使った、『荒縄を布状にした物』と『掛け布団に使われている布』だ。

 でも、『荒縄を布状にした物』はあんまり水を吸わないんだよな。


「話は粗方(あらかた)聞いたけど、早く服を脱がして、拭いてやらないと悪化するかもよ?」

「あぁ、分かってる……んだが。 どうも気まずくて……」


「もたもたして死んじまったら、一生気まずいさね」

「モルッタも手伝ってくれないか?」


何故か(・・・)アーズと兄貴達から手伝うな(・・・・)と言われてるんでね。 一人で頑張ってくれ。」 モルッタは不思議そうな顔で言った。

 死にそうなのに手伝うなってどういうことだよ。


「あと、着替えも用意したほうが良いのかねぇ? 濡れた服も乾かせるような物欲し竿もいるさね。 水筒も持ってきとくかねぇ。 なぁユウ、早くした方が良いぞー」

 モルッタは、そう言い残すと部屋を出て行った。


 仕方ない、やるしかないか。 とは言え……この鎧どうやって脱がすんだ?



  トントンッ。 またドアのノックがした。


 オレはドアを開ける。


「ごきげんよう。新しいお客さんが病気なんですって?……この部屋……妙に暑いわね。」

 フェリーフだった。 アルコールの臭いは今日はあんまり(・・・・)してないな。


「あ、フェリーフさん、鎧と服を脱がすの手伝って貰えませんか?」

「ワタシは容態を見に来ただけなのよ。 薬の準備をしないといけないしね……あら?……ユウ何か感じが変った?」


 何のことだろう?


「気のせいかしら……いえ……なんでもないわ。」


「じゃ、じゃぁ、鎧だけでも……一人じゃ重くて持てそうもないので……」 オレの筋肉どこいったーー。


「それは仕方ないわね。 重そうな鎧は、スアル族(ぶた)クッタ族(いぬ)ね。」

「よろしくお願いします。」


「すま…ないねぇ…」 そう言うシュフィの目はあんまり開いてない。


 鎧を固定している革のベルトは水を含んで外しにくい。

 フェリーフは寝台の横に置いていたオレのダガーを手にすると、躊躇無くベルトを切った。

こういうの(ベルト)は、外れ難く出来てるのよ。 だけど命には代えられないでしょ?」


 た、確かにそうだけど……。

 こうやって、鎧は脱がす、というよりも、外された。


「ワタシが支えておくからユウは服を脱がせて」

「ぉぅ」

 一人で脱がすとなるとアレだが、女性のフェリーフが付いててくれるなら、正当なアレだよな。


「面目…ねぇ…」


 スアル族のシュフィを裸体にしてしまった。 うん、やっぱり動物を見る程度にしか感じないな。

 シュフィの裸を見てフェリーフは言った。

「なんで、14個も乳房があるのかしら? こんなもの一つでも十分じゃない……」

 え? 流石に一つだとバランスが悪いような。 あ、でもコットは9つだったな……。

 それに双子のオレからしたら、二つあるほうが……あ、三つ子だった。


 と、とりあえず拭いた方がいいのかな? オレは荒縄タオルで身体を拭くことにした。


「身体は…自分で…拭くよ、寝た…ままでも…できるしね。 他の仲間を…診て…やってくれ」

「わかった。」 オレはタオルをシュフィに手渡した。



「では、こっちね」

 言うよりも早く、フェリーフがピエスの鎧のベルトを切っていた。 そして呟いた。

「これは、魔種と聖樹の……体内で戦って……もっと強い……あとは体力を保たないと。」

 フェリーフは何かを納得したようだ。


「私も……自分で……やるよ」

 そう言ってピエスも自分で拭き出した。 この分だとオレの出番は少なそうだな。



「ついでにビリィー族(ねこ)の革鎧も脱がしましょうか。」

 なんだかフェリーフの内に眠る何かに火を点けてしまったようだ。 ダガーを持つ顔がちょっと楽しそう。

「お手柔らかに、お願いします。」 オレはそう言わずには居られなかった。


 コットも意識があるようで、自分で身体を拭き出した。


「あとの二人は服だから、ユウ一人でも大丈夫ね。」

「一応、手伝って貰えると……」

「はいはい。」


 年の功か、フェリーフは躊躇い無く服を脱がしていく。

 あっと言う間に残りの二人を真っ裸にした。 他人の服ってそんなに簡単に脱がせられるものなのか? 何かハイランクな特殊な(エクストラ)技能(スキル)が……ないか。

 まぁ、マース族(ねずみ)のチュウと、カルゴーシュ族(ウサギ)のクーリクは小柄だしな……。 


「服とか下着は焦げないように乾かしなさいな。」

 ぅぐ、服はともかく、下着を触るのはかなり抵抗があるな。

「分かった。 あとでモルッタが物干し竿を持って来てくれるそうだから、掛けておくよ。」


「そう、じゃぁ、ワタシは薬を用意しないといけないから行くわ。 早く身体を拭いてあげなさいな。」

「ありがとうございました。」


「はいはい。 では、ごきげんよう。 お大事に。」



 部屋の中には真っ裸の女性五人と、オレだけになってしまった。

 暖炉の炎で室温が上がってきたのか、オレの身体も汗ばんでくる。 氷が入った冷たい水が飲みたいぜ。


「はぁ……」 オレは溜め息を一つ……。

 チュウとクーリクは意識がなく、ベッドに横たわっている。 だからオレが拭かないとな……。

 し……しかし……二人ともオレと一緒で、つんつるてんだな……。 オレと一緒? オレと一緒??


 そ、そうか! オレと一緒と思えば、どうと言うことはない!


 と言う訳が無い……。 隅々か……やっぱりハードルが高いぜ……。



 『天()干し』はこの世界の『天()干し』に当たります。 ただ読み方は『てんぴぼし』でいいんじゃないかと思います。

 ま、造語の当て字なんて何でも良いですよね。

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