竜骨の谷 二十ニ話 チカラ
07/05 『竜骨の谷 二十一話 亀の怨返し』をかなり変更しました。
―― side us ――
ペロッ
確かにコレは強烈だな。
舐めた瞬間に急速に身体にチカラが漲ってくる。 魔素の回復も体感で分かる程に。
少量とはいえ、コレを飲み干したドワーフ達は凄いな。
しかし、こんなカメがこの辺りに居たなんて知らなかった。 ドワーフ達は知ってたようだが……。
まぁ、今は食事の用意だ。 腹が減って仕方がない。 ドワーフ達はやっと水浴びに行ってくれたし、心置きなく食事の用意ができる。
まずは魚を焼く簡単な窯でもつくるか……川原の石を重ねて……はい完成。
マイは……マイン叔母さんと、アイル叔母さんに絡まれて……気に入られたもんだ。
この分だと従弟の顔が見れるのもそう遠くないかもしれないな。 宿に泊まることになったら、三人を同じ部屋にしてやろう。
「マイ、取り込み中悪いが、窯の薪に火を点けてくれないか?」
「別に取り込んでないけどね! え~と、なんだっけ……『点火』!」
マイは10メートル以上離れた窯の薪に火をつけた……が、本来『点火』の魔法は指先に小さな火を灯す魔法のはずだが……。
まぁ、薪に火が点けば事足りるな。
「あと、ドワーフの服の臭いだけでも取ってくれれば助かる。」
「わ、分かったわ。」
「ありがとう。邪魔したな。」
「「マイしゃまー」」
「この二人をなんとかしてー!」
今は面倒事に関わってる暇は無い。 当然無視する。
ドサ袋から大き目の鍋をだして……
鍋に入れた水を火にかける。 簡単な塩スープでも作るか。
魚はこのまま焼くには少々大きすぎるからな。 切り身にして串焼きにでもするか。
頭と骨は鍋にぶち込む。
あと、さっきマイが出した草の中に、香草があったような……。
獣人達は……あのカメの血を飲んでる……。
ドサっ。
あ、一番小さいマース族の娘が倒れた。 やはりキツイか。 ユウが気を失うのを見ていて、なおチャレンジするとは……。
どうやらカメを食うのは諦めたようだな。 血を舐めただけでキツイんだ。 血抜きもしてない肉など食えるわけが無い。
交換した魚に着手した。 まぁそれが正解だ。
ふっ、俺の真似をして、三枚に下ろすのか? お手並み拝……
あぁだめだ。 あのスアル族は、素人じゃないか……。
なんであんな切れ味の悪そうな短剣で魚を捌こうとするんだ……。 しかも何かの黒い液体が付いてるような……。 素人以前の問題だな。
「おい、その魚、俺が捌いてやろうか?」
「よろしく頼む!!」
捌いてるスアル族じゃなく、リーダーらしいクッタ族の娘が間髪入れずに返答してきた。 まぁアレを見てたら頼みたくもなるか。
「そのカメはドワーフ達なら買い取ってくれるかもしれん。 後で聞いてみるといい。」
獣人達は顔を見合わせた。
「そうさせてもらうよ。」
よし、後は半身を鉄串に刺して、塩を塗して、焼くだけだな。
ふむ、料理の進捗を見計らったようにドワーフ達が帰ってきた。
「なんじゃ! 服も鎧も新品になっとるぞい!」
「ふふん、アタシの洗濯魔法に掛かればざっとこんな物よ。」
「ほんまじゃ! 鎧の金属部分が鏡のようじゃな……。 じゃがこの鎧は鏡面加工じゃなかったはずじゃが……」
「サービスよ! サービス!!」
確かにマイのあの魔法は凄いな……しかし、洗濯ではないような……。
―― side you ――
- - - - 助けてくれて、ありがとう - - - -
『オレは何もしてない。』
- - - - でも、助けてくれたよ - - - -
『オレには何もできない。』
- - - - そんなことはないよ - - - -
『オレは小さくて、無力で、臆病で、なんの役にも立てなくて』
- - - - 僕達は救われたよ - - - -
『オレが何をしたって言うんだ?』
- - - - 君が純粋だったから、僕達はココにいれるんだ - - - -
『意味が解らない。 そんな事がなんの役に立つ?」
- - - - 僕達は救われたよ - - - -
『オレは何も出来てない。だからオレはチカラが欲しいんだ!』
- - - - そんなに能力が欲しいの? - - - -
『欲しい!』
- - - - 本当に? - - - -
『欲しい!!』
- - - - そんなに欲しいのなら - - - -
『欲しい!!!』
- - - - ナラバ能力ヲ クレテヤル! - - - -
「ぅうぅ…………夢……か?」




