竜骨の谷 十九話 We love a turtle meat.
―― side you ――
「マイはどうして溺れたんだ?」
今マイは気絶したまま川岸に横たわっている。
あの叫び声のあとマイは溺れた。ていうか、それほど深い川じゃないのになんで溺れるんだ?まったくもってドジな奴だぜ。
「カメがいたのじゃ。」
「そうなのじゃ。目の前に頭をだしたのじゃ。 ワッチが頭を掴もうとしたら、マイ様が水の中に入って捕まえようとしたんじゃ。」
マインとアイルが目を輝かせて力説してきた。
「カメの肉はなかなかの美味だからな。」
獣耳娘達はそう言い残すとまた川に入っていった。 カメを探すんだろうか?
しかし、カメを捕まえようとして溺れるなんてマヌケすぎるぜ。
なんて考えてたら、またもや、眩暈が襲ってきた。
視界がブレる。いや光がブレる?
赤・橙・黄・緑・水色・青・紫
虹の七色が視界を彩る。
それは一瞬の出来事。
俺は突然の眩暈にまた尻餅をついていた。お尻は…………痛くない。
「マイなら大丈夫だよ。」
あれ?何処からともなくウイがやってきた。 と思ったらマイの口に耳を当てて呼吸を確認した。
呼吸を確認する前に大丈夫ってどういうことだよ。 まぁ、大丈夫だろうけど。
ウイが人差し指でマイの額に触れると、マイは「ぅう」と水を吐き出し、簡単に気が付いた。
「「マイ様~~~~!!」」
「あれ? みんな、おはよう?」
マイに抱きつくアイルとマイン。
「ん?ん??」
マイは状況がイマイチ解ってないようだな。
「とりあえず服を着なよ」
「あ、オレの服も臭うから洗濯してほしかったんだ。」
マイはマイのマントの上に寝かせてあって、学ランを上から掛けてあっただけだ。
マイの服はいい匂いがしてたから、自分のだけ洗濯していたんだろう。
「ハイハイ。 服を持ってきてよ。」
「アチキの服もお願いするのじゃ!」
「ワッチのもじゃ!」
「ハイハイ。」
まぁ、何事も無かったように元気になったな。
―― side my ――
「アチキの服が真っ白になったのじゃ!感謝するのじゃ!」
しまった。 ついクセでアイルの服まで真っ白にしてしまったわ。 服を白くするには銀貨が必要……という設定だったのに。
白エルフ族のアイルはやっぱり白い服を着たいんだ……。
「ふふふ。銀貨はアタシが出しておいたわ。」
「ありがとうなのじゃ! ユウとお揃いなのじゃ!」
凄い喜んでる……から、まぁ良しとするかな。
「そんなにデカいカメだったのか?」
「カメ?」
またユウが訳の分からないことを言い出したわ。
「カメを捕まえようとして川に潜ったんだろ?」
「は?」
え~~と、気を失う前は何を…………。
「ワッチとアイルが見つけたカメを、マイ様が捕まえようとしたのじゃ。覚えておらんのか?」
え~~と…………あぁ! カメ?!
な、なるほど。二人にはアレがカメの頭に見えていたんだ!
「そ、そうね、それなりに大きなカメだったわ。」
「ワッチはカメの肉は好物なのじゃ。」
「アチキも好物なのじゃ。 今度見つけたら魔法で仕留めるのじゃ。」
「ボクも好きかな。カメの肉」
「ウイはカメの肉とか何処で食ったんだよ。オレはそんなの食ったことねぇなぁ。」
「凄く美味しいのじゃ。今度ユウにも食わせてやるのじゃ。」
「楽しみにしてるぜ。」
な、なんて物騒な話をしてるのよ。 せっかく手に入れた覚醒の証を食べられてなるものですか!
「カメがどうかしたのか?」
アーズが戻って来たみたいね。
「さっき大きなカメがいたのじゃ!」
と、アイルが両腕を広げて大きさを表している……けど、いくらなんでもそんなに大きいわけが無い……。
「ほぅ。この辺にそんな大きなカメが居るとは知らなかったな。」
うぐ。 アーズから凄い臭いが漂ってくる。
アタシもさっきまで同じ臭いをさせていたと思うと笑えないわね。
「アーズ、洗濯してあげるから、服をよこしなさい。」
「おぉ、それはありがたい……が、持ち合わせが無くてな。」
「今回は特別無料よ。そんな臭いで居られたらこっちが迷惑なのよ。」
「そ、それはすまないな。しかし、ありがたい。今から水浴びをしてくるから服を頼む。」
そう言うと、服を脱ぎだした。 って全部?!
「じゃぁ、いってくる」
人前で真っ裸になってエルフっていうのは羞恥心がないのかしら?
「おいマイ……」
「なにユウ?」
「いい加減服くらい着ろよ」
「そ、そうね。忘れてたわ……」




