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竜骨の谷 十五話 烙印の修道戦士

―― side us ――


 終わってみれば誰一人怪我ひとつ無い、一方的な戦闘だった。


「終わったか?」

「うむ。」


 ドワーフ達と大穴をじっくり眺める。壁ではない、確かに穴なのだが、その先は闇になっていて見えない。


「では、大穴を閉じるか……とは言っても今は土で塞ぐしかないか。」

「そうじゃな。」


 そう言うとドワーフ達はマトック(つるはし)を取り出した。


「この辺の土を掘って大穴の前に運ぶか。」

 とりあえず大穴の塞ぐ壁を土魔法で作るのだが、変に作ると大穴を閉じる時に邪魔になるからな。その辺は専門家のドワーフに任せた方がいいだろう。


「あと瘴核の摘出と、死体の埋葬じゃな。」

「瘴核の摘出なら、アタシ達も手伝うわ。」

「それは助かるわい。心臓の辺りにあるから、なるべく傷つけずに摘出してくれ。これが安定剤じゃ。安定剤は瘴核の表面に(まぶ)すだけでいいぞい」

「了解。」


「しかし、これが大穴か……向こう側が見えんが、覗いてみるか?」

「やめておけ。変な魔物が来たら始末が悪いじゃろ。」

「向こうが安全か分からんしの。」

「そうじゃの。」


 俺達の目的は探索ではないからな。安全第一だ。


「俺も瘴核を回収してくる。」

「わかったぞい。」






―― side you ――


 オレもアーズに付いて行こうと思って振り向こうとした瞬間、大穴がひずんだと思ったら女の人が入ってきた。

 ドワーフ達の目の前にいるのに、ドワーフ達は気が付いてないようだ。


「お姉さん誰?」

 俺は入って来た女の人に話しかける。

 女の人はオレと目が合うとビックリして、急いで大穴に戻っていった。

 なんだ?ゴブリンには見えなかったけど。


「なんじゃ?」

「今そこに女の人がいたよ。」

 俺は大穴を指差す。


「なんじゃと?どんな奴じゃった?」

「ゴブリンには見えなかったけど、話しかけたら大穴に戻っていった。」

「魔物か?」

「わかんないけど、革の鎧着てた。あと頭にネコかイヌの耳が付いてた。」

「コボルトか?」

「さぁ?」


 どうも俺以外は見えてなかったようだな。


 ドワーフ達は警戒して大穴から遠退く。

「どうする?」

「どうするも何も、塞ぐしかあるまい。」


 また大穴がひずんだと思ったら、武器を構えた女の人が五人入ってきた。


「今度は五人入ってきたよ。」

「うむ、ワシらにも見えておる。お主ら何者じゃ?」

 武器を構えるドワーフ達とアーズ。俺も一応ナイフを構える……。


「喋るって事はゴブリンでは無さそうね?」

 女の人の一人が話しかけてきた。


「ワシらはドワーフじゃ。で、お主らは何じゃ?コボルトか?」

「私達は獣人種の修道戦士よ。」

「修道戦士?ってことは……烙印の雌か。」

「……そうよ。」


 烙印の雌? 確かに良く見たら額に何か文字があるな。ちなみに『肉』でも『中』でもない。


「敵意が無いなら武器を収めて欲しいもんじゃな。」

「お互いにね。」


ドワーフ達が武器を下ろすと、女達も下ろした。俺もナイフを納める。


「ここにいたゴブリンなら全滅させたぞい。」

「そう、それは手間が省けたわ。」


「そっちの娘は猿耳族かしら? 桃色の髪の毛なんて見たことないけど。」

 オレの方を見ながら別の女の人が聞いてきた。

 オレはコクッと頷く。 あぁもうオレって猿耳族なんだな。しかしイチイチ否定するのも面倒だしな。


「ふーーん……で、これは何をしてるの?」

「大穴を塞ぐとこじゃて。」

「土壁で?」

「とりあえずの応急処置じゃ」


「ちなみに、ここは何処に出たのかしら?」

「何処にとはどういう意味じゃ?」


「私達は獣人種の国の近くから入って来たのよ。でドワーフと遭うって事はドワーフの国の近く?」

「ここは竜骨の谷じゃ」

「竜骨の谷って……エルフ族の土地? どっちみち妖精種の土地ね。」


「この大穴は獣人種の土地に繋がっておるのか?」

「直接じゃないけどね。この向こうは魔物の巣よ。って言ってもそんなに強い魔物はいないわ。」


「ふむ……とは言えワシらはここを閉じたいんじゃがな。」

「閉じるってどうやって?」

「空間魔法で大穴を破壊するんじゃ。」

「……へぇ、そんな事できるんだ。」


女達は顔を見合わせる。


「ところで、水と食料を補給したいんだけど、売ってもらえないかしら?」

「ワシらも余計な食料は持ち合わせておらんのじゃ。水はそこを出た場所に川が流れておるから、勝手に汲んでいけ。」

「分かったわ……でも、今そこを閉じられると困るんだけど……」

「…………」


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