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竜骨の谷 十三話 ゴブリンの巣

―― side you ――


「見張りは三匹じゃな」


 崖上周辺の魔物の反応がなくなったから、洞窟の入り口にやってきた。最初に来た時の百メートルくらい離れた場所だ。

 前回同様、三人のゴブリンが見張りをしている。


「ここからは慎重にな」

「わかっちょる。中に逃げられたら厄介になりかねんからの。」

「うむ。できれば入り口から離れた時を狙いたいのう。」


「弓と魔法でいいんじゃないのか?」

「うむ、それが確実かのう……?」


「もし中に逃げられたら一旦撤退じゃ。ぞろぞろ出てこられたら手に負えんからの。」


「俺は奥のゴブリンを狙う。アイルは右、マインは左のを弓で狙ってくれ。外した奴は土魔法で足止めしてくれ。」


「任せるのじゃ」

「やっと出番なのじゃ」


「3・2・1・0で同時に撃つぞ。」

「「分かったのじゃ」」


 アーズ、マイン、アイルが弓を構える……すると風の向きが変った気がした。


「3・2・1・0」ビュン!


 三本の矢は、吸い込まれるように三匹の頭に命中し、そのまま倒れた。

 マインとアイルはちょっと自慢げだな。


 警戒しながら死体に近づくアーズ……の後ろに付いて行く。



「坑道の中では探索魔法は使えないからな、ここからは目視だ。」


 ドワーフ達が洞窟の入り口に倒れているゴブリンの死体を離れた場所に持っていった。『瘴核』を摘出するんだろう。

 それにしてもこの『積石つみいし』は臭いな。やっぱり変に濡れてるし……。



「俺は中の様子を見てくる。見つからないとは思うが、見つかった時は全力で逃げてくる。万が一の時の為に戦闘準備はしといてくれ。」

「了解じゃ」


「『インビジブル』」

 アーズがそう唱えると、アーズの周りに透明なビニールで出来たような膜ができた。


 そうしてアーズは洞窟の中に入っていった……と、思ったらすぐに出てきて、こっちに戻ってきた。






―― side my ――


 ドワーフ達が洞窟の入り口の三匹を離れた場所に持っていって、『瘴核』を回収しているわ。

 アレっていくらくらいで売れるのかな? 『安定剤』とかどうやったら手に入るんだろう? 買い取りリストには無かったような?



「『インビジブル』」

 アーズがそう言うと、アーズの姿が消えたわ。おぉアタシも使えるかな?ていうかそんな魔法、色々悪いことできそうじゃない?


 とか思ってたら、ちょっとズレた場所にアーズが現れたわ。


「内部が暗すぎて何も見えなかった。」

 アーズってちょっとオッチョコチョイなのね。でも赤い顔がちょっと可愛い。


「『ナイト ヴィジョン』 暗闇でも見える魔法をかけたのじゃ。」

 アイルが何か魔法を使ったみたい。アーズの身体が一瞬だけ白い光でぼやけたわ。


「すまない。行ってくる。『インビジブル』」

 またアーズが消えたわ。でも、足音が遠のいていってる。大丈夫なのかしら?






―― side us ――


 坑道の中はかなり狭いな。人一人通るのがやっとだ。何より臭い。頭に巻いているバンダナを鼻に持ってくる。


 ボロボロと落ちてくる石は、坑道の強度を教えてくれる。

『集団で入るなら補強しながら進むべきだな。』


 少し下りの道は三叉に分岐し、片方には大きなスペースがあった。

『これは予想していた部屋だな。』


 念の為、頭だけを覗かせて中を確認すると、凄まじい臭いが俺を襲う。

 部屋の大きさの割には沢山のゴブリンがいた。ただしその殆どが子供のゴブリンのようだ。成体は雌ゴブリンが数人いるようだ。

 子供のゴブリンは腰巻さえしておらず、当然武器も持っていない。


『どうも部屋内部の補強の為に、自分達の糞を壁や天井に塗っているようだな。』


 部屋の奥には道は無さそうなので、三叉の別の道へと進むことにした。坑道は下り坂になっており一定間隔で同様の部屋がある。


 そうして最奥の部屋にたどり着いたようだ。

 最奥の部屋は、他の子供部屋より大きく天井も高い。


 成体のゴブリンが二十体程度いた。子供とは違い、何かの皮で出来た腰巻をしている。

 手にはマトックを持っている者もいるが、それ以外の武器らしき物を持っている者はいない。


 何やら焚火をして宴会でもしているようだ。お陰でちょっとくらい物音を立てても気づきもしない。

 この中の誰かがリーダーなのだろうが、俺には見分けが付かないな。



 そしてソレを発見する。


 来た道と部屋の反対側に、坑道とは明らかに別の場所へ繋がってる()を。

 穴の先は暗くてよく見えない。いや俺は『暗闇でも見える魔法』が掛かっている状態だ。暗さ意外が原因だろう。


 そして推測する。これが『大穴』だと。

 縦2メートル、横3メートル。『大穴』と言うには小さい気がするが、こんな得体の知れない『穴』は他に無いだろう。


 俺はとりあえずの調査を終えたので、戻ることにした。

 何より新鮮な空気が早く吸いたい。銀貨一枚だして、洗濯して貰うかさえ悩む臭さだ。


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