竜骨の谷 四話 命名式、成人式、結婚式
―― side you ――
大きいドラゴンの頭蓋骨の中には、家があった。まぁ一族の長が考える事などオレの知る由もないが、わざわざこんな場所に家を建てるとわ。
家は、外で見かけた物と同じで、石作りの壁に、藁葺き屋根という半和風半洋風で微妙な感じの家だ。微妙すぎて和洋折衷とは言いがたい。
まぁ周りが岩地帯で、稲っぽい植物を育ててたら、こうなるのかな?
中は以外と広かった。床は岩だが埃っぽくは無い。中央に囲炉裏があり、その周りに藁で作った座布団が置かれている。
やっぱり半和風半洋風なんだよな。
なんて思ってたら、食事が運ばれてきた。
大きなヤカンが部屋の中央の囲炉裏にぶら下げられた。
早く久しぶりの『メシ』にありつきたいぜ。
「お母様、何用なのじゃ?」
食事と一緒に来た白エルフは……やっぱり見分けが付きにくかった。
あえて言うなら、他のエルフより少し小さく、お婆ちゃんよりは大きい。あと耳は真上を向いており、耳飾が付いてない。
いや1つだけ、ちがう2つだけ大きく違う部位があった。それは双丘だ。双丘が他のエルフよりも圧倒的に大きいのだ。
しかも着ている物は俺とは色違いとはいえ薄いTシャツ。ぽっちが点々としてる。
お婆ちゃんの隣に座った彼女はオレ達を見渡した。そしてマイに目をやると止まってしまった。
「この者達に同行してゴブリン共を蹴散らしてまいれ!」
『ビシっっっっ!!』っと鳴りそうな決めポーズをするお婆ちゃん。食事に埃が入るからやめて欲しい。
「マイ?どうした?」
白エルフと睨み合って、顔を真っ赤にしてるマイ。何に怒ってるんだ?
あれ?白エルフの方も顔を真っ赤にして、マイを睨み付けてる。
もしかして、二人の間に何か因縁が?……あるわけ無いか。
「どうやら『マイ』とやらが気に入ったみたいよの。ならばお主の名は『マイン』じゃ!」
また『ビシっっっっ!!』っと鳴りそうな決めポーズをして、隣の娘を指差すお婆ちゃん。ほんと食事に埃が入るからやめて欲しい。
え?名前ってそんなんでいいの? っていうか今まで名前なかったの? っていうかマイの事が気に入ったの? メンチを切ってたんじゃないのか。
しかし、反応しないマイとマイン(仮)は、ずっとメンチを切っている。
「爺様、その名前はいけません!」 なんかアーズが凄い慌ててる。でもお婆ちゃんは相手にしてないな。
マイン(仮)に無視されたのが気に入らなかったのだろうか、ぷるぷるとお婆ちゃんは立ち上がり、マイン(仮)の長い耳を持った。
ドワーフから受け取ったばかりのピアスを手に持って、耳にブチブチブチブチブチブチと刺し始めた。食事前に何してんの?
左の耳に3個、右の耳に3個。計6個のピアス。
マイン(仮)の両耳からは血が滴っている。
この状況でもガンの飛ばしあいを止めない二人に称賛を送りたいぜ。
「そうじゃったな……。しかしもう遅い、命名してもうた。」
いや、名前くらいもっと悩もうよ。この際キラキラネームでもいいような気がする。
頭を抱えてるアーズ。何の名前だったのやら?『マイ』に似ているのが悪いわけでは無さそうだ。
それでも、反応しないマイとマイン[確定]はずっとメンチを切っている。
もしかして、これが噂に聞く『ダブル一目惚れ』というヤツか? まぁ勝手にやってろよ。
オレは久しぶりの『メシ』を早く食べたいだけなのに……。
あれ? それにしてもお婆ちゃんは、いつの間に食事の注文をしてたんだろう?
―― side my ――
あぁこの白エルフから目が離せないわ。
だって、先に目を離したら負けな気がする。
それにこの不思議な感覚は何?息が出来ない。顔が赤くなるのが分かるわ。
あれ?なんでこのエルフは耳から血がでてるの? 病気なの? ちょっと気持ち悪い。
あぁいつの間にかお婆ちゃんがピアスをしてたんだ。エルフのピアスって直接刺すんだ? 凄く痛そう。
「マイ、回復魔法で耳を癒してあげたら?」ウイ兄が気の利いた事を言い出したわ。
「ダメじゃ。そんな事をしたらせっかく開けた穴が閉じてしまう。」
「そっか、そっか」
あれ?なんかウイ兄の声のお陰か金縛りが解けたわ。
『ぐぅぅぅぅぅぅ~~~~』金縛りが解けたせいか、今まで以上に大きな音でお腹が鳴ったわ。金縛りって生理現象まで抑制するのね。
そして白エルフは言ったわ。
「お母様。ワッチはこのお方の元へ嫁ぎたく思うのじゃ。」
「相分かった。ゴブリンの成敗も任せたぞえ。」
「分かったのじゃ。」
は?
「マイおめでとう。それより早くメシ食おうぜ。」
え?何かおめでたい事があった?
「あのーアタシは女なんですが?」
「ふむ、ワラワには雄に見えるがの。」
「ワッチにもそう見えるのじゃ。」
「マイは男だぞ。」
「ユウは黙って。」
「マイは男だね。」
「ウイ兄も黙ってて。」
「照れているのかえ?」
「初心なんじゃな。」
「そうじゃなくって!」
「めでたいし、早くメシ食おうぜ。」
「うむ、そうじゃの、めでたいのぅ。」
「お母様。ワッチは幸せになるのじゃ。」
「うむうむ」
「不束者ですがよろしくお願いするのじゃ。」三つ指をついて深々とお辞儀をする白エルフ。
いや、本当に不束者だわ。
何がどうして、こうなったの?
と、とりあえず凄いお腹が空いたし、久しぶりのゴハンを頂こう。お腹がいっぱいになったら、考えが変わるかもしれないわ。
人物紹介 更新しました。視点上書きにくい設定を書いてます。




