竜骨の谷 三話 自称:黒エルフ族(白いエルフ)
―― side you ――
黄金色の田園には白エルフが沢山いた。見える範囲だけでも、ざっと百人はいそうだ。
何か黒い物を取ってるようだけど、何を取ってるのかは分からない。
白エルフは凄く綺麗な人達なんだけど、だからこそ凄く気になる事がある。
それは、やっぱり見分けがつかない事だ。
ドワーフ族の見分けが付かないように、白エルフも見分けが付かないんだ。
とは言ってもよく見ると、耳の角度や、付けているピアスに嵌っている宝石の種類が違うようだ。
耳の角度は、ピンッと上を向いてる者や、比較的上を向いてる者、横を向いてる者、ちょっと垂れてる者といる。
ピアスは、赤・黄・青・緑・紫・桃・黒と、色んな色の宝石がついてはいるが、決まって左耳に3~5個ついているようだ。
服は黒く染色してはいるが、俺が着ている物に凄く似ている。 まぁモルッタが体格が似ているエルフ用の服を俺にくれたんだろう。
あと全員が女性のようだ。男の姿はとりあえず見えない。女装してるなら別だけどな。
先頭はアーズのトカゲ。要するにアーズの前に座ってるオレだ。
ほぼ白エルフの全員がアーズを見た後にオレをみる。美人とは言え表情が無いのが凄い怖いぜ。
「あそこが婆様の家だ。」アーズが指で教えてくれる。
なるほど、白エルフ族の族長って言ってたし、ソレっぽい場所に住んでるとは予想してたけど、巨大なドラゴンの頭の骨の中とは……。
入り口らしい場所の前で、トカゲから降りる。嘘です。見栄を張ってました。オレはアーズに降ろして貰ってます。
そして全員が降りるのを待ってたかのようなタイミングで声を掛けてきた。
「アーグ! 久しいな。」
少し高い場所にある段差から、1人の白エルフが大声で叫んできた。
「婆様。アーズです。ご無沙汰しております。」
「トォゥっ!」と二階くらいの高さからジャンプすると『スパこーーーん』とアーズの頭を叩く。
「婆様ではない! 爺様と呼べ!」
このどう見てもオレより少し小さな女の子が、アーズのお婆ちゃん[自称お爺ちゃん]のようだ。
エルフの年齢や性別は見た目では判らないようだ。だからオレは見た目では判断していない。
では、オレは何を判断材料として、女の子、お婆ちゃん、強いて言えば『女性』と判断したのか?
それは『トォゥっ!』とジャンプしたときに、悲しいかな男の習性で黒い服の中が見えてしまったのだ。いや、見えなかったと言うべきか。なかったと言うべきか、まぁそういう事だ。
そしてもう1つ、誰が見てもそうと見える物。彼女のお腹は膨れているのだ。まるで妊娠してるかのように。
お婆ちゃんは、どう見ても10代。むしろ10歳くらいに見える。 少なくとも身長はオレより小さい。
真っ白い肌に、真っ白い髪。金色の瞳。斜め上に向いた長い耳。その姿は今まで見たどの白エルフより若かった。
ただ他の白エルフと異なる点は、首の喉の部分に黒い痣があることだろうか。痣は五角形をしている。
耳飾の類はしていないな。
「で、何用かの? 耳飾の納品か? にしては大所帯よの……」
アーズのお婆ちゃんは、アーズと会話しながらも、オレやマイをジロジロみている。
「桃色の猿耳まで連れて、大道芸でも始めたか?」
やっぱりオレ達は猿耳族に見えるようだな。もうこのまま猿耳族でも良いような気がしてきた。
「いいえ、彼らは宿の宿泊客です。そんな事より、爺様、大穴が開いたのです。」
「……ほう。何処にか?」
お婆ちゃんの目が細くなる。
「ここの近くにです。なので白エルフ族から応援を出して貰いたいのです。」
「我等は『黒エルフ族』じゃ。」
「……黒エルフ族から応援を出して貰いたいのです。」
「ふむ」
非常にめんどくさい性格のようだ。
―― side my ――
「で、敵はなんじゃ?」
「俺達が確認したのはゴブリンだけです。」
「ふむ……ゴブリン程度、ワラワが赴いて蹴散らしてやりたい所じゃが、見ての通り身重の時期でのう。忌々しい。」
こ、こんな小さな女の子を妊娠させるなんて、どんなロリコン野郎!って一瞬思ったけど。アーズのお婆ちゃんなんだよね。
「仕方が無い。丁度、成人する子に戦闘向きなのがいたのぅ。少し待て。」
お婆ちゃんは、目を瞑ってしまったわ。
そこでタイミング良く音がなる。
『ぐぅぅぅぅ~~~』勿論アタシのお腹の音だ。ずっと何も食べてないしね。
「腹が減っておるのか?自慢のメシを馳走しよう。」
あら、以外といい人じゃない。
でもドワーフ達の顔が強張ったわ。
「お腹の調子が悪いのよ。お粥か、雑炊みたいなのがいいんだけど。」
「ふむふむ。了承した。」
言ってみるものね。まぁお米を育ててたし、問題ないとは思ったのよ。
お婆ちゃんは『うんうん』と頷き、また目を瞑ってしまったわ。
ドワーフ達の顔がもっと強張ったわ。
「ワシらは勝手にやらせて貰うぞい。」
「ふん、分かっておるわい。」
「あと、耳飾の納品も済ませたいのじゃがな。」
「ふむ、今呼んでる者に着ける分かえ。酒と布はいつもの場所から持っていくがよい。」
「あぁ、そうさせて貰うぞい。」
「まぁ立ち話もなんじゃ、中に入るがよい」
「「お邪魔します」」
アタシ達は家の中に招待されたけど、ドワーフ達は逃げるように離れて行ったわ。外で肉でも焼くみたいね。
それからアタシのお腹が3回ほど『ぐぅぅぅぅ~~~』となってやっと、ゴハンは来たわ! 小さい『ぐぅ』はノーカンよ。
そして食事と一緒に来た白エルフが言ったわ。
「お母様、何用なのじゃ?」
アタシと目が合う白エルフ。
その時、迂闊にもアタシの時間が止まってしまったわ。
これは、魂の共鳴? 魂の繋がり? 解らない。でも……この感情は何?
彼女の白い頬が赤くなっていく。きっとこの娘も一緒なんだ。
でも、一目惚れなんかじゃない。だって私には彼女も他の白エルフも見分けが付かない。何よりアタシはノンケなのよ。
何この感覚は? 魂が不具合を起こしたんじゃないかしら?
「女王様 口調」でググルと S●の方の女王様しか出てこないんですが。




