草原の宿 十八話 トカゲ・ライダー
-- side you --
ぅぐぅ、俺様としたことが、またやっちまった。
背中に衝撃が走って、叩きつけられて、何が何やらだったぜ。
おかげでまた、服はボロボロだし、凄い出血だし、ウイにおんぶされてるしで、踏んだり蹴ったりだ。
まぁ、そんなに森の奥深くに行ったわけじゃなかったから、直ぐに草原まで戻って来れたがな。ウイの足で。
「もう、大丈夫だ。下ろしてくれ。」
「本当に?」
「あぁ」
腕を振りほどいて強引に降りる。おっと、クラッとしたぜ。
「まだ、ふら付いてるじゃないか。」
「草原に出たし、これくらい大丈夫だ。」
「辛いなら言ってね。」
「ユウ、服直してあげるから脱ぎなさいよ。」
「ここでか?」
「そんなボロボロの血だらけの服だと、また狼か何か来るかもしれないじゃない。」
「そ、それもそうだな。」
俺はしぶしぶ、Tシャツとピンクのランニングシャツを脱ぐ。
また狼とか来たら嫌だしな。
「お気に入りもよ。」
「お気に入りってなんだよ。」
「そのピンクのショーツよ。アタシのお気に入りだったのよ。」
「これは破れてねぇよ。」
「血が付いてるでしょ。」
「・・・ぉぅ」
くぅ、とんだ醜態だぜ。こんな場所で真っ裸とは・・・。
マイが10秒ほど目を瞑って右手で指を差したら、また新品になっちまった。ピンクも鮮やかだぜ。
「あれ?詠唱は?」
「詠唱は飾りよ。」
「・・・」
急いで服を着る俺。女服もだいぶ板について来たな。それで良いのか俺の漢気。
「あれ?アレってさっきのトカゲじゃない?」
「本当だ、さっきのコジーウのトカゲだ。何かあったのかな?」
「おーい、コジーウさん、何かあったんですか?」
「さっきの猿耳か、コイツが動かんでな。ちょっくら立ち往生じゃわい。」
「なんで動かないんです?」
「たぶん、野ウサギお見かけたから、そいつを狙っとるんじゃろう。」
「死んだので良ければ、ありますよ?」
「おぉ、そいつはありがたい。銅貨2枚で譲ってくれ。」
「マイ1羽分けてあけて。」
「フェリーフさんの分が無くなっちゃうね。」
「むぅ、フェリーフには内緒にしといてくれ。」
苦笑いのコジーウは、マイから受け取ったウサギを、トカゲの目の前空高くに放り投げた。
舌が伸びて、見事にキャッチするトカゲ。早いぜ!
「おかげで動きそうじゃわい。」
「それは何よりです。」
「ワシは急ぐんでな。ほら銅貨2枚じゃ。」
「あ、すいません。妹を城まで乗せて行ってもらえませんか?」
「なんじゃ?どうかしたんか?」
「さっき熊に襲われて、フラフラなんです。」
「俺は大丈夫だって!」
大声だしたら、ふらっと来たぜ。
「ほら、フラフラじゃないか。」
それより、このトカゲに乗るのが嫌なんだよ。
「分かった、1人なら問題ない。早よう来い」
手を伸ばしてくるコジーウ。
俺はトカゲは嫌いではないはずなんだが、何故かコイツは生理的に受け付けない。
そんな俺を見兼ねて、ウイが俺の脇を持って強引に押し上げ乗せてしまった。
「では、先に行くぞい。」
「ユウをお願いします。」
走り出すトカゲ。
早いぜ!
意外と乗り心地がいい。殆ど揺れない。
以外と好きかも。
なんて思ってたら、城に着いちまった。
もっと乗ってたかったぜ。
-- side my --
「ボク達も急ごうか。」
「何か面白そうだもんね。」
「でもコジーウさん、かなり焦ってたよ?」
「だから面白そうなんじゃない。」
「・・・」
「あ、ウサギだ!ライトニング!」
最初は可愛かったウサギも、今じゃ獲物にしか見えないわ。慣れって怖いわね。
ライトニングだと、ウサギの毛に付いてる小さな虫も退治できて一石二鳥なのよ。
ウサギを収納してっと。
ふふ、もうウサギ程度なら完璧に獲れるわね。
なんだかラビットキラーの称号を獲得した気分だわ。
「マイ、狩りは止めて早く戻らないと、詳しい話聞けないかもよ?」
「それは大変ね。急ぎましょう。」
城の前にトカゲが止まってたわ。あのトカゲって以外と懐いていて頭良いのね。
とか思ってよく見たら、門の近くにある『棒』にロープで繋がってたわ。
あの程度の棒とかロープだと、すぐに折られて逃げられそうなのに逃げないのね。バカなのね。
「ユウは無事に到着してたみたいだね。」
「早く入りましょう。」
ホールに入ると全員集合していたわ。でもアタシを出迎えてくれた訳じゃなさそうね。
ホールの壁には見た事のある、見慣れないものが飾られていたわ。
「さっきの地図が貼られてるね。」
「なんでだろう?」




