草原の宿 十七話 忍び寄る危機
-- side you --
なんだかんだで森まで来たな。
到着するまでにウサギを5匹(羽)も取れたぜ。まぁ俺は見つけるだけだがな。
俺が見つけて、マイが狩って、ウイが拾ってくる。そんな感じだな。
収穫が増えてもマイの収納に入るし楽ちんだ。籠いらなかったんじゃないか?
「確かに中央を向いてる根っこが太いね。」
「あ、ほんとうだね。」
「二日酔いでも、ちゃんと教えてくれてたんだね。」
「「・・・」」
「でもさ、景色的には余計に分かりにくいよね。」
「そうだね。」
「遭難しないだけましかもな。」
「そうだね。」
「あのキノコってどんな場所に生えてるのかな?」
「ルバイラノ茸かい?」
「それそれ」
「湿気が多い場所だね。」
「あぁだから川の側か。」
耳を澄ましてみる。水の音は・・・聞こえないな。
というか、鳥の囀りさえ聞こえないなんて・・・
「鳥の声も聞こえねぇな。」
「え?聞こえるよ?」
あれ?
突然、眩暈が襲ってきた。
視界がブレる。いや光がブレる?またか!
紫・青・水色・緑・黄・橙・赤
虹の七色が視界を彩る。
それは一瞬の出来事。
俺は突然の眩暈にまた尻餅をついていた。お尻がちょっと痛い。
「大丈夫かい?ユウ」
「大丈夫、ちょっと眩暈がしただけだ。」
あれ?鳥の声が聞こえる。しかも複数。
さっきまではたまたま聞こえなかっただけかな・・・?。
てうか、このドタバタと煩いのはなんだろう。
「なんか、ドンドンと音がしないか?」
「してるね。なんだろう?」
「あっちの方からじゃない?」
樹の根っこからして、森の外側からなにか・・・大きな物が近づいてくる音がする。
何だあれは・・・。
それは巨大なトカゲだった。
巨大なトカゲがドタバタとこっちにやって来やがる。
「あ、あれは、なんだ?」
「でっかいトカゲかな?樹に隠れよう。」
俺たちは樹に隠れてやり過ごすことにした。
「たしかに、でかいわね。あの大きさの獣はちょっとまだ自信ないかも。」
「でも、あれって魔物じゃないのかな?」
「魔物はいないって言ってたよ」
近づいてくるトカゲ。あれ・・・
「あの背中に乗ってるのってドワーフじゃない?」
「え・・・あれの背中に乗ってるの?・・・本当だ。」
トカゲの背中に鞍を付けて、手綱をつけてる・・・
「声掛けてみよっか。」
「でも、知り合いのドワーフじゃないかもよ?ボクもここからだと見分ける自信ないな・・・」
「適当な名前でいいんじゃない?ブードンとか」
「ブードンの敵かもよ?」
「城に向かってるし、敵じゃないと思うけど。」
あれ・・・あのバッジは・・・
「あ、ルルーコ商会のバッジつけてるぜ。」
「ここからそんな物よく見えるわね。」
「まぁ、声掛けてみようか。」
「そうしよっか。」
マイが大声でドワーフに呼びかけた。
-- side my --
「おーーーい、ブーードンさん!」
トカゲが急停止したわ。大きい。ゾウくらいありそう。
「なんじゃお主ら、ブードンの知り合いか?」
「あ、やっぱりルルーコ商会のドワーフなんですか?」
「そうじゃ、コジーウ・ルルーコじゃ。わしゃ急いどるんじゃ。用がなきゃ行くぞい。」
「何かあったんですか?」
「この先、森を出たすぐの、竜骨の谷に大穴が出来てたんじゃ。大変な事になる前にブードン達に知らせないかん。」
「大穴ってなんですか?」
「そんなこたー今説明しとれん。わしゃ行くぞい。」
そう言い残してコジーウはドタバタ行ってしまったわ。
トカゲを見送るアタシ達。
「まだ、兄弟がいたんだね。」
「区別付かないな。」
「あのトカゲは馬みたいな感じかな?」
「ゾウみたいに大きかったね。」
「で、どうしよう?なんかヤバイ感じだったけど。」
「いったん、もどった方がいいのかな?」
「ちょっと面白そうだし、帰ろうか。」
「事情も知りたいしね。」
「キノコはまた今度だな。」
「うくぅ」
その辺に生えてないかしら。
それは突然振り下ろされたわ。アタシじゃなく、ユウに。
振り返ると、背中から血を流すユウ。樹まで吹っ飛んでいった。
「マイ、熊だ!ファイアーボール!!」
この大きな熊の爪がユウの背中を抉ったんだ!
こんな近くに来るまで気が付かなかったなんて!
「ファファファイアーボール!!」
焦ったアタシはウイ兄の言うとおりに大きな熊にファイアーボールを打ち込んでたわ。
でも、大きな熊は毛皮がちょっと焦げたくらいしか効いてないみたい。
「ファイアーボール!ファイアーボール!!ファイアーボール!!!」
流石の熊も火達磨になって逃げ出したわ!
でも、許さない。死んだユウの仇!!
「ライトニング!ライトニング!!ライトニング!!!」
大きな熊は煙をだしながら絶命したわ。でも、ユウの仇だもの。当然の報いよ。
アタシは目から涙がでてきたわ。
憎たらしかったけど、あれでも弟だもの。あ、妹だもの。
「マイ!泣いてないで、ユウに回復を!!」
ユウの背中を上に向けて抱えてるウイ兄。
「え?まだ生きてるの?」
「そんなに簡単に死なないよ!早く!」
「か、回復魔法ってなんだっけ?」
「ヒールだよ。ヒーリング!」
「ヒ、ヒ、ヒーリング!ヒーリング!ヒーリング!」
アタシは思いっきり気合を込めて回復魔法をしたわ。ユウの背中の傷に向けて。
でも、血は止まった感じだけど、血痕で分かりにくいわ。
「ヒーリング!ヒーリング!ヒーリング!」
「うぅ、楽になったよ。ありがとう。ウイ」
「回復魔法を使ったのは。マイだよ。」
「ありがとう、マイ」
「ふん、油断しすぎよ。」
なんで先にウイにお礼なのよ。やっぱり憎たらしいわ。
アタシは涙を拭いて後ろを向く。恥ずかしいので、熊の死体に近づいて熊を収納する事にした。
「ボクもちょっと油断しすぎてたよ。この森は危険だって事忘れてた。」
そうよね。あんな凶暴なイノシシや、狼や、熊がいるんですもの。油断しちゃだめだわ。
「ユウ、コレを飲んで。」
「そ、それって・・・」
「増血剤だよ」
ど、どこに持ってたの!?
「ま、まだあったの?」
「薬キノコ22個分だしね。」
「ア、アタシにも!」
「だめだよ。これは薬なんだから!」
ウイ兄が本気で怒ってる。し、仕方ないわね。ここは諦めた方がよさそうね。
「うぅ」
こんなにキノコに恋焦がれるなんて初めてだわ。
「ユウが落ち着いたら、いったん宿にもどろう。やっぱり強引にでも鎧を着せておくべきだったよ。」
あんな面積の少ないビキニに意味は無いと思うけど。特にブラの方はね。




