草原の宿 十五話 だいたい世界地図
-- side you --
「籠と地図か?」
「はい、キノコとか、薬草を採りに行くので。」
「うーん、籠はあるが、地図はあったかのぅ・・・」
俺たちは籠と地図を買うべくモルッタの解体所まで来たが、他のドワーフがいた。誰かは分からない。
「ちょっと待ってな。」
「はい、お願いします。」
「俺、ちょっと便所行ってくるわ。」
「うん、一人で平気?」
「大丈夫だ。問題ない。」
流石にもう付いて来て貰うのはアレだし、解体所の隣が便所だし、今なら何かあっても大丈夫だろう。問題もないだろう。
ズボンを脱いで、壁に掛けて・・・一つ一つの作業を指差し確認する。
まぁ俺の心配も杞憂に終わった。そうだ、この俺様がそう何度も、そう易々(やすやす)とは失敗しないのだよ。
俺は解体所の前にもどる。
「地図はあるにはあったんだが、流石に持ち運ぶには大きいぞ?」
その地図は、何かの革でできた、縦横4メートルぐらいの物で、持ち運んで使用するには向いてないように見えた。
地図と言うより、絨毯と言ったほうがいいかも。
丸めて縦に持って抱えている。
「大きいですね」
「まぁ、地図は大体こんなもんだ。」
「中を見せて貰っても良いですか?」
「見るのは一向に構わんが、一応は商品なんでな、汚れんようにしてもらいたいんじゃ。」
「わかりました。ちなみにお値段は?」
値札を見るドワーフの誰か。
「えー、金貨80枚じゃな。」
「やっぱりお高いですね。」
「まぁ、物が物だしの、そんなに売れるもんでもないし。まぁ地図なんざ、国によっちゃ軍事機密になっとって、持っとるだけで奴隷落ちもあるしの。」
「ど、奴隷ですか・・・」
「ま、獣人種の考える事は解らんわい。」
「なるほど・・・」
「とりあえず、ホールにでも持っていくか?」
「お願いできますか?ガバックさん」
「お安い御用じゃわい。」
そうして、城に入ろうとする俺をウイが呼び止める。
「ユウ」
「なんだ?」
「井戸で手を洗っていこうか。」
「・・・ぉぅ」
細かい奴だ。
-- side my --
この大きな地図はテーブルに収まらないわね。
だから、半分ずつ見ることになったわ。
「ここが、この草原じゃな。」
ガバックが現在位置を教えてくれたんだけど、草原の中央にあるはずの宿、というか城の印はない。
「で、ぐるっと周りが森じゃの。」
「ふむふむ」
「で、こっちが竜骨の谷で、こっちが獣人族の多い方じゃな。この山脈からこっちがドワーフの国じゃ。我等が故郷じゃな。」
と、説明してくれるのはありがたいんだけど、地図が大雑把だし、別に道が書いてる訳じゃないし。街さえ書いてない。
コレが金貨80枚か・・・。小学生でも模写できそう。革と塗料代かな。
「こっちが獣人族の多いほう、ということは、王国とか帝国とかある方ですか?」
「そういうことじゃな。まぁ、あの変の国はできたり潰れたりで今はどうか知らんわい。というか、お前さんらは、そこから来たんじゃないんか?」
「ボク達は田舎者でして。」
「そうじゃったな。通貨も知らんのじゃったな。」
あぁ、アタシも田舎者なんだね。ちょっとショックだわ。
「それにしても、変わった服じゃな。」
学ランを見てガバックが関心しているわ。
「これですか?これは田舎の民族衣装でして。」
「ほう、そんな民族衣装はじめて見るのう。」
「凄い田舎なもんで。」
「ま、そうじゃろな。首周りなんざ動きにくいじゃろうて。」
関心じゃなかったみたいね・・・。
「あとはー、そうじゃのう・・・この獣人族のこの辺りの国の塔が面白いとか聞いたがの。」
「塔ですか?」
「うむ、それはでっかい塔で、少しずつ成長しとるそうじゃ。」
「塔が成長ですか?」
「ま、ワシも直接見た事はないしの、眉唾物じゃな。」
塔が成長とか意味が解らないけど、面白そうよね。機会があれば行って見たいわ。
「この地図の端の線はなんでしょうねぇ?」
「うーん、聞いた話じゃ、でっかい川があるそうじゃが。向こう岸まではかなり掛かるらしい。ま、よう知らん」
「ありがとうございました。おかげで大体分かりました。」
ほんと大体だわ。
「どうせ買わんじゃろうが、また見たいかもしれんから、ここに置いとくわい。」
金貨80枚を酒場に放置するんだ・・・。まぁ盗る人もいないけどね。
「ま、薬草採取がんばってな。野獣に気をつけるんじゃぞ。」
と言い残して、ガバックは去っていったわ。
「はい、気をつけます。ありがとうございました。」
「この地図が有っても森での作業とは関係なさそうね・・・」
「そ、そうだな。」
「でも、あの言い方だと、これ以上は望めそうにないね。」
「基本的に三人で行動して、迷子になったら、中央を目指せばいいんじゃないのか?」
ユウの奴、自分が迷子になることを前提に話してるわね。
「迷子にならないでよね。」
「そ、それは俺のセリフだ!」
「他に必要な物はないかな?」
「わかんねぇな」
「お弁当は?」
「そんなのあるのか?」
「聞いてみようか。」
この後、厨房に行って、アーズから干し肉と水筒をもらって、出発することになったわ。
あと厨房で項垂れてるフェリーフさんは、見なかった事にしたわ。
「何話目が分かりにくい」とか有れば教えてほしいです。矛盾してるとこがあれば・・・検討したいと思います。




