草原の宿 十話 就寝前
草原の宿 十話 就寝前
-- side you --
3人で寝室にいく。
ベッドは3つ。
窓側と、廊下側、そしてその間。
「アタシ、窓側でいいわ。」
マイが場所を指定してきた。
「俺も窓側がいい。」
勿論、俺も窓側だ。
「じゃぁボクは廊下側にするよ。」
流石は長兄、弟妹に譲るとは。人間が出来すぎてるぜ。
「ユウ、アタシに譲りなさいよ。」
元姉はダメだな。人間が出来てない。
まぁ俺も窓側に拘りがあるわけじゃない。ただ何となく窓側がいい。
「ジャンケンで決めよう。」
「オーケー」
天を仰ぐマイ。何を出すのか天にお伺いしているのだろう。
だが、俺は知っている。マイがかなりの高確率で『パー』を出すことを。
よって俺の初手は『チョキ』。
「「ジャンケン!」」『パー』『チョキ』
あれ?おかしいなぁ。なんで俺『パー』出してるんだ?
「ふふん、じゃぁ窓側はアタシね。」
納得できねぇー。が勝負は勝負。
俺は諦めて中央のベッドに陣取る。
と、言っても、する事は無いけどね。
掛け布団は、毛布とは言えないほど薄い布が1枚。暑くも寒くもないので、十分だと思われる。
敷布団は、毛の柔らかい毛皮を何個か縫い合わせた物の下に、藁を引いている。でも藁というよりタダの枯れた雑草に見えなくも無い。
まぁ臭いもしないし、フカフカではあるので、悪い感じはしないな。
「セーラー服、ここに掛けておくね。」
クローゼットにセーラー服を掛けるウイ。でももうアレを着たいとは思わない。
新しいTシャツとズボンを獲得したしな。
元々、マイの物なんだし、返してもいいよな。
俺の学ラン返してほしいけど、ウイとサイズが変わらない事を考えると、今の俺にはかなりデカイ気もするしなぁ。
「スカートどうしよっか。」
どこに持ってたのか、セーラー服のスカートも持って来てる。
「あぁ、それなら任せて」
マイがクローゼットに近寄る。
スカートを床に置いて、目を瞑って10秒ほどして。
「エィ」
と言っただけ。破れたスカートが元に、むしろ新品に戻ってしまった。なんだかなぁ。
「ユウこれで又着れるわよ」
「着ねぇ」
「なんでよ?」
「もともとマイの服だし。返す。」
「今のアタシには小さいわ。それに代えの服は必要でしょ?」
「むぅ」
「細かい事は明日にしよう。今日は疲れたよ。」
「そうね。分かったわ。」
「俺もすごい疲れたぜ。おやすみ。」
「ちょっとユウ待ちなさいよ。」
なんだ、まだ何か用事があるのか・・・
「その髪型で寝るのはまずいでしょ?」
「はぁ?」
と、俺は頭を触る。そ、そうだった。お団子ツインテールだった。すっかり慣れ親しんでたぜ。
「こ、これどうやって解くんだ?」
「そこに座って、あっち向きなさい。」
髪を解いてくれるマイ。腐っても元女子という事か。
「ブラシがないから。髪を梳かせないから、これでおしまい。ブラシも1つ欲しいわね。」
と、自分の髪を手で梳く。
「ありがとう」
ツインテールは不本意だが、一応の礼は言わないとな。
「モルッタなら持ってるかな。聞いてみよう。」
ベッドに横になる俺とマイ。
ウイからは寝息が聞こえていた。よっぽど疲れていたようだ。それもそうか。
今日はいろいろあり過ぎて、頭が混乱しそうだぜ。
薄い毛布を頭からかぶる。うぅ。
俺も凄い疲れた・し、ぐっす・・り・・・ね・・・・
-- side my --
「モルッタなら持ってるかな。聞いてみよう。」
あれ?もう、二人から寝息が聞こえる。
ウイ兄もユウも、速攻で寝ちゃった。凄い疲れてたのね。
でも、アタシは全然疲れてない。これが覚醒した力かな。
今日は色々あったな。あり過ぎて、何があったかあんまり覚えてないや。
立ち上がって、学ランを脱ぐ。
「これはパジャマには向かないわね。」
ちょっとヨレヨレの学ラン。ズボンもみる。それなりに汚れてた。
シャツも脱ぐ。うぐ、に、臭いがちょっと凄い・・・これが覚醒の代償。
「これは洗濯しないと。」
学ラン、ズボン、Yシャツ、タンクトップシャツ(メンズ)、そしてトランクス、靴を1箇所に集める。
すなわち裸。
裸は、ちょっとまだ慣れないわね。自分の顔が赤くなる。
そして瞑想すること10秒。
小声で詠唱する。
「TOP ATTACK アリエ☆ル」えぃ ってな感じで右手で指差す。
シャツを手にする。うん完璧。フローラルな香り。
もう洗濯魔法は完璧じゃないかしら。
そう、思ったらもっと試したくなってきた。
ふと、隣をみる。
ぐっすりと寝てるわね。
ユウはさっき新しい服に変えたばっかりだし。効果が判りにくいわね。
じゃぁ、ウイ兄ね。
ウイ兄はアタシよりも汚れているはず。
キノコをモギに行ったり、ビチョビチョのユウを背負ったりしてたしね。
ウイ兄の毛布をめくる。起きないように。ゆっくりと。
ふむ、白いブリーフに、白いランニングシャツか。
まぁ、寝るんだし、学生服は脱ぐよね。
ということは、服と靴はクローゼットの中か。
クローゼットをあける。
あぁ、顔は美少女でも、体は男の子ね。似たような臭いがする。しかも、ユウの臭いのおまけ付きで。
これは、洗濯魔法の腕がなるわね。
10秒ほど瞑想し、小声で詠唱する。
「TOP ATTACK アリエ☆ル」えぃ ってな感じで左手で指差す。
そして臭いを確認する。
完璧ね。
ぐふふふふ、アタシって凄いんじゃない?
まだよ!まだやり足りないわ!!
そしてウイ兄をみる。
ぅふふふ。ぐっすり寝てるわ。寝顔も美少女よね。
でも待って。洗濯魔法は副作用で身長が縮んでしまうのよねぇ・・・危ない危ない忘れるとこだった。
仕方が無い。脱いでもらおう。
超小声で囁く。
「ウイ兄、洗濯するから、服を脱いでね。」
「わかったょ ぐにょ」
寝ながらランニングシャツを脱ぐウイ兄。
もしかして、アタシって催眠術の才能もあるのかも。
そして、横になるウイ兄。
む、パンツは脱がないか。でも、ついでにパンツも洗濯しといてあげたいよね。親切なアタシに感動だわ。
「パンツも脱いでね」
また超小声で囁く。
「わかったょ」
ブリーフも脱いだ。まぁ男物の下着は見慣れたもので大した感動も無いわね。
床にパンツとシャツを置く。
「TOP ATTACK アリエ☆ル」えぃ ってな感じで左手で指差す。
そしてシャツの臭いを嗅ぐ。流石にパンツは抵抗あるしね。
完璧ね。
なんだか、『パーフェクトクリーナー』の称号を手に入れた気分だわ。
よし、今日はこの辺でいいかな。他に獲物もいないし。
ランニングシャツとブリーフはウイ兄の毛布の上にでも置いとけばいいかな。
そして、自分のベッドに戻る。
うーーん、まだ疲れてないけど、寝るかな。
明日は、薬草採取がんばろう。




