草原の宿 八話 歓迎会
-- side you --
ホールに行くとアーズとフェリーフとドワーフ達4人がいた。食事を取らずに待っていてくれたようだ。
「お、やっと着たか。」
「遅かったな。迷子かと思って探しに行くとこだったぞ。」
かなり待たせてしまったようだ。
俺はアーズに駆け寄り、問いただす。そうコレは絶対に必要な情報なのだ。
「あの便所の化物はなんだ!?」
びっくりするアーズ。そして笑い出す。
「化物ってスライムの事か?もしかして行き成り洗礼を受けたのか?」
スライム・・・?洗礼・・・?
「便所と解体所の地下は繋がっていてな。ポール・スライムを3匹飼っていて、不要な内蔵やら血やら糞尿を始末してくれるんだ。」
クックックっと笑いをかみ殺してるドワーフ達。
「たまに穴の中から挨拶してくる可愛い奴じゃな。」
ガハハハと笑い出すドワーフ達。
「まぁ人体には影響ないんじゃ、苛めんでやってくれ」
くっそ、俺はそんな無害な物に、あんな目に遭わされたのか。また泣けてきた。
「そうでしたか、先に言って貰えたら、ユウもあんな目に遭わなかったのに。」
とアーズを睨むウイ。
もういい、もういいんだ。その事は他人に言わないでくれ。
「何かあったのか?」
「ユウが、女子トイレで大変な目に・・・」
「女子トイレ?あぁ糞便所か・・・それは、すまなかったな。言わないほうが面白いと思ったんだが。あとで掃除しておくよ。」
俺は恥ずかしさから顔の温度が上がっていく。
「ちょっと、食事前にそんな話するもんじゃないよ。」
俺の顔に気が付いたフェリーフさんが中断してくれた。ありがとう!
でも、元々は俺が蒔いた話題なんだよね・・・ごめんなさい。
「それは失礼しました。あと薬キノコのポーションは頂きました。ありがとうございます。」
また、ウイが強制敵に話題を変更した。
「はいはい。あぁ言うのは忘れる前に処理せんとな。」
そしてウイは俺にキノコポーションを手渡してきた。
「これは増血剤だけど、多分甘くて美味しいよ。食後に飲むと良いよ。」
「おぅ、ありがとう。」
でもなんで、ウイはそんな知識があるんだ?
「モルッタが来ねぇなぁ。まだ狼を解体してるのかの?」
「モルッタさんなら、多分自分の部屋にいきましたよ」
「なんでい。じゃぁ待つだけ無駄じゃな」
「先に食うかの。」
アーズが立ち上がり木のコップをもつ。
ドワーフ達も、各々のコップをもつ。
「ウイ、マイ、ユウと俺たちの出会いにカンパイ!!」
「「「「カンパイ!」」」」
俺は、行き成りの歓迎会ムードにスライムの事は忘れて、悪い気分はどっかに行ってしまった。
-- side my --
歓迎会の食事は正直なところ、かなりしょぼかった。
何かの肉と水。山菜ぽい何か。あとお酒だ。
肉は塩味が付いてて、こないだ食べたイノシシ肉とは天地の差があったけどね。やっぱり塩は偉大だわ。
山菜も茹でて塩味を付けただけのもの。
炭水化物が無いのは育ち盛りには厳しい。
まぁ、気持ちは嬉しいから悪い気分じゃないけどね。
ウイが「ボク達はお酒は飲まないから。」と言った瞬間、ドワーフ達が凄い勢いで持って行ったのには驚いた。1人取りそこなったドワーフの悔しがり方が尋常じゃなかった。
冷めた肉を食べてると、物陰からモルッタがアタシを手招きしてるのが見えた。
「どうしたんです?」
と、小走りで駆け寄る。
「ちょっとコッチにきて。」
物陰に隠れるモルッタ。
「これに急いでさっきの魔法を掛けて欲しいんだけど。」
「この3着?」
「そう、できる?」
「ちょっと広げて見せて貰えます?」
ボロいと言うより、破れた感じかな・・・。
「かなり破れてますね。」
「そうなんだ。無理かねぇ?」
「とりあえず、やってみましょうか。」
「お願い頼むよ。」
えーと、意識を集中して、くっつく感じで。元の状態をイメージして。
「ビ★ズ ボ★ルド アリエナイ アリエ★ル デショ!」 えぇぃい!
てな感じで服に魔法を掛ける。詠唱はいらない気がしてきたけど、気分が盛り上がらないから、やっぱり必要だよね。
「おぉ、すごい!凄いよ!」
「えへへへ」
そこまで驚かれると照れるね。
「これ、とりあえず銅貨6枚!あと1枚は感謝の気持ち!じゃぁね!これで間に合いそう!!」
また走ってどっかに行ったモルッタ。忙しい人だ。
ふふ、銅貨7枚か。きっとそれなりの金額のはず。70円とか思ってはだめだ。
そのあとホールに現れたモルッタはちょっと恰好良かった。




