草原の宿 七話 乙女装備
-- side you --
「へぇ、便利な魔法を使えるんだねぇ。」
モルッタが服やら、タオルっぽいのやら持って来てくれた。
「あぁこれで身体を拭きな、あとは服なんだが、合いそうなサイズがコレしかなくってねぇ。でもこの分だといらないかね?」
洗濯魔法の掛かった服に興味津々だ。
持ってきた服は、黄土色のズボンとTシャツ・・・だよな。両方かなりボロイ。
でもそれ以上に初対面のドワーフにさえ女の子に見えてるのかと思うと、また泣けてきた。向こうも種族補正で男女が解りにくいはずなのに。
そして涙が出るたびに思う。俺の漢気が乙娘気にクラスチェンジするのも近い、と。
「ありがとうございます。換えの服は必要なので、すごく助かります。」
頭を下げるウイ。俺も頭を下げる。
「まぁあんまり気にすんなぃ、売れ残りのお古のボロさね。」
確かにボロい服だ。
タオル・・・というか、荒縄を布状にした物を受け取り、身体に付いた水分を取る・・・でも、あんまり取れないな。しかも擦れて痛い。
「あとブードンに頼まれてた、薬キノコの調合も終わってる。こらぁアンタ達んだろ?」
「ありがとうございます。お代は、後で纏めてでお願いします。」
「あいよ。それよりさぁ、さっきの魔法、このボロに掛けてみてくれょ。簡単に出来るもんなのか?」
「フフ。いいでしょう。驚愕の洗浄力をとくと御覧じろ!」
凄く得意げなマイ。目を瞑る、10秒ほどして
「TOP ATTACK ファ★ファファファ★」
左手の人差し指と中指を立て、服を指差す。
「おぉ、こらぁ凄いね!!色はもともと茶色なのに、なんで白くなってんだ?」
そこには汚れどころか、ボロボロの形跡さえない、新品の真っ白なズボンとTシャツがあった。
「さぁユウ着てみなさい!」
なんかマイの勢いが止まらない・・・。まぁ新しくなったしいいか・・・。
俺はピンクの下着を持つ・・・うん、乾いてる。凄い。納得できないが凄い。そして臭いも嗅いで見る。うんフローラルな香り。そして穿く。
その上に白いズボンを穿く。膝上までしかねぇ。しかもブカブカ。まぁ穿かないより断然いいけど。腰の紐を引っ張ってずれない様にサイズ調整する。
「ユウこれを忘れてるよ。」
両手に銀の下着を持つウイ。
「それはもういらない。そんな呪われた下着穿けるか!」
「でも、付けてないと危ないよ?それに呪われてはないよ」
なんでそんな事判るんだよ。
「そんな緊急時に邪魔になるものはいらないな!」
「脱ぐ練習すればいいじゃないか。」
「それに、それ何の意味があるんだよ」
「いや、凄い性能だよ?狼の時も役に立ったでしょ?」
「狼?」
あぁ、あの甘噛み犬か・・・。あの程度の攻撃、いたくもかゆくも無いぜ。ちょっとチクっとしただけだ。
「やっぱいらないな。」
「うーん、着けといた方が良いと思うけど?」
「いらない、いらない」
「じゃぁ、マイ持っといて。」
「いやよ。そんな呪いのアイテム。」
「マイまで呪いのアイテム扱いとは・・・」
実際呪われてると思った方が正しいよな。脱げないんだし。
「じゃぁ部屋の箱に入れておくから。気が向いたら穿いてね。」
気が向くことは無いな。
俺はさっき脱いだピンクのランニングシャツを着る。なんで何でもかんでもピンクなんだ?
その上からもらったTシャツを着る。Tシャツにしては長いな。太ももまである。これも、かなりブカブカ。
最後に靴を履く。靴もサイズがちょっと大きいんだよな。
でも今の状況にしては、悪くない服だよな。
「まぁ、間に合わせにはなるかね?」
俺たちを珍しい物を見る目で見てたモルッタが聞いてきた。
コクっと頷くオレ。正直言って俺の趣味ではない。が文句も言えない。
モルッタは上から下まで俺を見て何か納得したようだ。マイに振り返ると、
「ちょっと相談なんだが、アタイの服もやってもらえねぇか?勿論、銭はだすよ?」
モルッタが商売ネタを提示してきた。
-- side my --
ユウが服を着ていく。
なんで、アタシのお気に入りの香りを嗅ぐのよ!いや、今はもうアタシのじゃない。だけど凄く嫌。
その上に白いドロワーズ・・・ドロワって下着だよね。下着の上に下着か・・・まぁ悪くはないよね?
ウイ兄がまた銀のビキニを押し付けてる。
・・・ユウは気に入ってたみたいなのに、流石にあの状況になったら敬遠するよね。
どうせ、ブラはまだまだいらなそうだし。ウケルwww
「じゃぁ、マイ持っといて。」
「いやよ。そんな呪いのアイテム。」
「マイまで呪いのアイテム扱いとは・・・」
そんなの付けたら、折角の『覚醒した証』が潰れるじゃない。
「じゃぁ部屋の箱に入れておくから。気が向いたら穿いてね。」
気が向くことは無いな。
あぁ、アタシのキャミソールまで・・・うぅ。
上着はちょっと短いけど・・・元が元だけにアレだけど、以外と可愛いかも。
かなりブカブカだし。後で腰にリボンベルトでもつけてあげようかな。ワンピース風になりそう。
「まぁ、間に合わせにはなるかね?」
ユウをジロジロ見ていたモルッタが何か納得したみたい。
モルッタはアタシの方に振り向くと
「ちょっと相談なんだが、アタイの服もやってもらえねぇか?勿論、銭はだすよ?」
モルッタもやっぱり女の子なんだね。可愛らしい服を見るとそうなるよね。
「一着銅貨1枚でどうだい?」
アタシは右手の親指と人差し指を顎に持って来て考える。
ふむ、銅貨1枚か・・・
ゴハン1回分か・・・そう考えるとなかなか・・・でも、10円と考えると安いかも。物価が判らないから、判断できないなぁ。
「じゃ、じゃぁ銅貨2枚だすよ?」
ふむ、銅貨2枚か・・・
宿代1泊分か、そう考えるとなかなか・・・でも20円か・・・うーん。
パンっと両手を叩きお願いしてきた。
「銅貨3枚!お願いします!」
あれ、勝手に値上がっていくな。でも、そこまでお願いされると逆に気が引けるよね。良い人そうだし。
「今後も何かとお世話になりそうだし。銅貨2枚でいいわ。」
正直、3枚貰いたいけどね。でも30円も20円も変わらないよね。
「ありがとう!」
なんか今にも泣きそうなモルッタ。でも、顔はオッサンなんだよね。
「でも、最初は数着にしてね。」
「わかった!10着くらいならいけるか?」
「わかんないけど、多分いけるかな」
「もう着れなくなったセクシーなのが、いっぱいあるんだ。部屋からもってくる!」
走って城の方に行っちゃった。
「アタシ達はホールで食事してるから!」
叫んで教える。
「おぅ、わかったょ!これで兄貴達もアタイにメロメロだ!」
なんか、変な言葉が聞こえた気がしたけど聞き間違いかな。




