第一章2 『名前』
「ちょ、ちょっと!!」
少女に手を引かれ、洞窟を飛び出す。
「そとだーーー!」
少女はパッと、私の手を離した。
両腕を目一杯に広げる。
「きもちいいね!!」
少女は足元を見る。
「...??」
砂を踏む。
もう一度、踏む。
「面白い!」
ぱたぱたと、その場で足踏みする。
「ふわふわする!」
「ただの砂だよ」
「すなっ!!たのしー」
少女は無邪気に笑った。
本当に楽しそう。
ただの砂なのに。
しばらく夢中になっていたかと思えば、
「あっ!」
「今度はなにー(汗)」
私の言葉なんて聞かずに、別の方向へ走っていく。
「わぁー!」
その先には、白と淡い水色の花がまとまって咲いていた。
少女は迷うことなく、その中へーーー
ダイブ、、!!
ぼふっ、と小さな身体が花に埋もれる。
「いっ、、たたー」
「...もう、なにしてるのよ」
身体を起こし、服についた砂を払ってあげる。
「えへへー」
「もう、やんちゃなんだから」
「やんちゃー?」
「そこは覚えんでいい」
服についた砂や花びらを払っていく。
そのとき、少女の胸元に目が止まった。
ひし形の、星にも見える小さな飾り。
(変わったもの、つけてるな)
「きれい~」
少女はもう、足元に咲く花に夢中になっていた。
「これはなにー?」
「お花だよ」
「おはな?」
「うん」
「おはなー!」
かわいい。。
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それからだった。
花の間を飛ぶ小さな虫を追いかけ、
川を見つけては裸足のまま飛び込み、
水の中で何かが動けば、
またそれを追いかける。
「あれはー?」
「鳥だよ」
「これは?」
「石」
「あっちは?」
「...山」
「あれは!?」
「...」
一体、いくつ答えただろう。
気づけば私は、少女の「これはなに?」に答える係になっていた。
「おすな〜♪ おはな〜♪ おむし〜♪」
少し前を歩く少女が、覚えたばかりの言葉を適当な節に乗せている。
「かわ〜♪ うみ~♪ さかな〜♪」
...ずいぶん覚えたな
「~♪」
ご機嫌な歌声が、海風に乗っていった。
「そういえば、」
「?」
「あなたはなんていうの?」
少女が振り返る。
「わたし?」
「うん。名前」
「なまえ?」
また知らない言葉だったらしい。
「私は、ハク」
自分を指さす。
「これが私の名前」
「はく?」
「うん」
「はく、、ハク!」
少女は覚えたばかりの言葉みたいに、嬉しそうに私の名前を口にした。
「じゃあ、あなたは?」
少女は自分を指さす。
「わたしの、なまえ?」
「そう」
少し考えてから、
「わかんない!」
「...分からない?」
「うん!」
「名前、ないの?」
「ない!」
...そんなことある?
でも、よく考えたらこの子、石の中から出てきたんだった。
名前がなくても、今さら驚くことじゃない...のかも?
んー、
そう、名前がないならーーー
「よし、私が決めよう」
「?」
「んーーー、あなたの名前は、ひな!」
「ひな?」
「そう。ひなよ」
ぴょこぴょこと動き回るこの子には、なんだかぴったりな気がする。
「ひなーー!」
ひなは嬉しそうに、自分の名前を何度も繰り返した。
まるで、今日覚えたどの言葉よりも大切そうに。
「ひな!ひなー!」
「はいはい、ひなね」
...。
「さて、そろそろ行こっか。」
...? 返事がない。
「...ひな?」
ついに王道展開!名付け親です!
本当は、ハクの後ろをぴょこぴょこ付いてくるから「ひな」って名前にする予定だったんですが、ひなが元気すぎて先に行っちゃってました、、、笑
まぁかわいいからいっか!(笑)
次回は、ひなが世界に触れる最初の瞬間です!
お楽しみに!




