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044:特事武装

 ここはどこだろう?

 バスは、さっきまで空に浮かんでいたのに。


 そこは……そうだ、体育館ににた場所なんだ。

 上から明るい光が落ちてきて、真っ平らな床が広がってる。

 違いは壁も床も灰色で、何の装飾もない事。

 のっぺりしすぎていて、VRみたいだけど……

 真逆さっきまでのは、映像で実は……?


?『みなさん、お怪我はありませんか?』

 突然声が聞こえてくる、そして……空中に映像が出てきてる?!

 こんなの見たこと無い!


カレル『私は、カレル・ロッサム。

 みなさんを、現在安全な場所に保護致しました』


 映像に出てきた犬? 狼? の顔をしたお姉さんの言う事には。

 あの赤い羽根の巨人が悪さをして、自分たちは巻き込まれたらしい。

 カレルという人が助けてくれて、ここに転移……転移?! させてくれた。


 ……何それ凄い?! VRのゲームの世界じゃないか!!

 転移とか……そんな事が本当に出来るなんて。


 何人かが、これはVRなのではと言っていたが……直ぐに否定された。

 装着しているフラクトロンを外しても、何も変わらなかったから。


 VRで何かあった時、腕に装着しているフラクトロンを外す。

 これをすると、VRシステムは止まって現実世界に戻れるんだ。

 学校や家で、フラクトロンを使うようになった時からずっと教わる事。

 このシステムは改変も妨害も出来ず、必ず実行される……らしい。


カレル『皆さんは現在、プリチャピ地下の施設……頑丈な施設の中にいます。

 どうかバスか、その周辺で待機をお願いします。

 必要な物資があれば、モニターに告げてください。 直ぐにお持ちします』


 これは現実……信じられないけど、間違いないらしい。

 研究所のないあの森も。 巨人も、大きな塔も……それに。


 気が付いた。 じゃあ、あの金色の天使も?

 気になって、思わす問いかけた。 すると……


カレル『……いいでしょう、映像を出します』

 妙に嬉しそうに、モニターに映像を……外の景色を。

 

 巨人を前にした、金色の天使を見せてくれた。

 

―――――


 極光機関。

 変幻自在にどんな物質にも姿を変える粒子……プログラマブルパーティクルの制御機関。

 どんな物にも姿を変えるだけで無く、既存の非生物物質に干渉し改変さえ出来る。

 ルルー姫達にストラギアを作れたのも、このシステムのおかげだ。

 

 プログラマブルパーティクル……PPの可用性は多岐に渡る。

 構造を理解していれば、どんな複雑なシステムも構築出来たりする。

 虎龍が自分を映した時は、カメラを空中に構築していたし。

 空中にモニターを映し出したのも、このPPが構築したからだ。


 王国の根幹を成す技術であり、ストラギアはこれを制御する事で使用者の要望に応える。

 ……のだが。

 

 普段はこの極光機関、セーフティをかけている。

 何でも『出来すぎない』ように。

 山を登る時、冷凍ビームなど使わない。

 川で遊ぶ時、キャノン砲など使う必要は無い。

 

 必要の無い場面で、過剰な能力を使わないように。

 極光機関は、普段は必要なだけの能力以外は封じてある。

 必要の無い能力は、不便でしか無いのだ。


 逆に……では、もし必要な場面が生じたら?

 火山が噴火したら?

 上流で何かが起き、濁流が迫ってきたら?

 その時、極光機関を内蔵したストラギアは持ち主に答える。


 普段抑えた、極光機関の全力稼働。

 これにより、普段使う事の無い不要な能力は解放される。

 迫り来る溶岩を止め。

 すべてを押し流す濁流を治めることが出来る。


0『ストラギア、ナンバー0。 極光機関全力稼働。

 キャッスルクラス特事武装、展開します。

 ……召喚が、使用者により停止。 PPによる代行機関を構成。

 これにより、最大出力が……」


 更に、全力稼働時は緊急事態である事が殆ど。

 であるなら、身を守る装いが必要だ。


 あたしの場合は黄金の手甲、足甲。

 ドレスに程よくちりばめられる装甲板。

0『代行機関構成……展開します<ガコォ……ン>』

 左右5枚の身長を超える細長い板が、まるで翼のように。

 大小合わせて15枚の一際輝く板が、まるで王冠のように頭上に。

 工場で巨大な金属が動くような、重い響きを立てて展開され。


0「全武装、正常に構築展開。 PP、展開完了。

サイバーアーム全機能、全力運転可能です。 陛下」

 仕上げとばかりに、装甲から虹色の蒸気が勢いよく吹き出し、ドレスと髪を揺らす。

 

 これが、ストラギアの最大稼働。

 特別事態……特事武装『サイバーアーム』と呼ばれる。

 PPによって構成され、全身を守る装備である。 


 ……ちなみにサイバーアームの名前をつけたのはあたしじゃない。

 いつのまにか国中に浸透していたのだ。

 ……まあ、かっこいいのではと思う。

 

――――― 


カレル「美しい……」

 呟き、涙ぐむメイド……カレルの言葉通り。

 確かに、美しい。 どんな形容詞も、陳腐に感じてしまう。


 ドレスにちりばめられる、幾何学模様の装甲。

 獰猛かつ優雅な、手甲と足甲。

 極めつけは、背に流れる白金髪に翼のようによりそう8枚の板に、頭上を飾る王冠。

 黄金色の装甲に、極光色の輝きを身に纏う彼女は、正に……


レト「……天使だ」


 少女の言葉通りだ。

 モニターの向こうの情景は、まるで醜い悪魔と対峙する天使ではないか。

 地球にも天使や悪魔の概念がある事に驚いたが……

 真逆、それを連想せざる終えない情景をこの星で見る事になるとは。


おかね「の、のう……あま坊のあの姿は……」

カレル「あま……ああ。 陛下のサイバーアームを纏った姿ですね?

 そうですね。 掻い摘まんで説明すれば……」


カレル「もう、あの巨人は死ぬという事でしょうか。

 ……それはいいのですが。 さて」


―――――


マヌガン「は、はは……何をするかと思えば。

 また少し、衣装を変えただけではないか」

 巨人の体で、器用に口を押さえ体を震わせ嗤っている。

 それだけ体に自分の魂が、不具合無く馴染んでいるのだろう。

マヌガン「……ならば<ゴオッ!!>」

 震える動きが止まると同時に、姿が一瞬で消え。


マヌガン「それが死に装束で良いな!!」

 空に飛び上がった巨人が、こちらに落下しつつ蹴りを仕掛けてきた。

 速度が速い。 あの羽の推進力? ……いや、違うな。

 ……あーそういう事か。


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