034:princess trample x ver.250
カレル・ロッサム。
彼女は15の地獄……最初のゲームに登場する、ストラ姫に従うメイドだ。
心の底からストラを敬愛し、常に付き従う。
獣人としての高い能力に加え、努力家故に桁外れなまでに文武両道。
ストラ姫の教育係であり、身の回りの世話を完璧に行うメイドであり。
ゲームの最初は、ストラ姫にとって心身ともに強い支えとなる人物だ。
そして、彼女こそがゲームにおいて操作可能なプレイアブルキャラであり。
彼女を操る事で、ストラ姫にこの世すべての性的な行為を与えるのがこのゲーム。
princess trample x ver.250。
通称PT。
2020年代後半に有志で作られたフリーゲーム。
プレイヤーは前半で、ストラ付きのストラを愛している獣人メイドとなり、ストラを立派な姫として育て……
後半にでは国を滅ぼされ処刑を望まれるストラ姫の助命と引き換えに、調教陵辱する事になる。
内容は主人公がストラ姫を育てる育成パートと、敵国に捕まってからの陵辱パートに分かれる。
育成パート次第で陵辱パートの反応が変わり、特にカンスト状態のどんな事があっても心が折れないモードは人気があったらしい。
フリーゲームであった本ゲームは有志によって育成、陵辱パート共に充実していき、育成パートは内容を全て覚えれば本当に姫になれると言われた。
……それ以上に内容が充実していく陵辱パートは、海外の本格的なその手の人達も監修したりした結果……
この世全ての性的、非性的なシチュエーションがこれでもかと盛り込まれた。
陵辱のみならず拷問、処刑など。
現実世界のみならず、空想上の物を含め人類史の暗部すべてが詰め込まれる事になり。
完成したゲームは、性的非性的な手合いの事はこのゲームで調べれば大体解ると言われるほどの完成度となった。
ゲームの大きな特徴としては、バッドエンドでゲームが終了しないこと。
肉体のみならず、人間・生命的な尊厳破壊。
社会的な破滅などの取り返しの付かないイベント。
肉体の生命維持が不可能になる、陵辱や拷問。
例え処刑され細胞の一かけが消えても終わりは無く、必ず何らかの理由で生き返るか。
または元に戻されるので全てのシチュエーションをプレイできる。
それまで受けた『どのような結果』も、すべて引き継ぐ。
バッドエンドで終了できれば、どれほど幸せかしれないような事でも。
しかもカンスト状態の姫が人気だったため、シチュエーションはすべてそれに合わせて制作されている。
だからどんな事があっても、心『だけ』は壊れない。
並の人間なら発狂するか、自害するような事が起きても。
幼いストラ姫の容姿は、ゲーム内で何百年経とうと変わらないので、全てのシチュエーションを同じ姿で楽しめる……
この世すべてのインモラルなシチュエーションを好きなだけ楽しめる本ゲームは、2030年代までその手のものが好きな人々の欲望を叶えてきた。
全てのシチュエーションをクリアした称号、
『この世全ての○○を知る姫』
を取るには、本気でやりこんでも一年かかるほどのボリュームであり、クリアしたという人の証明写真……
ストラ姫のステータスはすべての性的な項目が振り切れ、人としてのものは徹底的に壊れ、正に凄惨を極めていた。
唯一、心だけが発狂も崩壊もせず正気である一点を除いて。
フリーゲームなので検閲もされておらず、一切手加減もなく、
最初から最後までを一切飛ばさず、リアルかつ緻密に作られた文章でイベントが続く為に、
あまりにも凄惨な拷問や、目を覆わんばかりの処刑の苛烈さか。
途中でプレイを断念する人も多かったようだ。
このゲームは、フリーゲームとしては異質なほどの完成度とボリュームを誇るが、唯一……
エンディングだけが存在しない。
シチュエーションに特化しているため、ストーリーが実質存在しないのだ。
だから称号を得れば終了では無く、また好きなシチュエーションでストラ姫を汚せる。
さらに死亡などのバッドエンドもないので、本来有り得ない処刑の連続まで行える。
結果として、やりこみ要素の1つとされるステータスは凄惨極まりない物になり。
その最果ては、存在しない。
細かく作り込まれた18禁ゲーム特有の性的なステータスは正確にカウントされ、何千万桁になっても終わることは無い。
すべてのイベントがステータスカンスト前提のシチュエーションなので、ゲームの中において何があっても、死も発狂も許されない。
逃げる事も叶わず年も取らず。
唯一の安らぎである死さえ奪われ弄ばれる、無限に続く幼い姫の地獄。
それこそ、幾つもの18禁ゲームにおいて最高にして最悪と言わしめた……
princess trample(プリンセスを踏みにじる)というゲームだ。
そしてこれが。
あたしが最初に堕とされた地獄だ。
ここで、あたしはストラ姫……ストラという存在になったのだ。
悍ましい称号を伴って。
ルルー「ご紹介ありがとうございます。 ファンダリア公国第一公女。
ルルー・ファンダリアです」
狐「侍従……メイドさん、ですよね?」
カレル「メイドと言えば、その通りですね。 我々とは異なるのかも知れません」
……数奇な話だ。 自分を最高の姫として育て。
思いつく限りの辱めを与えた、この世で最も憎むべきであろう彼女が。
カレル「<ズゥン……>……陛下。 巨人『ジトン』が地上へ出るようです」
今や、あたしの信頼する仲間の一人となり。
状況の変化にも全く姿勢を崩さず、スイッチを切り替えるように表情を正す……
全く、数奇な話だ。
話をしながらも、全員呆けていたわけじゃない。
マヌガンが何かしているであろう振動は続いていたし、相変わらずの緊急事態は未だに終わっていない。
何より……
レト「………………」
何も知らない子供には、空恐ろしい状況だろう。
この部屋を掃除しておいて良かった。
ラティズ「……マヌガンは、どうやらエレベーターを自前で動かしたようだ。
地上に出てしまうが……本当に、良かったんですか?」
カレル「はい。 広い場所に出した方が対処しやすいですから」
当初ラティズはすべての隔壁を閉鎖して、ジトンを地下に封じ。
今度こそ自爆を行い、葬ろうという案を出していたそうだ。
カレル「この基地を自爆させても、恐らくあれは破壊できないでしょう。
性能的には惑星開拓用と見ますので、マグマでも泳げるのでは?」
おかね「溶岩を泳ぐとな……? 桁違いのバケモンじゃ……」
カレル「あくまで可能性です。 出来たとしても永続ではなく、時間的制限があるのか……」
ラティズ「……ジトン。 あんな巨人は見たことが無かった。
ネクロマンシーを用いた、生体大型兵器……あんなものが現実に現れるなんて」
ラティズ……いや、皆の視線は外を映すモニターに向けられている。
画面の向こうでは、外の……プリチャピ地上の景色。
一見すると、何も無い場所を映しているようだが……にわかに、その景色が歪む。
ゆっくり見えてきたのは巨大な柱……そう見える。
大きさは恐らく……幅500メートルはありそうだ。
柱の根元は、複数のワイヤーが円錐状に柱に絡みつき構造を補強している。
高さは……空の果てまで。
そう、巨大な構造物はどこまでも天まで伸び……その果ては見る事が出来ない。
狐「……軌道エレベーター?! 実在したんですか?!」
彼女が驚くのも無理ないだろう。
惑星表面から宇宙までを繋ぐ、超高層建造物。
宇宙進出への道を開くとされるこの建造物は、2050年代現在であっても建造すらされていない。
しかし、空気を歪ませそれは……
天空まで伸びた、巨大な柱……軌道エレベーターは確かに存在している。
アナウンス『所長権限により、軌道エレベーター保護フィールド停止。
隠蔽、防御が解除されます」
ラティズ「再展開! 隠蔽が解除されるのも不味いが、防御まで無くなったら……」
アナウンス『命令を受け付けません。 所長権限により、制御機構が物理的に破壊されました』
ラティズ「くそっ……! ……軌道エレベーター含む全区画に緊急警報。
動かせる船はすべて使い、総員脱出!」
アナウンス『軌道エレベーター、地上搬出ゲート開放を確認』
おかね「……! 出てくるぞ」
その根元にある、巨大な扉から。
ゆっくりと……巨人は現れた。
狐「なんて……巨大な……」
狐「身長……200メートルはありますよあれ……」
ゆっくりと。 大地を踏みしめて。
地球の大地に降り立つ。
ルルー「……あれが、地球を……」
地球を蹂躙するために。




